“思惑先行”相場の反動と今後の焦点 / ドル円の短期的な展望
パウエルFRB議長の会見後、各市場では”思惑先行”で進行したトレンドを調整する動きー米金利の低下、米ドル高の調整、米国株の反発の展開となった。このトレンドは長く続くのか?ドル円の注目ポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
“思惑先行”相場の反動と今後の焦点
【サマリー】
・パウエルFRB議長の会見後に思惑先行で上昇していた米金利が低下
・米金利の低下を受け外為市場ではドル安優勢の展開に
・”思惑先行” 相場の反動は短期で終息すると予想
・ドル円の短期的な展望とチャートポイントについて
・思惑先行で上昇していた米金利が低下
14日に配信したレポートでは、思惑先行で上昇幅が拡大している米金利は連邦公開市場委員会(FOMC)後に一度低下する、と指摘した。予想どおり連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の会見後に米国債の利回りには低下の圧力が高まり、外為市場は米ドル安優勢の展開となった。一方、米国の株式市場では主要指数が上昇した。米国債利回りの低下、米ドル相場の下落そして米国株の反発-これらの一連の動きは、思惑先行で進行していた相場の反動、というのが筆者の見解である。
各市場の動き:パウエルFRB議長の会見後
・今後の焦点について
目先は、思惑先行で進行した相場の反動-米国債利回りの低下とそれに伴う米ドル高の調整相場が続く可能性を意識したい。しかし、現時点でそれらの動き(思惑先行で進行した相場の反動)が見られても、一過性の現象で終わると予想する。
米国が高インフレの状況からすぐに脱却することはできない。この点を見越し、短期金融市場では7月FOMCでの075ポイントの利上げ確率を87%前後まで織り込んでいる。パウエルFRB議長は会見で、次回会合での利上げについて0.5ポイントか0.75ポイントの利上げに言及したが、市場ではインフレリスクとそれに伴う大幅利上げの方が強く意識されている状況に変わりはない。
また、米金融引き締めの加速は、将来の景気後退の可能性をさらに高めよう。注目すべきは、国際商品市場と株式市場の動きである。ロシアーウクライナ紛争の長期化とそれに伴う資源の供給問題が意識されることで、国際商品市場の下落幅は限定的となる可能性がある。しかし今後、主要中銀の急速な金融引き締めの影響で世界全体の景気後退がより鮮明となる場合、資源需要の縮小観測が強く意識されよう。ゆえに国際商品市場では、これまでのような上昇トレンドを維持する可能性が低下すると予想する。このような状況となれば、資源国通貨の売りが米ドル相場をサポートする展開が予想される。
一方、景気の後退懸念の高まりは、米国をはじめとした主要な株式市場の重石となろう。リスク回避の動き(株安)も米ドル相場のサポート要因である。
ドル円の短期的な展望とチャートポイント
・新たなサポートポイントの模索
昨日のドル円(USDJPY)の日足ローソク足は大陰線となった。フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準133.48レベルでサポートされたが、通貨オプション市場のリスクリバーサルの動きを確認すると、急速にドルプットへと傾いている。また、RSIではドル円の反落シグナルが点灯。MACDではデッドクロスが示現していないが、低下基調へ転じていることを考えるならば、それが示現する可能性がある。思惑先行で上昇してきた米国債の利回りは短期的に調整相場へ入ることが予想されることも考えるならば、目先、ドル円の焦点は新たなサポートポイントの模索にあろう。
ドル円のチャート
ドル円が続落する場合は、フィボナッチ・リトレースメントの各水準での攻防を注視したい。その過程でもうひとつ注目したいのが、移動平均線での攻防である。10日移動平均線(EMA)は今日現在133.27レベルで推移している。21日移動平均線(SMA)は、130.65レベルで推移している。これら移動平均線とリトレースメントの各水準のいずれかが、相場をサポートする可能性がある。実際そのような状況が確認される場合は、ドル円の反発を想定したい。
ドル円のチャート
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