米金利にらみの展開が続く外為市場 / 主要通貨とドル円の展望
今日のポイント:『外為市場は米金利にらみの展開が続く。米金利の動向次第で米ドル相場のトレンドが左右されよう。短期的なドル円のチャートポイントは?』詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利にらみの展開が続く外為市場
今週の外為市場は米金利にらみの展開が続こう。
先週の米債市場では、バイデン政策の実行とそれに伴う将来のインフレが意識され、長期金利(10年債利回り)は1.6%台へ急騰した。FEDによる金融緩和政策が実行されている状況にもかかわらず、2年債利回りも0.194%まで急騰する局面が見られた。
先月26日にこれら金利の急騰は一服したが、5年の期待インフレ率はコロナショック前の水準(1.6~1.7%台)を突破し2.3%台へと上昇している。上昇に一服の兆しが見られる10年の期待インフレ率も2.1%台と、コロナショック前の水準(1.6~1.8%台)を超えて推移している。
これらの動向は、大規模な経済政策の実行による持続的なインフレを市場関係者が意識していることを示している。
このタイミングで米下院は27日未明に1.9兆ドル(約200兆円)の経済対策法案を可決した。
上院では『共和党の壁』が立ちはだかることが予想されるため、規模の面で修正される可能性はあるが、今月中旬までに上院でも法案が可決される見通しとなっている。
『政策の実行→景気の回復→インフレの加速』を米債市場が意識し、先週と同じく金利の急騰局面が見られる場合、外為市場では米ドル高の圧力が高まろう。
期待インフレ率のチャート
主要通貨とドル円の展望
米金利の急騰は、米株をはじめとした株式市場の下落要因である。よって、今週もこの局面が見られる場合、米ドル買い優勢の展開を予想する。
対照的に2月の相場で上昇した資源国通貨(豪ドル/NZドル/一部の新興国通貨)には売り圧力が高まろう。欧州通貨でも同様に米ドル買い優勢の展開を予想する。
逆に米金利の上昇が一服する場合は、米ドル安優勢の展開を予想する。株高を背景に資源国通貨や新興国通貨には買いの圧力が高まろう。
ユーロドルは1.22台、ポンドドルは1.42台を視野にどの水準まで反転できるか?これらの点に注目したい。
一方、ドル円だが、米金利の急騰による株安のケースでは、米ドル買いvs円買いの戦いとなろう。円買いの圧力が勝っても、下落幅は限定的となる可能性が高い。
テクニカル面での焦点は、短期サポートライン(今日現在105.00)の維持となろう。21日MA(今日現在105.41レベル)の下方ブレイクは、短期サポートラインをトライするシグナルと想定したい。
一方、米金利が1.2%~1.6%の水準で安定的に推移する場合(上昇は一服するが低下幅も限定的となる場合)は、米株高要因となる。このケースでのドル円は、円安圧力を土台に上昇トレンドを維持する展開を予想する。
目先の焦点は、昨年の8月に上値を抑制した107.00トライとなろう。
予想変動率は上昇基調にある。目先は、上下どちらにも変動幅が拡大する展開を警戒しておきたい。
ドル円のチャート
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