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アップル、減収減益予想覆せるか 8月3日決算発表 新興国成長カギ

アップルが8月3日に発表する4-6月期決算は減収減益予想。一方、新興国市場躍進が続けば株価が上昇気流にのる展開も。

出所:ブルームバーグ

アップルが8月3日の取引時間終了後に発表する2023年4-6月期決算は減収減益が予想されている。世界的に不安定な経済情勢が続いてきた中、稼ぎ頭であるiPhoneの売り上げは前年同期比で2か月ぶりのマイナスに転落する見通しだ。ただしアップルは1-3月期決算で、減益予想をギリギリで覆す粘り腰をみせた。成長が期待される新興国市場や、経済の見通しに楽観が広がっている米国で大きな成果が出れば、世界で最も高く評価されるアップルの株価に上昇圧力がかかる場面も想定されそうだ。

アップルの2023年4-6月期決算は総収入が1.6%減の予想

アップルは3日午後5時(日本時間4日午前6時)に決算会見を開く。金融情報会社リフィニティブのデータによると、アップルの4-6月期決算に関する市場予想は、総収入が前年同期比1.6%減の816.34億ドル、1株当たり利益が0.8%減の1.19ドルと見込まれている。アップルは過去13回の四半期決算のうち、総収入では2回、1株当たり利益では1回、市場予想を超えられなかった。

アップルの業績(総収入、1株当たり利益)の推移

アップルの株価(AAPL)は2022年の1年間で約27%下落。約2割減だったS&P500種株価指数(SPX)よりも大きな値下がりだった。しかし2023年の株価上昇率は26日の終値(194.50ドル)段階で約50%。こちらはS&P500の約19%を大きく上回る実績だ。

リフィニティブによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は30.0倍。スマートフォン市場でのライバルにあたる韓国サムスン電子(21.6倍)や、スマホの基本ソフトで競合するグーグルを傘下に持つアルファベット(21.1倍、GOOGL)より割高だ。アナリストが提示する目標株価の平均は193.16ドルで、現状の株価と同水準。7月に入ってからは目標株価を225ドルに引き上げるアナリストも出ている。43人のうち11人は強い買い、21人は買いを推奨。10人は維持、1人は売りを勧めている。

マクロ経済の環境がアップルにとっての逆風に

アップルの4-6月期決算で減収減益が見込まれている背景には世界経済の減速がある。ティム・クックCEOは1-3月期の決算会見で、マクロ経済の環境が逆風になっていると繰り返していた。4-6月期は新型コロナウイルス感染抑制策の大幅な緩和で波に乗るかとみられていた中国経済が勢いを失っているもよう。欧州経済もユーロ圏がマイナス成長の瀬戸際に立たされるなど、難しい局面にある。欧州市場と中華圏市場はアップルの総収入の44%を占めている。こうした中、投資家はアップルの4-6月期の売り上げは不調だとみており、リフィニティブのデータでは、世界全体でみたiPhoneの販売額は前年同期比2.0%減の399億ドルとなると見込まれている。

iPhoneの販売額と増減率の推移

一方、アップルの業績を下支えする可能性があると期待されるのは、1-3月期の収入が躍進した新興国市場だ。メキシコやインドネシア、フィリピン、ブラジル、インドなどでの販売が好調だったことは、アップルが1-3月期の1株当たり利益を前年同期比横ばいとし、ギリギリで減益を回避する要因のひとつになり、発表翌日の株価は4.7%値上がりした。日本や中国を除く「その他アジア太平洋」地域の売上高は1-3月期、前年同期比15.3% を記録しているほか、米国は景気の底堅さが続いており、4-6月期の数字がよくなる可能性がある。

アップルの時価総額は3兆600億ドルに達し、「世界で最も価値がある企業」と称されてきた。4-6月期決算で新興国という未開拓市場での成長の可能性を示すことができれば、アップルへの期待がこれまで以上に膨らむシナリオもありそうだ。


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