米金利の動向に右往左往するドル相場 / 4つのトレンドパターンとドル円のチャートポイント
今日のポイント:『米ドル相場は金利の動向に右往左往する展開となっている。現在の外為市場では4つのトレンドパターンが見られる。ドル円のチャートポイントは?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利の動向に右往左往するドル相場
昨日の米債市場では、長期金利(10年債利回り)をはじめ各年限の金利が低下した。この動向を受け、米国の株式市場では半導体株やハイテク株への買い戻し圧力が高まり、ナスダック総合指数が急反発した(前日比3.69%)。ダウ平均とS&P500も上昇して引けた。
米国市場が株高のみのリスク選好相場となったことを受け、外為市場では米ドル安の圧力が高まった。特に株式動向との連動性が高い豪ドルやこれまで売り優勢だった新興国通貨(トルコリラ/南アランド/メキシコペソ/ブラジルレアル)で米ドル安優勢の展開となった。
米金利が高止まりの局面では米ドル高となり、その金利が若干でも低下すると米ドル安になるなど、現在の米ドル相場は金利の動向に右往左往する展開となっている。
米ドル相場のパフォーマンス
4つのトレンドパターン
多くの要因が日々複雑に絡み合う外為市場だが、米金利に加え株式の動向も併せて考えると、大まかに4つのトレンドパターンに分けることができる。
1:株高だが米金利が低下するケース
米金利の低下を受け米ドル安の圧力が高まる。株高を受け円安の圧力も同時に高まるが、米ドル高が急速に進行した現在の状況では、米ドル安の圧力がより高まりやすい状況にある。一方、株式との連動性が高い豪ドルや資源国通貨としての特徴を持つ新興国通貨への買い圧力が高まる傾向が見られる。
2:米金利の上昇が株安要因となるケース
米ドル買いの圧力が最も高まりやすいのがこのケース。株安を受けて円買いの圧力も高まるが、現状では米ドル買い圧力の方がより高まるトレンドが見られる。
3:株高と米金利の上昇が同時に発生するケース
円売りとスイスフラン売りの圧力が高まる。対照的に資源国通貨やその特徴を持つ一部の新興国通貨が買われる傾向が見られる。米ドル相場は上昇/下落両方のトレンドが見られる。
4:株安と米金利の低下が同時に発生するケース
円買いとスイスフラン買いの圧力が高まる。対照的に資源国通貨や新興国通貨の売り圧力が高まる。このケースでは米ドル買いの圧力も高まるが、米金利の低下が相場の重しとなるため、対円やスイスフランでは下落する傾向にある。
ドル円は見事に長期レジスタンスラインで反落
ドル円の動向を上のトレンドパターンに当てはめて考えるならば、パターン1と4のケースではドル円が下落し、パターン2と3のケースではドル円が上昇すると予想することができる。
そのドル円だが、昨日はパターン1の展開となり、見事に長期レジスタンスラインで上値が抑制された。このラインは2015年から続いているドル安/円高のトレンドを象徴するラインである。そのラインで上値が抑制されたという事実は、未だに米ドル安/円高のトレンドが市場で意識されていることを示唆している。
目先は、長期レジスタンスラインの攻防が焦点となろう。突破できるか?それとも突破できずに反落するか?どうかは、上で述べたとおり米金利の動向次第である。
このラインは月足ベースで109.20レベルにある。一方、日足ベースでは今日現在109.35レベルで推移している。米金利の上昇局面では109.20-30レベルの攻防を注視したい。
一方、下値の焦点は108円台の維持となろう。108.00レベルは大陽線が示現した今月4日の高値レベルであり、翌日5日は108円台の維持に成功している。
米金利の低下で昨日の安値レベル108.40を下方ブレイクする場合は、108円台を維持できるかどうか?この点に注目したい。
株高の調整(株安)と米金利の低下が同時に発生する場合は108円ブレイクを意識したい。この場合、目先の焦点として、リトレースメント23.6%の水準であり10日MAが推移している107.60前後の攻防に注目したい。
ドル円のチャート:月足
ドル円のチャート:日足
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