NY金、最高値圏での攻防を維持 スポット価格は3000ドルが視野に 今日の見通し
インフレの再燃とトランプ関税に対する懸念で、NY金相場は最高値圏の攻防にある。スポットの金価格は、節目の3,000ドルを視野に上昇幅が拡大している。
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記事の概要
NY金相場は最高値圏での攻防を維持している。スポットの金価格(金価格)は2,900ドル台で底固めのムードが強まっている。金価格の押し上げ要因となっているのがトランプ関税とインフレ再燃の懸念である。投機筋は再びゴールド買いに転じている。金価格は節目の3,000ドルを視野に強気相場を維持することが予想される。反落の局面では押し目を狙いたい。
目次
強気相場の勢い増す金価格、3,000ドルが視野に
NY金の先物価格(4月物)は13日、前日比16.7ドル(0.6%)高の2945.4ドルと、3日ぶりに反発して終えた。スポット金価格(以下では金価格)は2,900ドル台で底堅さを維持した。
昨日、金価格の押し上げ要因となったのが、トランプ関税と1月の米生産者物価指数(PPI)だった。トランプ米大統領は13日、貿易相手国と同水準まで米国の税率を引き上げる相互関税の措置に署名した。まずは国ごとに調査し、相手国の消費税を考慮して税率を比較する仕組みが検討されているという。
米ホワイトハウス高官は調査の期間について国ごとに異なることから、数週間から数カ月かかるとの見方を示した。即時発動は避けられたが、トランプ関税がもたらす不確実性が引き続き金価格の押し上げ要因となった。
1月の米PPIは前月比のコア指数が市場予想と一致、それ以外は市場の予想を上回った。一方、修正された昨年12月と比べると伸びが抑制された。こういうまちまちの結果となった場合は、米債市場の反応が重要な指標となる。
米国の生産者物価指数(PPI):2024年1月~2025年1月
![米国の生産者物価指数(PPI):2024年1月~2025年1月](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_PPI_1250214.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の結果
米PPI発表の後、10年債利回り(長期金利)は低下で反応し、CPIの上昇分を帳消しにした(下のラインチャートを参照)。この動きは、昨年12月から鈍化した状況の方が重視されたことを示唆している。
米長期金利の低下は金価格の押し上げとなり、本日早朝に2,930ドル台へ到達する局面が見られた。節目の3,000ドルを視野に強気相場の勢いが増している。
米10年債利回りの動向:2月12日以降
![米10年債利回りの動向:2月12日以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US10Y_20250214.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
投機筋は再びゴールド買いへ
トランプ米政権は相互関税の発動に向けて動いている。不法移民の強制送還は賃金の上昇圧力につながる。アメリカ消費者の期待インフレ率が上昇している状況も考えるならば、インフレの再燃に対する懸念は今後も金価格の押し上げ要因となろう。
この点を意識してか、投機筋が再びゴールド買いを仕掛けている。この点を米国商品先物取引委員会(CFTC)が提供している2月4日時点のデータで確認すると、2025年1月は前週比で3週連続で買い越し(ネットロング)が増加した。1月の最終週にネットロングが1,375枚減少したが、直近は再びネットロングが増加している。1月最終週の減少はポジション調整だったことが分かる。
インフレ再燃のリスクとトランプ関税の影響による世界経済の不確実性がメインテーマとなっている今の状況を考えるならば、投機筋は今後もポジション調整を挟みながらゴールド買いを仕掛け続けることが予想される。
非商業部門 買い越し(ネットロング)の増減:前週比
![非商業部門 買い越し(ネットロング)の増減:前週比](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/CFTC_GoldPositions_250214.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
CFTCとブルームバーグのデータで筆者が作成
金価格の見通しと注目のテクニカルライン
今日のレジスタンスライン
今日は、米国の1月小売売上高が米金利の変動要因となる可能性があろう。ブルームバーグがまとめた市場予想では前月比で0.2%減が見込まれている。GDP個人消費の算出に用いられるコア指数(飲食店、建設資材店、自動車ディーラー、ガソリンスタンドを除いた小売売上高)は同比0.3%増と、昨年12月の0.7%から鈍化の見通しにある。
小売売上高で個人消費の後退が示される場合は、米金利の低下要因になり得る。このケースでは、金価格のさらなる上昇を想定し、以下でまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
・金価格は現在、フィボナッチ・エクステンション76.4%の水準2,931ドルの攻防にある。このテクニカルラインを完全に突破する場合は、2月11日に付けた最高値2,942ドルをトライするサインとなろう。フィボナッチ・チャネルの161.8%ラインが2,942ドルと交錯している(日足チャートを参照)。2,940台を今日の重要なレジスタンスラインと想定しておきたい
・金価格が2,942レベルを完全に上方ブレイクすれば、新たな最高値の水準を探る展開となろう。その候補の一つとして、フィボナッチ・エクステンション100%の水準2,952ドルを想定したい。強気相場の勢いが増し、金価格が2,952ドルをも突破すれば2,960ドルのトライが焦点に浮上しよう
・今週、金価格が2,900ドル台の維持に成功すれば、来週は節目の3,000ドルの攻防が焦点に浮上すると思われる
レジスタンスライン
・2,960:レジスタンスライン
・2,952:フィボナッチ・エクステンション100%(45分足)
・2,942:2月11日の高値(45分足、日足)
・2,931:フィボナッチ・エクステンション76.4%(45分足)
反落相場では2,900ドルの維持が焦点に
1月の米小売売上高で個人消費の拡大が示される場合は、米金利の反発要因になり得る。20日線との乖離率が4%前後まで拡大している状況を考えるならば、強い小売売上高は金価格の売り要因になり得る。しかし、今の地合いの強さを考えるならば、金価格が反落してもその幅が限定的となることが予想される。2,900ドルを維持できるか?この点が焦点となろう。
・本日、金価格が反落する場合は2,900ドルの維持が焦点となろう。このテクニカルラインをトライするサインとして、10ドルのレンジでサポートラインを想定したい
・最初のサポートラインは2,920ドルである。この水準がサポート転換となれば、地合いの強さを市場参加者に印象付けよう
・今日現在、5日線が2,913ドルレベルで推移している。すぐ下の2,910ドルはサポートラインへ転換した水準である。2,910ドルの下方ブレイクは、2,900ドルをトライするサインと想定したい
サポートライン
・2,920:サポートラインへ転換する可能性あり(45分足)
・2,913:5日線(日足)
・2,910:サポート転換の水準(45分足)
・2,900:サポートライン(日足、45分足)
金価格のチャート
45分足:2月7日以降
![45分足:2月7日以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/XAUUSD1_20250214.png)
出所:TradingView
日足:2024年12月以降
![日足:2024年12月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/XAUUSD2_20250214.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
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