ポンド安にブレーキ イギリス中銀は利下げに距離 日銀の動きで再加速も
円高ポンド安はBOEの発表を受けて小休止。今後は日銀のマイナス金利解除をめぐる思惑が相場を動かしそうだ。
外国為替市場でポンド安にブレーキがかかった。イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)は14日に3会合連続の利上げ見送りを発表したが、アンドリュー・ベイリー総裁は利下げからは距離を置く立場を表明。1ポンド=178円台まで進んでいた円高ポンド安は、15日の東京市場では181円台まで戻している。今後は日本銀行が18、19日に開く金融政策決定会合でマイナス金利政策解除に向けた動きを見せるかが焦点となり、日本の金利の先高観が広がれば改めて円高ポンド安が進む可能性もありそうだ。
イギリス中銀は3会合連続で利上げ見送りを決定
BOEは14日、前日までの金融政策委員会(MPC)で政策金利を5.25%で維持することを決めたと発表した。利上げ見送りは9月と11月に続き、3会合連続で、事前予想通りの結果だ。10月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が総合指数で前年同月比4.6%となり、9月の6.7%から大きく低下したことなどを評価。BOEは2021年12月以降の利上げ幅が5%を超えていることから、現在の政策金利水準は引き締め的だとしている。
しかしBOEは物価の先行きを楽観しているわけではない。11月に発表した経済見通しでは、2025年10-12月期の物価上昇率は前年同期比2.2%としており、これから2年経っても目標とする2%に届かない見通し。声明文では「物価上昇圧力がより持続的であるという証拠が出れば、さらなる金融政策の引き締めが求められる」との文言を維持した。ロイター通信によると、アンドリュー・ベイリー総裁は声明発表後、記者団に対して「利下げについて推測を始めるのはまだまだ早すぎる」と述べた。
こうしたBOEの態度は13日にやはり3会合連続の利上げ見送りを決めたFRBとは対照的だ。ジェローム・パウエル議長は記者会見で利下げのタイミングを検討していることを認め、利上げは「もはやベースケースの想定ではない」と言及。FRBが示した経済見通しは2024年に0.25%幅の利下げが3回行われることを示唆する内容だった。
円高ポンド安はBOEの発表後に小休止
外国為替相場では13日のFRBの発表を受けてドル安観測が強まり、ポンドがドルに対して大きく上昇。これと同時に円がポンド以上に大きく対ドルで上昇したため、ポンド円相場(GBP/JPY)では結果的に円高ポンド安が進んだ。14日のBOEの決定発表前には、一時、1ポンド=178.32円をつけ、11月24日の高値(188.65円)から約3週間で10円超の円高ポンド安が進んだ形となった。
しかしその後、14日にBOEが利下げに距離をとっていることが分かると、ポンドがドルに対して買われる勢いが増し、円高ドル安の勢いを逆転。今度はポンド円相場は円安ポンド高に振れた。15日の東京市場では181.72円をつける場面も出ている。
外国為替相場をめぐる今後の焦点は日銀の金融政策決定会合だ。日銀が大規模金融緩和策の柱のひとつであるマイナス金利政策の解除に向けた動きを示せば、日本の金利の先高観が広がり円高要因となる可能性がある。FRBが利下げ方向への転換を示し、BOEが政策金利の高止まりを示唆する中、日銀の政策変更をめぐる思惑がポンド円相場を動かすことになりそうだ。
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