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ポンド安進行か 英中銀3会合連続利上げ見送り濃厚 焦点は利下げ時期

イギリス中銀は14日に利上げ見送りを発表する見通し。声明文で利下げ時期を感じさせればポンド安要因になりそうだ。

出所:ブルームバーグ

イギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)は14日、3会合連続の利上げ見送りを発表することが確実視されている。英国では物価上昇率が低下しており、8月までの利上げの効果の有無を確認するだけの時間的な余裕があるとの見方が強い。こうした中、ポンド円相場ではこのところ、日本銀行が早期にマイナス金利政策を解除するとの観測から、円高ポンド安が進みやすくなっている。BOEが予想通りに利上げ見送りを決め、さらに2024年春にも予想されている利下げの確度を高めるメッセージを出せば、円高ポンド安の加速につながる可能性もありそうだ。

イギリス中銀は12月の利上げ見送りが確実

BOEは14日正午(日本時間14日午後9時)に12月の金融政策委員会(MPC)の結果を発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、68人中67人が利上げ見送りを予想。また、金融市場のデータからは、利上げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は日本時間12日午後の時点で99%に達している。BOEは9月と11月のMPCでも利上げを見送っており、12月も見送れば3会合連続となる。

BOEの利上げ見送りが確実視されているのは英国の物価上昇率が下がっているからだ。11月15日に発表された10月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同月比4.6%で、9月の6.7%から大きく低下。また、エネルギーと食品、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は5.7%となり、こちらも9月(6.1%)から減速した。BOEが2021年12月から2023年8月にかけて政策金利を5.25%まで引き上げてきた効果とみられている。また、英国は2023年7-9月期の実質成長率が前期比0%になっており、経済活動を冷やす利上げは回避されるとの見方が強い。

イギリスの消費者物価指数(総合、コア)の前年同月比伸び率の推移

ポンド円相場は178円台まで円高ポンド安が進行

こうした中、ポンド円相場(GBP/JPY)では円高ポンド安が進んでいる。ポンド円相場は日本銀行の植田和男総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べた7日、マイナス金利政策の早期解除観測が強まり、日本の金利水準が上がるとの見方から円買いが進んだ。この日は一時、1ポンド=178.62円までポンドが売られ、10月3日(178.28円)以来の円高ポンド安水準となった。11月中旬までは、アメリカの長期金利(10年物米国債利回り)の低下を背景に、ポンドが円よりも買われやすい状況が続いていたが、このところは欧米の利上げ打ち止めが意識され、日本の金融政策の先行きが相場を動かしている形だ。

ポンド円相場の日足チャートと主な出来事

このためBOEが14日に利上げ見送りを発表した場合でも、ポンド円相場では想定内の結果とみなされる可能性がある。ただ、BOEが利下げのタイミングについてメッセージを出すなどすれば、ポンド安の材料といえそうだ。BOEは11月のMPCの声明文では「物価上昇圧力がより持続的であるという証拠が出れば、さらなる金融政策の引き締めが求められる」との文言を盛り込んでいるが、金融市場ではすでに2024年春以降の利下げ開始が見込まれており、12月の声明文で文言の修正があるかどうかが注目される。


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