株安の局面では米ドル買い パウエルFRB議長の講演待ち / ドル円とユーロドルのポイント
サマリー:「市場の関心はパウエルFRB議長の講演内容にある。ドル円は110円台の維持に成功。ユーロドルは短期レジスタンスラインで反落。今日の焦点は?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
株安の局面では米ドル買い パウエルFRB議長の講演待ち
昨日の米国株式は、アフガン情勢の緊迫化やジャクソンホール前の利益確定売りにより反落した。一方、外為市場では、米ドルを買い戻す動きが見られた。リスク選好相場の局面では米ドル安優勢の展開が見られていたことを考えるならば、今の米ドル相場は株式にらみの展開となっている。
本日の焦点は、日本時間23時に予定されているパウエルFRB議長の講演である。
直前になって日程や方式が変更された今回のジャクソンホール会議に対する市場の注目度はやや低下ぎみである。しかしパウエル氏が金融政策の方向性に言及してくる場合、米国株式と米ドル相場を大きく変動させる要因になり得る。雇用やインフレの評価について言及してくる場合は、従来のスタンスを踏襲するのか?それとも違いが見られるのか?これらの点にも注目したい。
なお、昨日はジョージ・カンザスシティ連銀総裁とブラード・セントルイス連銀総裁から早期の量的緩和縮小(テーパリング)について積極的な発言が聞かれている。7月FOMC以降のFEDスピーカー達からタカ派的な発言が聞かれたことや議事要旨の内容も考えるならば、意見の相違はあるものの、パウエルFRB内では年内のテーパリングに向けたコンセンサスが徐々に形成されていると考えられる。
ドルインデックスのチャート
ドル円のポイント
今日のドル円(USDJPY)は、パウエルFRB議長の講演後に動きが出ると思われる。それまでは110.00前後で売り買いが交錯する相場を予想する。
ドル円は昨日、110円台の維持に成功した。また、市場参加者の短期的な予測を反映するリスクリバーサルは、1週間と1ヶ月でともに上昇基調にある。パウエル氏の講演後に上昇圧力が高まる場合、昨日のレポートで指摘した110.20レベルを突破し、今日現在110.43レベルで推移している短期レジスタンスラインの攻防へシフトする展開を想定しておきたい。
短期レジスタンスラインをも突破する場合は、7月の下旬以降レジスタンスのポイントとして意識されている110.60レベルのトライを予想する。なお、110.20は昨日もドル円の上昇を抑制した(高値110.22レベル)。
一方、ドル円が反落する場合は、今日現在109.47レベルで推移している短期サポートラインの維持に成功するかどうか?この点に注目したい。89日EMA(今日現在109.55レベル)の下方ブレイクは、短期サポートラインをトライするシグナルとして注目したい。すぐ下の水準109.43レベルには100日EMAが推移している。
ドル円のチャート
ユーロドルのポイント
ユーロドル(EURUSD)はリバウンド相場を維持できるか、それとも再び1.17割れの展開となるのかの分岐点にある。
ポイントは、短期レジスタンスラインの攻防である。昨日は陰線(日足ローソク足)が示現し、見事に短期レジスタンスラインで上値が抑制された。だが、市場参加者の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1ヶ月)は、緩やかながらも上昇基調にある。今日のパウエル講演が米ドル安イベントとなれば、短期レジスタンスラインの突破と1.1800トライを予想する。1.18台へしっかり乗せてくる場合は、50日EMA(今日現在1.1825レベル)のトライが焦点となろう。
一方、パウエル講演が米ドル買いのイベントとなる場合は、1.17割れを警戒したい。今月20日の安値1.1662レベルを下方ブレイクする展開となれば、ユーロドルに対する市場の思惑も変化しよう。1.1662を完全に下方ブレイクする場合、来週以降、1.1600を視野に下落幅が拡大する可能性を意識したい。
ユーロドルのチャート
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