インフレの高進でECBは政策転換を迫られる状況に / BoEイベントとポンドドルの焦点
米ドル安の状況が続く中、今日は欧州中央銀行(ECB)理事会とイングランド中央銀行(BoE)金融政策委員会(MPC)の動向が焦点に。ユーロドルとポンドドルの展望は?そしてチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
インフレの高進でECBは政策転換を迫られる状況に
【サマリー】
・ユーロ圏のインフレ率は予想外の5.1%へ上昇
・インフレ高進を受けECBは金融政策の転換を迫られる状況に
・ECB理事会後のユーロドルの焦点について
・BoEイベント後のポンドドルの焦点について
・ユーロ圏のインフレ率は過去最高の5.1%へ 動かざるを得ないECB
1月のユーロ圏消費者物価指数(HICP、速報値)は前年同月比で5.1%上昇し、過去最高だった昨年12月の5%を上回った。事前の予想では4.4%に低下する見通しだったが、エネルギー価格の高騰などを受け予想外の上昇となった。
変動幅の大きい食品とエネルギーを除いたHICPは、前月の2.7%から2.5%へ低下した。しかし、ECBがインフレ目標とする2%の水準を上回る状況が続いている。
域内のインフレ高進が具体的な数値で確認されたことで、ラガルドECBは金融引き締めに向けて動かざるを得ない状況に陥る可能性が高まっている。事実、ユーロ圏の短期金融市場では、7月の10ベーシスポイント(bp)の利上げを織り込む動きが見られる。
ユーロ圏のインフレ率(HICP/ エネルギーと食料品の除くHICP)
・ECB理事会とユーロドルの焦点
域内のインフレ高進が止まらない状況を受け、ラガルドECB総裁は理事会後の会見で、インフレ見通しの修正と金融政策の転換について質問されるだろう。
「株高のみのリスク選好相場」が続き、外為市場では米ドル売りの状況が続いている。このタイミングで高インフレに対する警戒を示し、かつ早期の金融政策の転換に言及する場合、ユーロドル(EURUSD)はもう一段上昇する可能性がある。
ECB理事会がユーロ買いイベントとなる場合、まず注目したいのは、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.1343レベルの突破である。このテクニカルポイントは、先月19日から24日にかけて相場の上昇を止めた経緯がある(ローソク足の実体ベース)。
ユーロドルが61.8%の水準を完全に突破する場合は、1月中旬に相場の上値を止めた89日線(EMA)を視野に上昇幅の拡大を想定したい。
一方、ECB理事会がユーロ売りイベントとなる場合、まずは昨日の相場をサポートした10日線(EMA)を維持できるかどうか?この点を確かめたい。
10日線を下方ブレイクする場合は、今月1日安値1.1219および1.1200の維持が焦点となろう。
ユーロドルのチャート
BoEイベントとポンドドルの焦点
・外為市場での利上げの織り込み度合い
今日は、ベイリー総裁率いるイングランド中央銀行(BoE)が金融政策委員会(MPC:Monetary Policy Committee)を開く。
今回のMPCでの利上げについて、市場はすでに織り込み済み。また短期金融市場では、今年12月までにベイリーBoEが1.45~1.50%の水準まで政策金利を引き上げることを織り込んでいる。
よって今回のMPCでは、外為市場がどの程度ベイリーBoEの利上げスタンスを織り込んでいるかどうか?この点を確認することが焦点となろう。
・BoEイベントがポンド買い要因となる場合
MPCがポンド買いイベントとなる場合、短期金融市場ほど外為市場ではベイリーBoEの利上げスタンスについて、完全に織り込んではいないことのシグナルとなり得る。
このケースでのポンドドル(GBPUSD)の焦点は、フィボナッチ・プロジェクション38.2%の水準と200日線(EMA)の突破が焦点となろう。昨日は、これらテクニカルポイントが推移している1.3580レベルで相場の上昇が止められた。
MPC後に上で述べたテクニカルポイントを完全に上方ブレイクする場合は、プロジェクション50.0%の水準1.3644レベルが、次の上値ターゲットとして浮上する。
このテクニカルポイントをも突破する場合は、1.37レベルを視野に、もう一段の上昇幅拡大を想定したい。
・BoEイベントがポンド売り要因となる場合
一方、MPCがポンド売りイベントとなる場合は、短期金融市場だけでなく外為市場でもベイリーBoEの利上げスタンスをかなり織り込んできているシグナルとなる。
このケースでのポンドドルの焦点は、10日線(EMA)の維持である。10日線を下方ブレイクしても、短期サポートライン(今日現在1.3386レベル)の維持に成功する場合、ポンドドルは新たなレジスタンスポイントを探る展開が続くと予想する。
ポンドドルのチャートポイント
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