米ドル相場がサポートされやすい状況に / ドル円とユーロドルのチャートポイント
サマリー:「FRBの政策転換が意識される中、市場が抱くインフレ期待が上昇基調にある。米ドル相場は利回りの上昇に連動している。今日のドル円とユーロドルのチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米ドル相場がサポートされやすい状況に
・上昇基調にあるインフレ期待
米国の期待インフレ率(5年/10年)は先週のFOMC以降、上昇基調にある。
パウエルFRBは「インフレは一時的」とのスタンスを維持しているが、インフレの高止まりリスクについても意識し始めている。
FRBが金融緩和政策からの脱却を模索する中、実際にインフレの高止まりが続く場合、市場参加者は「インフレが一時的でない」状況を意識しよう。インフレ懸念やインフレ期待の上昇は米金利の高止まり、または上昇リスクの要因として注視し続ける必要がある。
期待インフレ率のチャート
・米ドル相場がサポートされやすい状況
米金融政策の転換とインフレが意識される中、2年債、5年債そして10年債の各利回りは上昇トレンドを維持している。期待インフレ率以上に長期金利の方が上昇しているため、米実質金利(10年)のマイナス幅は縮小の傾向にある。
米金利の動きに連動し、ドルインデックスは昨日93.80まで上昇した。この相関性を考えるならば、米金利の上昇が続く間は米ドル高優勢のトレンドを意識したい。
また、利回りの上昇を受けた米株の下落-グロース株主導での株安も米ドル相場のサポート要因となり得る。
リスク回避(米株安)の局面では円買いの圧力も高まりやすい。しかし、米金利の上昇幅が拡大している現在の状況では、米ドル買い優勢を意識したい。リスク回避(米株安)の局面でドル円(USDJPY)が反落する場合は、米金利が低下している時と予想する。
米国の実質金利とドルインデックスのチャート
ドル円とユーロドルのチャートポイント
・ドル円
ドル円(USDJPY)は、111円台の重要レジスタンスポイントである111.65レベル(7月2日高値)をトライする展開となっている。
昨日の米株は全面安となった。しかし、ドル円は陽線引けとなった。米金利の上昇が株安の影響(円買いの影響)を相殺している状況にあることを昨日の動きは示唆している。よって、今日も利回りの上昇が続く場合、ドル円は111.65レベルを完全に突破する可能性が高い。この展開となる場合、次の焦点は112円台への上昇となろう。
一方、米金利が低下する局面では、ドル円の反落を意識したい。目先の焦点は111円台の維持である。111.03は直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる
ドル円のチャート
・ユーロドル
ユーロドル(EURUSD)は、予想通り8月20日の安値1.1662レベルをトライする展開となっている。この水準は、フィボナッチ・プロジェクション100.0%のレベルにあたり、テクニカル面でも重要なポイントである。今日も米金利が上昇基調を維持する場合は、1.1662レベルのトライと下方ブレイクを想定したい。
1.1662レベルを完全に下抜ける場合は、サポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点を確認したい。また、1.1600レベルを次のサポートポイントと想定しておきたい。
一方、米金利が低下する場合は、ユーロドルの反発を予想する。この場合は、1.17台への再上昇が焦点となろう。しかし、ECBとFRBの金融政策スタンスの違いが鮮明となっていることや、ドイツ政治の停滞リスク(連立政権樹立のための交渉が長引くリスク)も考えるならば、今日はレジスタンスのラインとして意識されている10日EMA(1.1717レベル)、もしくは短期レジスタンスライン(1.1733レベル)までの反発が限界と予想する。
ユーロドルのチャート
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