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ポンド円上昇に衰えの兆し 英経済ゼロ成長予想 11日GDP発表

英国経済の低空飛行が予想される中、ポンド円の勢いが衰えている。BOEは物価上昇の減速を見込み、利上げペース減速させた。

出所:ブルームバーグ

ポンド円上昇の勢いが失われている。英統計局が11日に発表する2023年4-6月期GDPでは実質成長率がゼロ%になる見通し。予想通りになれば、英国の中央銀行にあたるイングランド銀行(BOE)の想定を下回る数字で、物価上昇圧力の弱まりを感じさせる材料といえる。2021年12月から利上げを続けてきたBOEは、3日の政策金利発表で利上げ幅を0.25%に縮めて様子見の態度を示した。4-6月期GDPの結果がBOEを利上げから遠ざけると判断されれば、円高ポンド安の流れが出る可能性もありそうだ。

英国の4-6月期GDPはゼロ成長の予想

英統計局は11日午前7時(日本時間11日午後3時)に4-6月期のGDPを発表する。ロイター通信がまとめているエコノミスト調査によると、日本時間7日午前の段階で、実質成長率は前期比0.0%と予想されている。英国の実質成長率は2022年4-6月期以降、前期比0%前後の水準で推移しており、低空飛行が続く形だ。

英国のGDP成長率(前期比)の推移

実質成長率が予想通りの結果になれば、BOEの想定以上に弱い結果だといえそうだ。BOEは3日に示した8月の経済見通しの中で、4-6月期の実質成長率はストライキや英国王の戴冠式に伴う休日などの影響で0.1%になると言及している。4-6月期の実質成長率がゼロ%になれば、BOEは経済活動や物価上昇圧力が考えていた以上に弱まっているとみなす可能性がある。

BOEは8月の利上げ幅を0.25%に縮めて様子見

すでにBOEは8月の金融政策委員会(MPC)での利上げ幅を0.25%とし、6月の0.5%から利上げ幅を縮めた。BOEは14回連続の利上げで5.25%に達した政策金利によって「現在の金融政策は引き締め的になっている」とし、7月は7.9%だった消費者物価指数(CPI)の総合指数の前年同月比伸び率が、10-12月期には4.9%まで下がるとみている。ただし0.25%利上げへの賛成は9人のメンバー中6人にとどまり、2人は0.5%の利上げを支持。残る1人は利上げ見送りを主張した。

英国の政策金利と消費者物価指数(CPI)上昇率の変化

こうした中で、ポンド円相場(GBP/JPY)は円高ポンド安の流れが出ている。3日のBOEの政策金利発表後、ポンド円相場は0.5円ほど円高ポンド安に振れ、一時、1ポンド=180.43円まで値下がりした。1日につけた183.23円との比較では、3円近くの円高ポンド安が進んだ形だ。その後、4日にかけて181円台後半まで買い戻される場面もあったが、足元でも181.00円前後での値動きとなっている。

ポンド円相場の推移と主な出来事

MPC内でも意見がさまざまに分かれる中、BOEの政策金利決定の見通しはつけにくい。ただし、政策金利が高水準に達し、これまでのような一本調子での利上げに慎重になっている様子もみてとれる。次回のMPCの結果が発表される9月21日までは1か月以上あり、今回の4-6月期のGDPの結果を含めた多くの経済指標の結果によって、ポンド円相場も左右されることになりそうだ。


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