マイクロソフト、クラウドの再加速なるか 25日決算発表 AIとの連携期待
マイクロソフトの25日の決算発表は成長が減速してきたクラウド事業の回復が焦点だ。AIサービスとの連携強化にも注目が集まる。
マイクロソフトが25日に発表する2023年1-3月期決算はクラウド事業の実績が焦点となる。クラウド事業は全収益の4割を占める稼ぎ頭だが、直近の3四半期は伸び率が縮まってきた。企業がクラウドサービスのコストを節約しようとする傾向があり、世界経済の先行き不透明感の影響を受けているという。一方、マイクロソフトは会話型AIサービス「ChatGPT」で知られるOpenAIに出資するなど、AIを成長戦略の柱として据えている。クラウドサービスをAIサービスで強化する戦略も加速させており、今後の見通しが株価を左右する要因となりそうだ。
マイクロソフトの株価は2022年秋から回復傾向
金融情報会社リフィニティブのデータによると、マイクロソフトの1-3月期決算に関する市場予想は総収入が前年同期比3.4%増の約510億ドル、1株当たり利益は0.4%増の2.23ドルと見込まれている。マイクロソフトは過去3年半14回の四半期決算のうち2回で、総収入と1株当たり利益が事前の市場予想をクリアできなかった。
マイクロソフト(チャート)の株価は2021年12月末から2022年11月にかけて約37%下落し、214ドル程度となった。マイクロソフトなどハイテク株の比率が高いナスダック総合指数も同じ時期に同程度下落している。その後、株価は反転し、株価は290ドル程度まで回復している。
リフィニティブによると、直近の株価と予想年間収益から算出される株価収益率(PER)は30.8倍で、クラウド事業で競合するアマゾン・コム(チャート)の76.4倍よりは大きく割安な水準にある。一方、アップル(チャート)の27.6倍やメタ・プラットフォームズ(チャート)の21.4倍よりは割高だ。アナリストが提示する目標株価の平均は296.8ドル。54人のうち19人が強い買い、26人が買いを推奨している。8人は維持を勧め、残りの1人は強い売りとしている。
クラウド事業の成長率は徐々に減速
マイクロソフトは多くの個人ユーザーに利用されている「ウィンドウズ」や「オフィス365」などで知られているが、現在はクラウドサービスの「Azure(アジュール)」が収益の柱となっている。2022年10-12月期はアジュールを展開する展開するインテリジェント・クラウド事業の収入が215億ドルに達し、総収入の40.8%となった。
ただしクラウド事業の成長率は徐々に減速している。クラウド事業の成長率はかつて、新型コロナウイルス禍で世界中で外出や人との接触が控えられる中で前年同期比30%を超えることもあったが、2022年10-12月期は17.4%まで落ちた。結果として、総収入の伸び率も2.2%という6年半ぶりの低さとなった。
サティア・ナデラCEOは1月の決算発表会見で「コロナ禍の最中に顧客はデジタル関連の支出を加速させたが、今はその支出を調整しようとしている」と言及。世界経済に逆風が吹く中で、顧客が支出拡大に慎重姿勢をとっていると指摘した。マイクロソフトはこの決算発表直前には1万人の人員削減を発表している。
クラウドとAIの相乗効果を狙う
こうした中、マイクロソフトは2月上旬、検索サービスのBingに会話型AIサービスの機能を盛り込んだ新バージョンを発表。例えば、外国人の来客にどんな食事を出せばいいかを尋ねると、その国の食文化や習慣に合わせた回答を簡潔な文章と関連リンクで示してくれるなど、AIの能力を生かしたサービスを提供している。OpenAIが3月に新しいAIモデル「GPT-4」をリリースしたと発表した際には、Bingの新バージョンがGPT-4を採用していることを明らかにし、AI関連事業に注力する姿勢をアピールした。
マイクロソフトはアジュールのサービスに組み込む形で、企業などにAI開発のためのシステムを提供しているほか、ChatGPTなどのAIで文章やコンピュータープログラムの作成を支援するサービスも展開中。半導体大手のNVIDIA(エヌビディア、チャート)の製品を大量に用いた、大規模で高性能なスーパーコンピューターを運用するための基盤作りにも力を入れている。ナデラ氏は社会や経済における次の大変革はAIによってもたらされるとし、AIとクラウド事業が融合させることで「アジュール自体が大きく変容することになり、デジタルインフラという事業分野も変容する」と述べている。
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