ECBイベントとユーロ円の動きに注目 / ドル円は133円ミドルのトライが焦点に
国内外の金融政策スタンスの差が意識され円安が加速。ドル円は133円台の攻防シフトが焦点に。一方、ユーロ円の焦点はECBイベント後の動き。ともに上値トライとなる場合、次のレジスタンスポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
加速する円安 次の焦点はECB理事会 ユーロ円の動きに注目
【サマリー】
・金融政策スタンスの差と円安の加速
・次の焦点は9日のECB理事会
・ユーロ円の動きに注目 目先のチャートポイントについて
・ドル円は133円ミドルの攻防が焦点に
・金融政策スタンスの差と円安の加速
7日の外為市場でドル円(USDJPY)は、2002年4月以来となる133円台へ上昇する局面が見られた。NY時間のドル円は、米国債利回りの上昇が一服したことで調整の反落相場となったが、132円台の維持に成功した。オーストラリア準備銀行(RBA)は7日、政策金利であるオフィシャル・キャッシュレートの誘導目標を0.5ポイント引き上げ0.85%とすることを決定した。その後、ドル円の上昇幅が拡大し133円台まで上昇した。これら一連の動きは、国内外の金融政策スタンスの差が強く意識され円安の圧力が高まったことを示唆している。
ドル円と豪ドル円の推移
・次の焦点はECB理事会
今週9日にもう一つの中銀イベント、欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。今回の理事会でラガルドECBは、インフレ抑制のために7月以降、金融引き締め政策へ転換することが市場のコンセンサスとなっている。
焦点は利上げの幅にある。7月と9月に0.25ポイントの利上げを行い、現在マイナス0.5%の預金ファシリティ金利をプラスにするのが ”通常” の道筋である。だが、現在の国際政治と経済の情勢は ”異常” な状況にある。ロシアーウクライナ紛争は長期化し、ユーロ圏のインフレ率は5月に過去最高となる8.1%(前年同月比)まで上昇している。米連邦準備制度理事会(FRB)やRBAのタカ派スタンス(大幅利上げ)も考えるならば、ラガルドECBは最初の利上げで一気に0.5ポイント引き上げてくる可能性がある。オランダ中央銀行のクノット総裁とオーストリア中銀のホルツマン総裁は、0.5ポイントの利上げに言及している。
いずれにしても、ECBが金融引き締め政策へ舵を切ることは確実である。そしてECB理事会後は、日銀の金融緩和スタンスがより鮮明となるだろう。ユーロ円(EURJPY)主導で円安が加速すれば、その影響はドル円にも波及しよう。
ユーロ円とドル円の推移
・ユーロ円のチャートポイント
そのユーロ円(EURJPY)は現在、142円台の攻防となっている。上値の重いユーロドル(EURUSD)とは対照的な動きは、上で述べた日欧の金融政策スタンスの差が意識されていることを示唆している。
目先の焦点は142円台へしっかりと乗せてくるかどうか?だが、テクニカル面での焦点はフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準142.30レベルのトライ&ブレイクである。5日移動平均線(SMA、青ライン)がサポートラインとなっていること、そしてMACDの動き(ゴールデンクロス後にMACDとシグナルラインがともに上昇基調を維持する状況)を考えるならば、ユーロ円の地合いは強い。昨日の高値142.06レベルを確実に突破してくる場合は、142.30の攻防を想定しておきたい(朝方に高値142.16レベルまで上昇する局面あり)。
一方、ユーロ円の反落局面では、5日線の攻防が焦点となろう。この移動平均線を下方ブレイクする場合は、140.00レベルがレジスタンスからサポートのポイントへ転換するかどうか?この点を確認したい。140円台の維持に成功する場合は、ユーロ円の地合いの強さを市場参加者に印象付けよう。
ユーロ円のチャート
ドル円は133円ミドルの攻防が焦点に
・133円ミドルの攻防
ドル円(USDJPY)は、引き続き米国債利回りの動きに連動する展開が予想される。だが上で述べたように国内外の金融政策スタンスの差が意識され、クロス円では円安トレンドが加速している。この状況を考えるならば、ドル円が反落してもそれは調整相場と想定しておきたい。
通貨オプション市場のリスクリバーサル(ドル円)の動きを確認すると、1ヶ月だけでなく3ヶ月のリスクリバーサルもドル・コールオーバーの状況へ転じている。また、5日移動平均線(SMA)がサポートラインとして相場を下支えしている。これらの状況は、ドル円の地合いの強さを示唆している。
米債市場で10年債利回りが再び3%の水準を超えてくる場合、ドル円の133円台への攻防シフトを予想する。ドル円がしっかりと133円台へ乗せてくる場合、最初の焦点はこのレポートで何度か指摘してきた133円ミドルの攻防となるか?この点にある。133.49レベルはフィボナッチ・プロジェクションの重要ポイント161.8%の水準にあたる。
・131.30レベルの維持
景気減速の方が強く意識され米債市場で利回りが低下する場合は、ドル円(USDJPY)の反落を警戒したい。このケースでの焦点は、131.30レベルがレジスタンスからサポートのポイントへ転換するかどうか?にある。
ドル円が131.30レベルをもあっさりと下方ブレイクする場合は、130円台の維持が次の焦点として浮上しよう。ドル円の5日線下方ブレイクは、131.30レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円のチャート
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