FOMC後の米ドル売りが続く / ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:『FOMC後のドル売りが続いている。米金利の上昇が抑制されていることから、目先はドル安優勢を想定したい。ドル円とポンドドルのチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
FOMC後の米ドル売りが続く
FOMC後、外為市場では米ドル売りが続いている。昨日のドル円(USDJPY)は109.40台まで下落した。一方、ユーロドル(EURUSD)は1.19、ポンドドル(GBPUSD)は節目の1.40を視野にそれぞれ反発基調を維持している。
米ドル売りの要因は、金利の動向にあると考えられる。パウエルFRBが年内にも量的緩和の縮小(テーパリング)を開始する可能性があるとの報道が一部であるが、金融政策の方向性に敏感な2年債利回りは0.20%付近で上昇が抑制されている。
一方、景気の先行きを反映する10年債利回り(長期金利)は、米株が最高値圏にあるにもかかわらず、1.3%以下での推移が続いている。
これらの動向は、早期(年内)のテーパリング開始の可能性が現時点では低いこと、そして米経済の成長がピークアウトし、今後は鈍化していくことを米債市場の参加者が意識していることをうかがわせる。
いずれにしても米金利が反発の基調へ転じない限り、調整の米ドル買いは見られても、それがトレンド化する可能性は低いと思われる。目先の外為市場は、米ドル売り優勢の展開を想定したい。
米金利の動向
ドル円は上下とも移動平均線の攻防に注目
昨日のドル円(USDJPY)は、50日EMA(今日現在109.95レベル)で上値が抑制され下落した。そして、今年に入りサポートラインとして意識されている89日EMA(今日現在109.41レベル)をトライする展開となった。
本日のオセアニア時間でも売り優勢の状況となっている。また、MACDはデッドクロスとなって以降低下基調にあり、反転のシグナルは点灯してない。
よって、今日のドル円も下値トライを警戒したい。
現在の状況を考えると、89日線を下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、同じく今年に入りサポートラインとして意識されている100日EMA(今日現在109.25レベル)のトライを想定したい。今月19日の下落の時は、100日線が相場をサポートした経緯がある。
100日線をも下方ブレイクする場合、米ドル安だけでなく円高の圧力も同時に発生していることが考えられる。その円高の圧力を高める要因として注視すべきは米株の下落である。米株のボラティリティ指数を見ると、投資家のリスク回避スタンスが高まっている状況にはない。しかし、週末かつ月末というタイミングと最高値圏にある状況を考えるならば、今日は調整の反落を警戒しておきたい。
ドル円が100日線をブレイクする場合、109円台の維持が焦点として浮上しよう。
一方、上値の焦点は110円台への再上昇で変わらず。テクニカルの面では、50日線のトライおよび突破となるか?この点に注目したい。
ドル円のチャート
1.40を視野に上昇基調を維持するポンドドル
今週、筆者が注目しているポンドドル(GBPUSD)だが、昨日は大陽線の示現で短期レジスタンスラインとフィボナッチ・リトレースメント50.0%の水準を難なく突破した。上で述べたとおり、米債市場では金利の反発が抑制されている。この状況が続く限り、ポンドドルは調整の反落を挟みながら上値をトライする可能性があろう。
今日の上値ターゲットは、61.8%の水準1.3989である。このテクニカルポイントの上方ブレイクは、1.40トライのシグナルと想定したい。
6月下旬に1.40前後で上値が抑制された経緯を考えるならば、1.3989-1.4000はレジスタンスゾーンでもある。このゾーンの突破後、1.40台の維持にも成功する場合は、さらなる上値トライのシグナルと想定しておきたい。
一方、良好な指標データによる米金利の反発や米株の下落局面では、米ドル買い優勢の展開が予想される。このケースでは、リトレースメント50.0%の水準1.3909レベルもしくは89日EMA(今日現在1.3882レベル)がレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点に注目したい。ポンドドルが反落しても、上のサポートポイントで相場が反転する場合は、上昇トレンドの維持を意識したい。
ポンドドルのチャート
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