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ポンド円は2008年8月以来の206円台、 イギリス総選挙後も上昇トレンドを維持か、次の上値水準は?

7月4日にイギリスで総選挙が行われる。14年ぶりの政権交代が現実味を帯びている。しかし、この点についてはすでに市場で織り込まれている。円安の進行が止まらない状況も考えるならば、総選挙後もポンド円は、新たな上値の水準を見極める状況が続くだろう。次に注目したい上値の水準は?

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この記事のポイント

・円安の進行が止まらず、ポンド円は206円台へ上昇
・イギリスの総選挙では、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びている
・政権交代は外為市場で織り込みずみ、ポンド円は選挙後も上昇基調を維持か
・ポンド円、注目の上値水準について


円安が止まらない

3日の外為市場は、クロス円を中心に円安優勢の展開となった。ドル円(USD/JPY)は162円を視野に上昇トレンドを維持した(高値161.95レベル)。

円相場の動向:7月3日

円相場の動向:7月3日 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

イギリス総選挙とポンド相場の展望

4日にイギリスで議会下院の650議席を争う総選挙が行われる。与党・保守党を率いるスナク英首相は、大型減税などを訴えて巻き返しを図っている。しかし、現時点での世論調査を確認すると、最大野党・労働党が支持率で大きくリードしている。

労働党が最大過半数を確保し圧勝することで、14年ぶりの政権交代が現実味を帯びている。

イギリス総選挙の世論調査

イギリス総選挙の世論調査 出所:BBC / 7月3日時点の動向

労働党は、欧州連合(EU)からの離脱で残された課題に向き合う姿勢を示している。例えば、EU諸国と貿易を行う際の障壁の撤廃や、障壁にともなう問題(書類手続きの負担の問題など)に直面している中小企業を支援すると主張している。いずれにせよ労働党のスターマー党首は経済協力の面でEUとの関係改善を模索すると見られる。この点は、ポンド相場にとってポジティブな要因となろう。

しかし、政権交代はすでに外為市場の参加者も織り込んでいる。ゆえに総選挙の結果がポンド相場に与える短期的な影響は限定的となろう。

むしろ、政権交代を織り込んたポンド買いが6月下旬から見られた状況を考えるならば、「事実でポンドを売る」展開を警戒しておきたい。


ポンド円、目先の見通し

16年ぶりの206円

ポンド円(GBP/JPY)は3日、円安の進行に伴い2008年8月以来およそ16年ぶりに206円台へ上昇した(3日の高値206.19レベル)。6月以降、ポンド円は上昇一辺倒のトレンドにある。それだけに、調整の反落を警戒する必要はあろう。

しかし、冒頭で述べたとおり外為市場では円安が止まらない状況にある。米ドル売りが見られてもドル円(USD/JPY)は162円が視野に入る。

ポンド円のチャート:月足 2006年以降

ポンド円のチャート:月足 2006年以降

出所:TradingView

一方、ポンドドル(GBP/USD)も、EUとの関係改善を模索する労働党が政権に返り咲くことを想定したポンド買いにより、6月の下旬以降、反発のトレンドにある。昨日は21日線を難なく上方ブレイクした。そして今は、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準1.2754レベルおよび1.2800レベルをトライする状況にある。

ポンドドルのチャート:日足 今年3月以降

ポンドドルのチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView

現状、短期金融市場ではイングランド銀行(英中銀)が8月の金融政策委員会(MPC)で利下げを行う可能性を意識している。

しかし、英中銀が注視しているサービス価格のインフレ率は前年同月比で5.7%と、依然高止まりしている(5月は5.5%の市場予想を上回った)。

今月17日の6月消費者物価指数(CPI)でインフレ圧力の粘着性が確認される場合は、8月の利下げ期待が後退するだろう。利下げ期待が後退すればポンド相場の下支え要因となろう。

次の上値の焦点は?

総選挙後も根強い円安にサポートされポンド円(GBP/JPY)が上昇トレンドを維持する場合、次の焦点はフィボナッチ・エクステンション161%の水準207.39レベルのトライとなろう(45分足チャートを参照)。

現在、レジスタンスの水準として意識されているエクステンション100%の水準206.04の上方ブレイクと206.00前後の「サポート転換」が確認される場合は、207円を視野に上昇幅が拡大すると予想する。

ポンド円が難なく207円台へ上昇する場合は、207.39のトライを想定したい。

ポンド円のチャート:45分足 6月28日以降

ポンド円のチャート:45分足 6月28日以降

出所:TradingView

207円以上の攻防となる場合は

207円台へ上昇した後もポンド円(GBP/JPY)の上昇が止まらない(円安がさらに進行する)場合は、V計算値の水準209.72レベルが、次に注目すべき上値の水準として浮上する(下の日足チャートを参照)。

この水準(209.72レベル)をも難なく突破し、210円台の攻防へシフトする場合は、フィボナッチ・エクステンション161.8%の水準211.69レベルまでポンド円が急伸する可能性が浮上しよう(下の日足チャートを参照)。

ポンド円のチャート:日足 今年3月以降

ポンド円のチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView

反落局面での焦点は?
一方、総選挙後に「事実で売られるポンド」でポンド円が反落する場合は、10日線と21日線の攻防に注目したい。

6月中旬以降、サポートラインとして意識されている10日線は今日現在、203.71レベルまで上昇している(上の日足チャート、青ラインを参照)。

7月2日は203.88レベルでサポートされた。203.70-90レベルを目先のサポートゾーンと想定しておきたい。

なお、21日線は今日現在、201.85レベルで推移している。


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