米株への依存度が増すドル円
1月のFOMCでパウエルFRBはさらにハト派スタンスを鮮明にしてきました。米長期金利の低下とそれに伴う米ドル相場の下落は想定の範囲内でした。一方、米株は将来の先行き不透明感よりも金融政策リスクの後退に反応。ドル円のトレンド(特に反発トレンド)はますます米株の動向次第という状況になってきました。詳細はマーケットレポートをご参照ください。
Analysis Highlights
・米株への依存度が増すドル円
29日の海外外為市場は米ドル売りの展開となった。この日のFOMCでパウエルFRBは予想通り政策金利の据え置きを決定。声明文では、FF金利のターゲットレンジ関する将来的な調整についてFEDは辛抱(忍耐)強くなれる(=the Committee will be patient as it determines what future adjustments to the target range for the federal funds rate)とし、昨年12月会合で示した年2回の利上げ予測を棚上げする可能性を示唆してきた。また、バランスシートの縮小戦略についても経済動向に応じて修正していくことを示唆。この決定は、資産縮小ペースの減速および早期終了の可能性を市場に意識させた。FEDがハト派スタンスをさらに鮮明してきた主因は、中国や欧州経済の減速傾向にある(パウエルFRB議長)。海外リスクに対する警戒レベルを引き上げざるを得ない情勢であることをFEDが認めたことで、今年の米長期金利は低下圧力に直面し続けよう。長期金利の低下は米ドル安圧力につながろう。実際、昨日のFOMCイベントを受け想定通り「米長期金利→米ドル下落」の展開となった。しかし、筆者の予測とは逆に米株は、海外リスクよりも金利上昇リスクの後退に反応した。S&P500 指数は短期レジスタンスラインを突破し、テクニカル面でさらなる上昇シグナルが点灯している。この状況はドル円の上値水準がさらに米株に依存する状況に陥ったことを意味する。持続的な米株の反発基調を巡る次の焦点は、米中通商協議となろう。このイベントに関する焦点については1月30日のレポート「FOMCと米中通商協議」を参照されたし。
【チャート1:S&P500】
・ドル円は株式にらみ ユーロドルは1.15台の攻防シフトを意識
本日のドル円のトレンドは、株式動向に左右されよう。FEDがさらにハト派スタンスを鮮明にしたことで世界的に米ドル安圧力が高まり易い状況にある。このような状況の下、米中通商協議に関して新たなネガティブ報道が発信される場合、米株に再び調整の反落圧力が高まろう。このケースでは、108円台の攻防シフトを想定したい。テクニカル面では1月4日安値107.50を起点とした短期サポートライン(108.67前後)の維持が焦点となろう。米株の下落幅が拡大する場合は、このラインのブレイクおよび108.00トライを警戒したい。108.80、108.50および108.00にはそれぞれビッドが観測されている。一方、米株が反発基調を維持する場合は109.80レベルを上限と想定し、上値の水準を探る展開となろう。
ユーロドルは「米長期金利の低下→米ドル安」にサポートされ、1.15台の攻防へシフトする展開を想定している。テクニカル面では、昨日上値をレジストしたリトレースメント76.40%の水準1.1503の突破が焦点となろう。このレベルの突破に成功する場合、次のターゲットは長い上ヒゲが示現した1月11日高値1.1540を想定。この水準をも突破する展開となれば、10日高値1.1570を視野に上昇幅の拡大を意識したい。一方、下値の焦点は21日MAの維持で変わらず。このMAは今日現在1.1400で推移している。
【チャート2:ドル円】
【チャート3:ユーロドル】
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