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ポンド安が急進 英中銀15会合ぶり利上げ見送り 打ち止め予想も浮上

BOEの利上げ見送りでポンド円相場が180円台まで下落した。見送り決定は僅差だったが、利上げ打ち止め観測も出ている。

出所:ブルームバーグ

外国為替市場でポンド安が急進している。21日の外国為替市場のポンド円相場は一時、1ポンド=180円台まで下落。前日終値から2円以上の円高ポンド安水準に達した。21日にイギリスの中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)が15会合ぶりの利上げ見送りを決めたことが原因だ。BOEは声明の中で政策金利がすでに高水準になっていることや、今後も物価上昇減速が見込まれることに言及している。一方、BOEは利上げ再開の可能性も示唆しているが、金融市場では打ち止めが近づいているとの見方も出ているようだ。

ポンド円相場は一時、1ポンド=180.87円まで下落

金融情報会社リフィニティブのデータによると、21日のポンド円相場(GBP/JPY)は一時、1ポンド=180.87円を付けた。前日のニューヨーク市場の終値から2.22円の円高ポンド安が進んだ形だ。その後はポンドが買い戻されたものの、21日の終値は前日比1.58円の円高ポンド安で取引を終えた。22日午前の東京市場でもポンド安の流れが引き継がれている。

ポンド円相場の推移と主な出来事

ポンド急落のきっかけは21日にBOEが発表した利上げ見送りだ。BOEは2021年12月の金融政策委員会(MPC)以降、14会合連続で利上げしてきたが、今回は政策金利を5.25%に据え置いた。前日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で前年同月比6.2%となり、7月(6.9%)から大きく低下していたため、金融市場では利上げ観測が後退していた

英国の政策金利と消費者物価指数(CPI、総合、コア)の推移

BOEは声明で、現在の政策金利の水準は「引き締め的だ」との見方を改めて提示。物価上昇の現状に関しては、モノの物価上昇率が8月に5.2%まで下がったことに触れ、予想よりも「はるかに弱い結果だった」と評価。一方、サービスの物価上昇率については、変動が大きい旅行関係の項目を除けば、「予想より弱かったとはいえ、高い水準で推移している」とした。そのうえで今後の物価上昇については、「短期的にはさらに大きく下落する」との見通しを示している。

BOEの利上げ見送りは僅差での決定

一方、今回の決定は9人の投票者のうち賛成は5人に留まり、残りの4人は0.25%利上げを支持した。声明は物価上昇の見通しについて上振れる可能性の方が下振れよりも高いことを指摘。「物価上昇圧力がより持続的であることが明らかになれば、追加的な金融引き締めが必要になる」とも強調している。

ただし金融市場では8月の利上げが最後になるとの見方も出ているようだ。リフィニティブによると、11月2日に結果が発表される次回のMPCでの利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は約73%。その後の利上げの回数も「1回未満」と想定されている。英国経済は2023年4-6月期の実質成長率が前期比0.2%となるなど、成長率の低下も懸念される状況で、BOEは物価上昇と景気減速の両方のリスクを見据えなければならない難しい局面に立たされている。


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