FOMCとマーケットの反応 / ドル円とポンドドルの焦点
サマリー:『今回のFOMCを米債市場と外為市場の参加者はハト派的と捉えた。ドル円は上値の重い展開を予想。ポンドドルは戻り高値の水準を見極める局面にあり。上下のチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
FOMCとマーケットの反応
米連邦準備理事会(FRB)は28日、連邦公開市場委員会(FOMC)でゼロ金利政策と量的緩和政策の維持を決定した。
量的緩和の縮小(テーパリング)についてパウエルFRB議長は、討議を継続するも開始の時期については、今後の経済動向次第との認識を示した。
その経済について声明では、ワクチン接種の進展と大規模な景気刺激策で経済活動と雇用の指標は力強さを増したとした。しかし、今後の情勢については、新型コロナウイルスの動向に左右されるとも指摘した。
また、雇用情勢についてパウエルFRB議長は、最大雇用の目標にはまだ遠いとの認識を示した。
一連の発言を受け、米債市場では長期金利が1.22%台まで低下する局面が見られた。期待インフレ率が上昇基調を維持していることで、米国の実質金利(10年)はマイナス1.17%へ低下幅が拡大した。2年債利回りは0.20%台で横ばい推移となった。
一方、外為市場ではFOMC後に米ドル売り優勢の展開となった。
これらマーケットの動きは、今回のFOMCについて両市場の参加者がハト派的と捉えたことがわかる。
米長期金利と実質金利の動向
上値の重い展開が続くドル円
昨日のドル円(USDJPY)は110.28レベルまで上昇するも、FOMC後の米ドル売りに圧され、109円台へと反落した。しかも日足ローソク足は、長い上ヒゲ付きの上影陽線となった。
昨日の動きは、ドル円の上値の重さを示唆している。今日は89日EMA(今日現在109.42レベル)および100EMA(今日現在109.26レベル)のトライを警戒したい。
今月27日の安値109.57レベルのブレイクは、89日線をトライするシグナルとなり得る。
一方、ドル円が上値を目指す展開となっても、米金利の上昇が抑制されている現状では、111円台をトライする可能性は低い。昨日の上昇を止めた110.30レベル、もしくはレジスタンスポイントとして意識されている110.60レベルで反落する展開を想定したい。
ドル円のチャート
反発基調が続くポンドドル
ドル円とは対照的に、ポンドドル(GBPUSD)は上昇基調を維持している。89日EMA(今日現在1.3879レベル)の突破にも成功したことで、今日の焦点は1.39台への再上昇となろう。
テクニカル面での焦点は、6月の高値と7月の安値の半値戻しの水準1.3909レベルの攻防となろう。昨日は、このテクニカルポイントで上値が抑制された。
米債市場では、今回のFOMCがハト派的と捉えられている。今日も米金利の上昇が抑制される状況が続く場合、ポンドドルは半値戻しの水準を突破し、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.3989レベルを視野に上昇する可能性が出てくる。61.8%の突破は1.40トライのシグナルと想定しておきたい。
ポンドドルの反落リスクとして警戒すべきは、米株安である。昨日の米株価指数は、新型コロナの変異株リスクが意識されダウ平均が120ドル超下落した。S&P500も売り買いが交錯し上値の重い展開となった。半値戻しの水準で上昇が止められているタイミングで米株の下落幅が拡大する場合は、ポンドドルの反落を警戒したい。このケースでは、89日線がサポートラインとなるかどうか?この点に注目したい。
89日線をブレイクする場合は、21日EMA(今日現在1.3830レベル)のトライを想定しておきたい。
ポンドドルのチャート
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