オーストラリアが1年ぶり利上げ見送り 今後の動きには含み 豪ドル下落
RBAが4日の理事会で利上げを見送った。物価上昇の沈静化が理由で豪ドルは売られた。ただし利上げを再開する可能性も残している。
オーストラリア準備銀行(RBA)は4日の理事会で政策金利を据え置き、3.6%のままとすることを決めた。RBAが利上げを見送るのは2022年4月以来1年ぶり。「物価上昇がピークをつけた」ことを理由に挙げている。ただし声明文は将来的に金融政策の引き締めが必要になる可能性にも触れ、今後の物価動向次第で改めて利上げを再開する可能性に含みをもたせている。政策金利の据え置き発表直後、豪ドルの対円相場は一時下落した。
利上げ停止で効果見極めの時間
RBAは声明文で、過去10回の理事会で政策金利を3.5%分引き上げてきたことを強調。金融政策の効果は時間差を経て出てくることにも言及し、政策金利据え置きによって「これまでの利上げがもたらす効果や経済の見通しを判定するための時間をとることができる」とした。
また声明文は、消費者物価指数の伸び率などの経済指標が物価上昇の沈静化を示しているとの見方を改めて指摘した。2月の消費者物価指数の伸び率は前年同月比6.8%で、2022年12月の8.4%から下落していることを踏まえた分析だ。RBAはそのうえで、物価上昇率が2023年と2024年は下落し、2025年半ばには3%程度になるとの見通しを維持している。
「さらにいくらかの引き締め」にも言及
ただし声明文では、物価上昇率を目標とする2-3%にするためには、「さらにいくらかの金融政策の引き締めが必要になるかもしれない」ともした。今回は利上げを見送ったものの、今後も利上げが必要になる可能性を示唆する内容だ。米国のシリコンバレーバンク(SVB)の経営破綻については、金融市場の変動を大きくし、世界的な金利の見通しを再考することにつながったとしている。
豪ドルの対円相場は政策金利据え置き発表直前まで1豪ドル=90.1円程度で取引されていたが、発表直後に約0.4%値下がりし、89.7円程度となった。
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