リスク選好へ回帰する市場
外為市場の動向-中国人民元、豪ドルそして今回取り上げた新興国通貨の動向をみると、ウイルス相場からリスク選好相場へ急速に回帰している状況がわかります。ドル円は再び例のラインをトライするかどうか、この点が再び焦点として浮上してきました。詳細はレポートにて。
堅調地合いを維持する新興国通貨
5日の米国株式市場では、主要3指数が軒並み続伸した。米長期金利も株高を背景に1.50%から1.65%前後まで上昇している。これまでの外為市場だと、「米株高/米金利上昇」の局面では米ドル高圧力が高まるパターンが多く見られた。米金利の上昇が強く意識されるためだ。しかし、昨日の外為市場のパフォーマンスを確認すると、対先進国通貨では豪ドル以外で米ドルは上昇したものの、対新興国通貨では総じて下落している。トルコリラやインドルピーに対しては米ドル高優勢で推移したが、上昇率が0.1%前後である点を考えるならば、横ばい推移と言っていいだろう。ウイルス相場の警戒レベルを測る指標である中国人民元は対米ドルで6.97台まで上昇し、オセアニア通貨では豪ドルが対米ドルで0.6774と、先月29日高値0.6777付近まで反発している。これら通貨の動向に加え、米金利の上昇圧力を撥ね退け新興国通貨全般が堅調地合いを維持している事実は、投資家のリスクセンチメントが急速に改善していること、つまりグローバル市場がウイルス相場からリスク選好相場へ回帰していることを示唆している。よって、現在の状況が続く限り、新興国通貨とは対照的に円相場は円安優勢で推移すると予想する。
米ドル相場のパフォーマンス(対新興国通貨)
ドル円 長期レジスタンスラインインの攻防再び
ドル円は再び110円を視野に入れる展開となっている。上述したとおり、リスク選好相場の状況下では円安圧力が高まり易い。よって、本日は上値トライを予想する。このレポートで再三指摘しているが、目下のところドル円の最大の焦点は、2015年6月高値を起点とした長期レジスタンスラインインの攻防である。このラインは今日現在110.14前後で推移している。突破に成功する場合、2015年6月から続くダウントレンドが終焉するシグナルの一つとなろう。突破に成功する場合、次のターゲットとして想定すべきは2019年の最高値112.39(4/24)である。110.00および110.10にはそれぞれオファーが観測されている。
一方、サポートポイントだが、現在のリスク選好局面を考えるならば下値は限定的と想定する。まずは109.30(2/5安値)および109.00での攻防が焦点となろう。109.00にはビッドの観測あり。
ドル円チャート
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