アマゾン、トランプ関税で打撃も　1日決算　業績見通し低調か

アマゾンの2025年1-3月期決算は総収入の伸びが11四半期ぶりの小ささになる見通し

アマゾンは米国東部時間5月1日午後5時（日本時間2日午前6時）に決算会見を開く。ブルームバーグによると、アマゾンの1-3月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比8.2％増の1551億ドルの見通し。1株当たり利益（EPS）は38.8％増の1.36ドルになるとみられている。予想通りになれば、総収入は2022年4-6月期（7.2％増）以来、11四半期ぶりの低い伸びになる。アマゾンは直近20回の四半期決算のうち6回で総収入が市場予想を下回った。1株当たり利益では5回で、市場予想をクリアできなかった。

アマゾンの株価は一時、最高値から30％超の下落率に

アマゾンの株価（AMZN）の23日の終値は180.60ドルで、2月4日につけた高値（242.06ドル）からは25.39％安となっている。2024年末比では17.68％安だ。2023年には80.88％高、2024年は44.39％高となり、好調な株価を維持してきたが、2025年は様相が一変したといえる。4月21日につけた直近の安値（167.32ドル）は最高値から30.88％安だった。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率（PER）は23日段階で24倍程度。前回決算（2024年10-12月期）の発表があった2月6日段階での33倍程度から割高感が和らいでいる。アナリストが提示する目標株価の平均は約251ドルで、現状よりも39％ほど高い。82人のアナリストのうち78人は買いを推奨。4人は維持を勧めている。

アマゾンの小売事業は5.0％増の見通し　高関税の悪影響の懸念

アマゾンの業績はトランプ氏の高関税政策の影響を大きく受ける可能性がある。トランプ氏は2月以降、中国からの輸入品への追加関税を発動。4月5日以降に発動された相互関税を含め、現在の税率は145％に達している。アマゾンは米証券取引委員会（SEC）に提出した2024年通期決算に関する報告書で、アマゾンのプラットフォームを用いて商品を販売する小売業者の多くは中国に拠点を置いているとしており、関税を含む政府による行政措置をリスク要因として挙げていた。ブルームバーグがまとめた市場予想では、アマゾンの1-3月期の小売関連収入は前年同期比5.0％増と見込まれいているが、下振れのリスクもありそうだ。

クラウド事業の収入は17.3％増の見通し　世界経済の不透明感は逆風か

また、AIサービスへの需要拡大で成長が期待されるクラウド事業もトランプ氏の経済政策運営が重荷になる。米国の高関税は世界経済の不透明感を高めており、企業のクラウドサービスへの需要を落としていることも考えられるからだ。1-3月期のクラウド事業の収入は前年同期比17.3％増と見込まれているが、やはり、市場の予想以上に収入が下押しされる恐れがある。

設備投資の増加が悪材料とみなされる可能性も　4-6月期業績見通しにも不安

アマゾンの収益を支える小売り関連事業とクラウド事業が揺らぐ中、設備投資負担の重さも意識されそうだ。アマゾンはAIサービスの供給能力増加を目指し、データセンターなどへの投資を積極化。2024年の設備投資額は総収入との比較で12.2％程度となっており、2023年の8.4％程度から高まっている。1-3月期決算で総収入の伸び悩みが懸念される中で設備投資の増加が続けば、収益悪化の要因とみなされる可能性がある。

一方、1-3月期に小売り関連事業で高関税による値上げの可能性を意識した駆け込み需要が出ていれば、総収入の追い風になっていることもありえる。ただ、この場合は、4-6月期の業績に駆け込み需要の反動が出ることも懸念される。トランプ氏の高関税政策が世界経済の見通しを不透明にする中、アマゾンが4-6月期の業績について慎重な見通しを示せば、株価には下落圧力がかかりそうだ。