売り圧力に直面する通貨の反発要因
トランプ米大統領は対中関税強化を突如発表。意表を突かれた昨日の各市場は波乱の展開となりました。今後の焦点が米指標データであるという考えに変更はありません。今日は雇用統計が焦点となるでしょう。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・売り圧力に直面する通貨の反発要因
トランプ米大統領は1日、9月1日から対中関税を強化することを表明した。これを受け米国市場は「株安/金利低下」の展開に。外為市場ではこれまでのパターン通り円高圧力が高まった。現状、米中対立リスクが意識される局面で最も売り圧力が高まり易い先進国通貨は豪ドルである。現在、RBA(豪準備銀行)は雇用や賃金の伸びを支援するため金融緩和スタンスを鮮明にしている。このタイミングでの米中対立の再燃は、さらに豪ドル相場の売り圧力を高める材料となろう。事実、昨日は対米ドルで0.6793と、1月3日のフラッシュクラッシュ時に付けた安値レベル(0.6743)を視野に下落トレンドを維持した。このような状況下で豪ドル相場が反発するならば、その要因は冴えない米指標データとなろう。現状、米長期金利(以下米金利)のトレンド決定要因は指標データである。その米指標データの内容が市場予想を下回り続けるならば、米金利には低下圧力が高まり、外為市場では米ドル安優勢の展開となろう。つまり「冴えない指標データ→米金利の低下→米ドル売り」というプロセスを経て豪ドル相場がサポートされる、という構図である。
この構図は、ファンダメンタルズの低迷に直面するユーロ、そしてブレグジットリスクに直面する英ポンドにも当てはまる。豪ドル同様、これら通貨も現時点では買う材料が見当たらない。それでも昨日はユーロドルが反発した。この主因は、米中対立リスクの再燃とISM製造業景況感指数が総じて市場予想を下回ったことで、米金利が一時1.876%まで急低下し、米ドル売り圧力が高まったためである。本日は7月の米雇用統計が発表される。非農業部門雇用者数および平均時給が市場予想を下回る場合、米ドル安を背景に上述した売り圧力に直面する通貨は買戻し優勢の展開を予想する。逆に米雇用統計が市場予想以上ならば、米金利の反発を背景とした米ドルの買戻し優勢を予想する。
【豪ドル/米ドル】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は米雇用統計にらみの展開となろう。上述の通り市場予想以上ならば「米金利の反発→米ドルの買戻し」を背景にドル円の反発を予想する。上値の焦点は108円台の回復である。テクニカル面では21日MA(108.20前後)の突破が焦点となろう。一方、米雇用統計が冴えない内容となれば「米金利の低下→米ドル売り」を背景に下値トライを予想する。目先の焦点は、重要サポートポイントでありビッドが観測されている107.20の維持である。昨日は107.25レベルでサポートされた。107.20のブレイクは107.00トライのシグナルと想定したい。6月25日安値106.77トライは米金利だけでなく米株の動向も影響しよう。冴えない米雇用統計が追加緩和の期待感を高めることで米株のサポート要因となる場合、106.77前後でサポートされる展開を予想する。逆に冴えない指標データを素直にリスク要因として市場が捉える場合は、106.77の下方ブレイクを警戒したい。106.80にはビッドの観測あり。
ユーロドルは米指標データと金利にらみの展開が続こう。米金利低下のケースでは1.1100がサポートからレジスタンスへ転換するかどうか、この点が焦点となろう。このレベルにはオファーが観測され始めている。テクニカル面では10日MA(1.1130前後)のトライが焦点となろう。一方、米金利反発のケースでは、昨日安値1.1025の維持が焦点となろう。1.1020にはビッドの観測あり。
【ドル円】
【ユーロドル】
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