マイクロソフト株、一時6%高 クラウド成長加速 7-9月期好決算
マイクロソフトが好決算を発表し、株価が一時6%上昇した。ただしクラウド事業の成長加速を続けられるかには不安もある。
マイクロソフトが24日の取引時間終了後に発表した2023年7-9月期決算はクラウド事業の成長の勢いが戻る好決算だった。総収入と1株当たり利益(EPS)はいずれも事前予想を超え、マイクロソフトの株価(MSFT)は時間外取引で一時、24日の終値から6%超高の水準まで上昇した。ただし、世界経済の先行き不透明感は増しており、今後も成長の加速を続けられるかには不安も残る。
マイクロソフトの総収入は前年同期比12.8%増
マイクロソフトの7-9月期決算は総収入が前年同期比12.8%増の565.17億ドル、1株当たり利益が27.2%増の2.99ドルだった。金融情報会社リフィニティブのデータによると、直近の市場予想は総収入が545.22億ドル、1株当たり利益が2.65ドルだった。発表された結果はいずれも事前の予想を上回っており、好決算といえる。10月13日に発表されたゲームソフト大手アクティビジョン・ブリザードの買収完了の影響は今回の決算には反映されていない。
また7-9月期決算では、人工知能(AI)サービスの提供基盤になっているクラウド事業の成長性が回復した。7-9月期のクラウド事業の収入は242.59億ドルで、前年同期比19.4%増。4-6月期の15.3%増を上回る伸びをみせた。クラウド事業の成長率が前四半期を上回るのは4四半期ぶり。なかでもクラウドサービス「Azure(アジュール)」からの収入が29%増となったという。サティヤ・ナデラCEOは決算会見で「AI時代を人々や企業にとって現実のものとする」と述べた。
目標株価の400ドル以上への引き上げも
こうした好決算を受けて、マイクロソフトの株価は24日の時間外取引で上昇。一時、351ドルで取引される場面もあり、24日の終値(330.53ドル)からの伸び率は6%を超えた。その後は344ドル程度で取引されている。決算発表後、アナリストの間では、マイクロソフトの目標株価を400ドル以上に引き上げる動きが増えている。
ただ、マイクロソフトが今後も投資家の期待に応えられるだけの成長性を示せるかどうかは予断を許さない。マイクロソフトは今回の決算発表に際して、10-12月期のクラウド事業の収入が251億-254億ドルになるとの見通しを公表。前年同期比では16.7-18.1%増にあたる水準で、7-9月期からは勢いが落ちることになる。
アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)が高水準で推移する中、経済の先行きは不透明だ。米国政治の混乱や中東情勢の緊迫化は、マクロソフトのクラウド事業の顧客である世界中の企業の先行き不安を高めて、クラウドサービスに対する支出を抑える方向に働く可能性もある。成長性が期待されるAI関連のサービスも、クラウド事業全体の成長に対する貢献度合いはまだ小さい。エイミー・フッドCFOは決算会見で、アジュールの成長率の29%うち、AIサービスの寄与度は「3%ポイント程度」だと説明している。
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