インフレ加速でも米金利は低下 次の焦点はFOMC / ユーロドルとユーロ円の焦点
サマリー:『米債市場では、インフレの加速は一時的との認識が広がっている。米実質金利が再び低下する局面では米ドル安の展開を予想する。ユーロドルとユーロ円の焦点は?そして上下のチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
インフレ加速でも米金利は低下 次の焦点はFOMC
10日の米債市場では長期金利(以下では米金利)が1.5%から下離れし、1.435%まで低下した。一方、期待インフレ率は若干ながら反発した。
これらの動向を受け米実質金利(10年)は低下した。
実質金利の低下は米ドル安の圧力を高め、ドル円(USDJPY)は109.80手前から109.30台まで下落する展開に。一方、ユーロドル(EURUSD)はラガルドECBの金融緩和スタンス維持と米実質金利の低下に挟まれ、1.21後半で売り買いが交錯する展開となった。
5月の米CPI(消費者物価指数)は前年同月比で5%、コア指数は同比で3.8%までそれぞれ上昇した。それにもかかわらず米金利が低下し、インフレ期待の反応が鈍かった事実は、インフレの加速が一時的な現象であるとの認識が米債市場で広がっていることを示唆している。
次の焦点は来週のFOMC(15~16日)である。FOMC後も米金利の上昇が抑制されるならば、外為市場では米ドル安優勢の状況が継続すると予想する。
米金利の動向
ユーロドルの焦点
ラガルドECBは、21年と22年の経済成長率とインフレの見通しについて上方修正した。その一方で、現在の金融緩和政策を維持する方針を改めて示すことでタカ派色を払拭した。米実質金利が低下したことで、ユーロドル(EURUSD)は1.21後半で売り買いが交錯する展開となった。
一方、レンジ相場のユーロポンド(EURGBP)は0.8650レベルの突破に失敗し続け陰線引け。再びユーロ売り/ポンド買いのムードが出始めている。
市場の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1ヶ月)は低下基調にある。これらの動向を考えるならばユーロドルは下値トライを警戒したい。
ユーロドルが下落する場合、目先の焦点は50日EMA(1.2111レベル)の攻防となろう。4月中旬以降、50日線は相場をサポートし続けている。
そのテクニカルラインを下方ブレイクする場合は1.21を割り込み、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.2050を視野に下落幅の拡大を警戒したい。
このレベルをも下方ブレイクする場合は、節目の1.20がサポートポイントとして意識されるか?この点を再確認する相場となろう。米金利の低下と実質金利の横ばい推移を考えるならば、FOMC(15~16日)前までは、米ドル安がサポート要因となることでユーロドルは1.20台を維持すると予想する。
一方、上値の焦点は1.2260の突破で変わらず。これに成功する場合、次の上値ターゲットは1.2266(5/25高値)となろう。
ユーロドルのチャート
ユーロ円の焦点
一方、ユーロ円(EURJPY)も下落リスクを警戒したい。
米金利(長期金利と実質金利)の動向により、ドル円は110円すら突破できずにいる。FOMC前まで米金利の低下基調が続く可能性を考えるならば、ドル円は上値の重い展開が続くことが予想される。
一方、ユーロドルでも上値の水準がジリジリと切り下がっている。ユーロポンドで再び下落圧力が高まる場合、ユーロドルも下落する地合いにある。
ユーロ円は現在、上値の水準を徐々に切り下げながらフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準133.05レベルをトライする展開となっている。
ゼロラインを一気に割り込んできたモメンタムやデッドクロスが示現しているMACDの動向も考えるならば、5月の下旬にサポートポイントとして意識された132.50レベルのトライを想定しておきたい。
すぐ下の水準132.38レベルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%にあたる。
これらサポートポイントをも下方ブレイクする場合は、1月下旬以降サポートラインとして意識されている50日EMA(132.02レベル)のトライを想定したい。
一方、ドル円やユーロドルが反発する局面では、134.00レベルのトライが焦点となろう。
この水準を突破しても維持に失敗する場合は、134.00前後をレジスタンスポイントとして意識する展開が続こう。
ユーロ円のチャート
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