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マイクロソフト、クラウドの成長加速なるか 24日決算 株価は不振

マイクロソフトの7-9月期決算はクラウドの成長がカギ。アクティビジョン買収の好材料もある中、不振の株価は再上昇するか。

出所:ブルームバーグ

マイクロソフトが24日の取引時間終了後に発表する2023年7-9月期決算は、クラウド事業の成長を加速できるかがカギだ。マイクロソフトは4-6月期のクラウド事業の成長率が1-3月期の実績を下回ったことで株価が下落。その後も株価の勢いが戻らない状況が続いている。一方、マイクロソフトにはゲームソフト大手のアクテイビジョン・ブリザードの買収完了といった前向きなニュースもあるだけに、クラウド事業の成長性を示すことができれば株価が上向く可能性もありそうだ。

マイクロソフトの2023年7-9月期決算は増収増益の予想

マイクロソフトは米国東部時間24日午後5時30分(日本時間25日午前6時30分)から決算会見を開く。金融情報会社リフィニティブのデータによると、マイクロソフトの7-9月期決算に関する事前予想は、総収入が前年同期比8.7%増の544.81億ドル、1株当たり利益は12.8%増の2.65ドルと見込まれている。マイクロソフトの過去16回の四半期決算のうち、総収入が事前予想を下回ったのは2022年の4-6月期と10-12月期の2回。1株当たり利益も同じタイミングで事前予想を下回っている。

マイクロソフトの業績(総収入、1株当たり利益=EPS)の推移のグラフ

マイクロソフトの株価(MSFT)は2022年の1年間で約28%下落したが、2023年に入ってから株価は上昇に転じた。10月16日の終値は332.64ドルで、2022年末比38.7%高となっている。S&P500種株価指数(SPX)の13.9%高や、ナスダック総合指数の29.6%高を上回る実績だ。ただし4-6月期決算発表直前にあたる7月25日の終値(350.98ドル)との比較では5.2%安となり、値動きはさえない。「ビッグ・セブン」や「マグニフィセント・セブン」とも呼ばれるハイテク大手7銘柄の株価を下半期の伸び率で比較した場合でも、マイクロソフトの株価は弱さが目立つ。

アメリカの大手ハイテク企業の株価の推移のグラフ

リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は28.85倍。クラウド事業のライバルにあたるアマゾン・コム(43.97倍、AMZN)と比べれば割安といえる水準で、コンピューターの基本ソフトで競合するアップル(27.02倍、AAPL)よりはわずかに割高だといえる。アナリストが提示する目標株価の平均は391.58ドルで現状よりも約18%高く、10月に入ってからは目標株価を400ドル以上に引き上げる動きが相次いでいる。55人のうち22人が強い買い、27人が買いを推奨。残りの6人は維持を勧めている。

マイクロソフトの株価は4-6月期決算発表後に失速

マイクロソフトの株価が4-6月期決算発表後に下落したのは、クラウド事業の成長に不安が感じられたためだ。クラウド事業はマイクロソフトの収入の4割超を占める稼ぎ頭で、人工知能(AI)サービスの提供基盤にもなっており、中長期的な成長のカギを握る。4-6月期のクラウド事業収入は239.93億ドルで前年同期比15.3%増。一見、堅調にみえる数字だが、3四半期連続で伸び率が前期から低下しており、投資家は満足しなかったようだ。7-9月期については4-6月期の実績とほぼ同じ15.5%の成長が見込まれており、これをクリアできなければ投資家の失望を買う可能性がある。

マイクロソフトのクラウド事業の収入と前年同期比伸び率のグラフ

ゲーム大手アクティビジョンの買収完了は好材料

一方、マイクロソフトは10月13日にアクティビジョンの買収を完了したと発表。2022年1月にアクティビジョンを687億ドルで買収すると発表してから続けてきた、各国の独占禁止法当局から承認をとりつける努力がようやく実った形だ。アクティビジョンは「コール・オブ・デューティー」や「キャンディークラッシュ」といった人気タイトルを手掛ける大手ソフトメーカー。マイクロソフトは計画発表時、買収によって、中国の騰訊控股(テンセント)とソニーグループに次ぐ、収入規模で世界3位のゲーム会社になるとしていた。

アメリカの株式市場には長期金利(10年物米国債利回り)の上昇や中東情勢緊迫化といった逆風が吹く。こうした中でもマイクロソフトがクラウド事業の成長性を証明することができれば投資家にとっては安心材料となり、株価を押し上げる可能性もありそうだ。


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