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ポンド安止まらず、英長期金利は08年以来の高水準 よぎる「トラス・ショック」ポンド円の見通し

英国の10年債利回りは9日、2008年以来となる4.9%まで上昇する局面が見られた。外為市場では対米ドルで英ポンドの下落幅が拡大。2022年の「トラス・ショック」がよぎる。ポンド円、今日の見通し。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

英国の10年債利回りは9日、2008年以来となる4.9%を付ける局面が見られた。財政リスクを意識した「悪い金利の上昇」はポンド安の要因となっている。インフレ再燃の懸念、追加の利上げ観測そして財政リスクが意識され日米欧の金利が上昇していることも英金利の押し上げ要因となっている。ポンドドル(GBP/USD)は昨日、2024年11月以来となる1.22台まで下落した。2022年の「トラス・ショック」がよぎる。
国内の長期金利は日銀の利上げが意識さ2011年以来となる1.185%まで上昇している。日米利回り格差がじわりと縮小ムードにあることでドル円(USD/JPY)の上値が重い。ポンド円(GBP/JPY)の下落幅拡大を警戒したい。


英国の長期金利が2008年以来の高水準へ上昇

英国の10年債利回り(長期金利)は9日、4.9%を付ける局面が見られた。2008年以来の高水準である。2022年の「トラス・ショック」時の水準を超えた要因の一つが、英政府の財政懸念である。スターマー現政権は昨年10月30日に予算案を公表した。保守党前政権で悪化した公共サービスを立て直すため予算を積み増すとした。国債発行の依存度が増すことで、2025年度の予算総額は2024年度比で拡大する見込みである。インフレ再燃がくすぶるなかでの財政拡張政策は、英金利の上昇圧力と強める要因となっている。

さらに追い打ちをかけているのが、日米欧金利の上昇である。ブルームバーグのデータによれば日本の10年債利回りは9日、2011年以来となる1.185%まで上昇する局面が見られた。欧州でも主要国の長期金利が上昇している。米債市場ではトランプ政権の影響でインフレが再燃するとの思惑が一因となり、10年債利回りが4.7%まで上昇した。20年債利回りも5%へ到達する局面が見られた。

英国の10年債利回り:週足 2008年以降

英国の10年債利回り:週足 2008年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


止まらない英ポンド安、2022年の「トラス・ショック」再来を警戒

外為市場では、対米ドルで英ポンド安が進行している。昨年の秋以降、英国の10年債利回りは上昇基調にあり、この「悪い金利の上昇」は英ポンドの重石となっている。特にスターマー政権が予算案を公表した昨年11月以降、英ポンドの下落が加速している。

また現在はインフレ再燃に対する懸念、利上げそして財政リスク等で主要国の金利も上昇している。このトレンドが続く限り、英金利はさらに上昇する展開が予想される。英ポンドは、2022年に発生した「トラス・ショック」の再来を警戒する状況にある。

英国の10年債利回りと通貨ポンドの動向:日足 2024年以降

英国の10年債利回りと通貨ポンドの動向:日足 2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


国内の長期金利が2011年以来の高水準、ポンド円は下落幅の拡大を警戒

日銀の追加利上げが意識され、国内の債券市場では10年債利回り(長期金利)が9日、1.185%と2011年以来の高水準へ上昇した。国内金利の上昇が米金利の上昇を相殺し、日米の利回り格差はじわりと縮小ムードにあり、ドル円(USD/JPY)の強気ムードも後退気味である。

今日は米雇用統計(昨年12月分)が発表される。日米の利回り格差が縮小ムードにあるなかで雇用統計が米ドル安の要因となれば、ドル円は下値のトライが予想される。英ポンド安が続くなかでドル円までが崩れる場合は、ポンド円の下落幅が拡大しよう。

日米利回り格差の動向:日足 2024年9月以降

日米利回り格差の動向:日足 2024年9月以降

ポンド円、今日の見通しと注目のテクニカルライン

悪い金利の上昇でポンドドル(GBP/USD)は昨日1.22台へ下落した。日米利回り格差がじわりと縮小し、ドル円(USD/JPY)の上値も重い。これらの状況を考えるならば、ポンド円(GBP/JPY)は現在、下値トライを意識する状況にある。

本日ポンド円が下落する場合、焦点は193円の維持となろう。昨日は直近高安の半値戻しの水準193.51がサポートラインとして意識された。89日線の下方ブレイクは、半値戻しを再びトライするサインとなろう。半値戻しの下方ブレイクは、193.0をトライするサインと捉えたい。

今日は米雇用統計(昨年12月分)が発表される。英ポンド安が進行するなかで雇用統計が米ドル安の要因となれば、ドル円の下落も重なりポンド円は193円を下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、192円の維持が焦点となろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準192.22で反発するかどうか?この点に注目したい。

本日、ポンド円が192円をも下方ブレイクして終える場合は来週以降、2024年9月16日の安値183.77レベルを基点としたサポートラインを視野に下落幅が拡大する可能性が高まろう。

サポートライン
・194.25:89日線(日足)
・193.51:半値戻し(4時間足)
・193.00:サポートラインへ転換する可能性あり(4時間足)
・192.22:フィボナッチ・リトレースメント61.8%(4時間足)

一方、米雇用統計が米ドル高の要因となれば、ドル円との相関性が高いポンド円は反発の展開が予想される。このケースでは、195.10台で推移している50日線の突破が最初の焦点となろう。

ポンド円が50日線を完全に上方ブレイクすれば、196.00のトライを想定したい。このラインはレジスタンスへ転換する可能性がある。

ポンド円が196円台へ上昇しても、現在の英ポンド安のトレンドを考えるならば、196.20台で推移している20日線がレジスタンスラインとして相場の上昇を止める展開を想定しておきたい。

レジスタンスライン
・196.27:20日線(日足)
・196.00:レジスタンスラインへ転換する可能性あり(4時間足)
・195.16:50日線(日足)


ポンド円のチャート

日足:2024年9月以降

日足:2024年9月以降

4時間足:2024年12月以降

4時間足:2024年12月以降

出所:TradingView


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