焦点は米金利の動向 / ドル円とユーロドルの展望について

米金利の低下とドル安

【サマリー】
・米金利には低下の圧力が強まっている
・米金利が低下し続ける場合は米ドル安優勢の展開が続くだろう
・ドル円は下落幅の拡大を警戒する局面にある
・ドル円とユーロドルの焦点および目先のチャートポイントについて

・焦点は米金利のトレンド転換

25日の米債市場は、欧州債利回りの低下とさえない経済指標が材料視され利回りが低下した。

10年債利回り（長期金利）は、4.2％台から4.05％まで急低下する局面が見れた。一方、金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは、4.5％台から4.39％まで低下幅が拡大した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル（WSJ）の報道（12月会合で利上げペース減速が政策議題になるとの報道）以降の米金利の動きを確認すると、低下基調にある。

米金利が上昇のトレンドから低下のトレンドへ転換すると判断するには、11月連邦公開市場委員会（FOMC）以降の動きを確認する必要がある。しかし、思惑先行で米金利が低下し続ける場合、外為市場では米ドル安優勢の局面が続くだろう。

また、米金利の低下は、株式や国際商品市況の押し上げ要因でもある。リスク資産の買戻しも米ドル安の要因（資源国通貨や新興国通貨の買い要因）となろう。

米金利とドルインデックスのチャート

ドル円の急落リスクに要注意

・149.00レベルが目先のレジスタンスに

昨日のドル円（USDJPY）は、149.00レベルで上昇が抑制される展開が続いた。この不自然な動きが政府・日銀による円買い介入に起因しているならば、目先のレジスタンスポイントは149.00レベルとなろう。

しかし、ドル円のトレンドを予測する上でより重要となるのが米金利の動きである。特に、ドル円と高い相関関係にある米5年債利回りの動きを注視しておきたい。

上で述べたとおり、現在の米債市場では利回りに低下の圧力が強まっている。WSJの報道で米利上げペース減速の可能性が意識されているタイミングで、今後発表される重要な経済指標でもさえない内容が続く場合、米金利の低下幅が拡大することが予想される。

昨日、149.00レベルで上値が抑制され続けた状況と今の米債市場の動きを考えるならば、目先のドル円は急落リスクを警戒すべき局面にある。

ドル円と米5年債利回りのチャート

・下落局面でのサポートポイントは？

短期的にドル円（USDJPY）が下落トレンドへ転じる場合、まずは21日MA（146.79レベル）および146.00レベルの維持が焦点となろう。

ローソク足のヒゲベースで21日MAを下方ブレイクする局面が見られる。この状況を考えるならば、146.00の攻防の方を注視したい。

米金利の低下幅が拡大することでドル円が146.00を完全に下方ブレイクする場合、次の焦点は142.00レベルのトライおよびブレイクとなろう。このサポートポイントをトライするシグナルとして、50日MA（143.50レベル）の攻防に注目したい。

来週のFOMC以降、米金利の低下幅が拡大する場合、140円台の維持が焦点に浮上すると予想する。この水準は、9月22日の円買い介入を止めた経緯がある。

また、140円台のブレイクとなればレンジが切り下がるシグナルになり得ることからも、米金利の低下幅が拡大する局面では、140円台の維持が重要な焦点となろう。

ドル円のチャート

ユーロドルはレジスタンスポイントを見極める展開に

・焦点はレジスタンスポイントの見極め

一方、ユーロドル（EURUSD）は、米ドル安にサポートされ上昇幅が拡大している。昨日は短期レジスタンスラインで上昇が止められたが、9月下旬以降の反発局面ではサポートラインが形成されている。

また、相場の上昇を何度も止めた50日MA（0.99レベル）の突破に成功している状況も考えるならば、ユーロドルはもう一段上昇する可能性があろう。

焦点は、新たなレジスタンスポイントの見極めにある。その候補として目先は、パリティ水準（1.0）のトライおよびブレイクが焦点となろう。

ユーロドルがパリティ水準を完全に上方ブレイクする場合、次の上値ターゲットは半値戻しの水準1.0075レベルとなろう。この水準は、今年8月に相場の戻りを止めた経緯がある。

ユーロドルが半値戻しの水準をも突破する展開となれば、フィボナッチ・リトレースメント61.8％の水準1.02レベルのトライおよびブレイクとなるか？この点に注目したい。このテクニカルポイントは、9月12日の上昇を止めた経緯がある。その際、日足ローソク足では長い上ヒゲが示現している。

ユーロドルのチャート