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再びポンド安に転換か 英GDPはマイナス成長予想 7-9月期

イギリスの7-9月期GDPはマイナス成長の見込み。10月末から進んできた円安ポンド高の流れが反転する可能性もある。

出所:ブルームバーグ

イギリス統計局が10日に発表する2023年7-9月期GDPは実質成長率が前期比でマイナスになると予想されている。英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が8月まで続けた利上げの結果、経済活動が冷え込んでいる見通しだ。BOEは今後は利下げに向かうとの見方が強まっており、予想通りに7-9月期のマイナス成長が確認されれば、外国為替市場では10月末から加速していたポンド高が反転する可能性もありそうだ。

イギリスの7-9月のGDP成長率は1年ぶりのマイナスか

英統計局は10日午前7時(日本時間10日午後4時)に7-9月期のGDPを発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、実質成長率は前期比マイナス0.1%になると見込まれている。予想通りの結果となれば、2022年7-9月期(マイナス0.1%)以来1年ぶりのマイナス成長となる。

イギリスの実質GDP成長率(前期比)の推移のグラフ

経済が冷え込むという予想の背景にあるのはBOEが8月まで続けてきた利上げだ。BOEは物価上昇を抑え込むため、2021年12月から14会合連続の利上げで、政策金利を5.25%まで引き上げた。この結果、9月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、総合指数で前年同月比6.7%となり、2022年10月のピーク(11.1%)から低下。その一方で、9月の小売売上高が前月比0.9%減となるなど、経済活動の落ち込みが目立っている。

イギリスの消費者物価指数(CPI、総合、コア)の伸び率とイングランド銀行の政策金利の推移のグラフ

BOEの次の一手は利下げとの観測も

こうした中、BOEの次の一手は利下げだとの観測が強まっている。BOEは9月に利上げを見送り、さらに11月2日の理事会でも政策金利を据え置いた。2日の声明文では今後の経済指標次第で追加利上げが必要になる可能性にも触れているが、経済が冷え込み始める中では追加利上げを正当化する材料は出にくいとの見方が成り立つ。

金融情報会社リフィニティブのデータによると、12月14日に結果が発表される次回のBOE理事会での利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は日本時間8日正午すぎの段階で約90%。その後、2024年春以降には利下げが行われるとの見方が優勢なようだ。ロイター通信によると、BOEのチーフエコノミストのヒュー・ピル氏は6日、BOE主催のオンラインイベントで2024年8月以降の利下げについて、「まったく見当違いという感じはしない」と述べた。

一方、ポンド円相場(GBP/JPY)ではこのところ、英国経済の減速予想にも関わらず、円安ポンド高が進んできた。10月31日に日本銀行がイールド・カーブ・コントロール(YCC)の修正を決めた後で円安ドル高が進んだことや、11月3日に発表されたアメリカの10月の雇用統計で労働市場の過熱感緩和が示され、ポンドがドルに対して買われたことなどが要因だ。ポンド円相場は6日には一時、1ポンド=185.95円をつけ、8月31日(186.01円)以来の高さとなった。しかし英国の7-9月期のGDPで経済活動の弱さが示されれば、BOEが利下げに向かうとの観測の確度が高まり、円高ポンド安の流れを生む材料になる可能性もある。


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