株式と連動する円相場 / ドル円の焦点
今日のポイント:『円相場は株式と連動する相場となっている。株高のみのリスク選好相場ではクロス円主導での円安を想定したい。株高と米金利が同時に上昇する局面ではドル円が円相場下落のけん引役となろう。今日のドル円のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
株式と連動する円相場
昨日NYタイムの外為市場では米株の反発を受け、米ドルと日本円に売り圧力が高まった。
序盤の米国株式は下落幅が拡大する局面が見られたが、パウエルFRB議長が議会公聴会で金融緩和政策を続ける意向を示したことで、取引中盤以降は徐々に買戻し優勢の展開となった。ダウ平均とS&P500指数は小幅ながらも反発して取引を終了した。
株高(米株高)に連動している通貨が、日本円である。昨日のパフォーマンを確認すると、対スイスフラン以外では総じて円安となっている。株高と円安が連動する傾向は対新興国通貨でも見られ、昨日はトルコリラ以外では総じて円安となった。
円相場のパフォーマンス
では、現在の円安(円相場の下落)のけん引役は、ドル円とクロス円どちらなのか?この点は、米長期金利(以下では米金利)の動向に左右されよう。
昨日のように米金利の上昇が限定的となるケースでは、クロス円主導での円安を想定したい。
株高と円安の連動性が高まったのは昨年の11月以降-つまり米大統領選挙で米国政治の不透明感が払しょくされて以降である。この時からの円相場のパフォーマンスを考えるならば、株高のみのリスク選好相場ではポンド円、豪ドル円そしてNZドル円といった通貨ペアが円安をけん引する展開を想定したい。
英ポンドは、ワクチンの普及と『ロックダウンの段階的な解除→欧州よりも早い景気の回復』に対する期待を背景に上昇しやすい状況にある。
そして豪ドルやNZドルといったオセアニア通貨は、株高との連動性が未だに高い。
一方、株高と米金利が同時に上昇する局面では、ドル円が円安を主導すると予想する。
円相場のパフォーマンス
ドル円の焦点
ドル円は、米国市場にらみの展開が続こう。
米株と金利が同時に上昇する局面では、上値をトライする展開を想定したい。このケースでの焦点は、105.80-90の攻防である。先週の17日以降、このレジスタンスゾーンで上値が抑制され104円台へ下落する展開が見られた。この水準を突破する場合は、今月17日の高値106.21レベルのトライが焦点として浮上しよう。
市場参加者の短期的な思惑を反映するリスクリバーサル(1週間)の上昇は一服している。
パウエルFRB議長が金融緩和継続のスタンスを改めて表明したことを考えると、米金利の上昇が一服する可能性がある。
これらの点を総合的に考えるならば、今日は上記のレジスタンスポイントで上値が抑制される展開を想定したい。
一方、下値の焦点は、短期サポートラインの攻防となろう。このラインは本日、104.90台で推移する。
このラインのブレイクは、米株の下落とそれに連動して米金利が低下している状況が予想される。このケースでのドル円は、104.50レベルを視野に下落幅が拡大する展開を警戒したい。今月の9日から11日にかけて、104円ミドルは相場をサポートした経緯がある。
ドル円のチャート
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