FEDの政策インパクト
リスク選好局面では今後米ドル安対円安の戦いが想定されます。一方、リスク回避局面では米ドル高対円高の戦いとなるでしょう。今回は後者の局面となる場合、どちらが戦いを制するのか?この点にフォーカスしました。詳細はレポートにて。
FEDが変えた米ドルと日本円の力関係
13日の米国株式は、ナスダック総合指数が取引後半にプラス圏へ転じたものの、総じて軟調地合いとなった。米株が下落した際、外為市場で最も選好される通貨は何か?この点が重要な焦点となる。過去のパターンで言えば、リスク回避の局面で選好されやすい通貨は米ドルと日本円である。3月のリスク回避局面では、米ドル買い圧力が円買い圧力を上回った。しかし、昨日は円買い圧力が米ドル買い圧力を上回り、ドル円は安値107.49まで下落する局面が見られた。
なぜ、米ドル買いと円買いの力関係が逆転したのか?その答えは、13日のレポート「感染状況にらみの展開」の後半部分で指摘したパウエルFRB(以下FED)の政策にある。その政策とは大量の資金供給である。3月23日、FEDは急速に高まってきた信用不安を最大のリスク要因と捉え、無制限の量的緩和に踏み切った。これ以降、米ドルの対日本円でのパフォーマンスが頭打ちとなり、同月25日以降の対円パフォーマンスは低下基調を辿った。4月上旬に米ドル買いが散見されると、FEDは9日に2.3兆ドルの資金供給を決定。その後、米ドルの対円パフォーマンスはマイナスへ転じている。つまり、リスク回避局面における米ドルと日本円の力関係を変えたのはFEDということになる。そして、FEDがコロナ問題後の経済情勢を見据え、現在の超緩和政策を続ける可能性が高いことを考えるならば、リスク回避局面では、日本円が外為市場で最も選好される通貨となる局面が今後多く見られると筆者は想定している。
ドル円のパフォーマンス
ドル円は引き続き株式にらみの展開
本日のドル円も株式動向にトレンドが左右される展開を予想する。このレポートを執筆している時点(午前7時30分)の米株先物はプラス圏で推移している。この状況が続けば、ドル円は108円台への再上昇を予想する。だが、現在はFEDの超緩和政策により米ドル安圧力が高まり易い状況にある。よって、株高がサポート要因となっても上昇幅の拡大は期待できない。本日は10日と13日に上値を抑制した108.50-60をレジスタンスゾーンと想定し、まずはこの水準の攻防となるかどうか?この点を見ていく必要がある。上記のゾーンにはストップの買いオーダーが並んでいる。
一方、株式市場、特に米株が軟調地合いとなる場合は107.00を視野に下落する展開を予想する。107.10および107.00にはそれぞれビッドが観測されている。
ドル円チャート
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