強気相場の勢い増すNY金 投機筋のゴールド買いもくすぶる米金利の反発リスク 金価格の見通し
米長期金利は低下基調へ転じていることで、NY金の強気相場の勢いが増している。金価格は新たな上値の水準を見極める局面にある。
記事の概要
NY金の先物価格(2月物)は21日、一時2,762.0ドルと2024年11月上旬以来の高値を付けた。スポット価格も重要レジスタンスラインを突破した。今月15日の米CPIコアの鈍化をきっかけに米長期金利は4.5%台へ低下している。投機筋もゴールド買いに転じている。今のNY金相場は、新たな上値の水準を見極める局面にある。金価格の下落要因は、トランプ関税によるインフレ再燃を意識した米長期金利の急反発にある。今週末までのスポット価格の予想レンジは2,715-2,790ドル。
目次
NY金、米長期金利の低下で昨年11月以来の高値水準へ
NY金相場の騰勢ムードが強まっている。21日の市場で先物価格は一時2,762ドルと、中心限月では昨年年11月上旬以来の高値水準へ上昇した。スポット価格は、IGコモディティレポートで注目していた重要レジスタンスラインの2,726レベルを大陽線で上方ブレイクした。
NY金相場の上昇を促しているのが、米10年債利回り(長期金利)の低下である。1月15日に発表された米消費者物価コア指数(24年12月分)が鈍化したことで、ひとまずインフレ再燃の懸念が後退。第47代アメリカ大統領に就任したトランプ氏が就任初日の関税強化の発表と発動を見送ったことも重なり、一時4.8%まで上昇した米10年債利回り(長期金利)は現在、4.5%台へ急低下している。米長期金利の低下はドル高を抑制し、金(ゴールド)買いを促す要因となっている。
米10年債利回りの動向:1時間足 1月14日以降
出所:TradingView
ゴールド買いに転じる投機筋
投機筋の金(ゴールド)買いも続いている。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、1月14日時点で非商業部門の買い(ロング)ポジションが前週比で20,847増加し、312,568枚へ積み上がっていることが分かった。投機筋の買いに連動するように、スポット金価格の上昇幅が拡大している。
非商業部門の動向とスポット金価格:2024年11月以降
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 非商業部門のポジションは週次、金価格は日次
金価格、今日の見通しと注目のテクニカルライン
スポットの金価格(以下では金価格)は昨日、重要レジスタンスラインの2,726レベルを大陽線で突破した(日足チャート参照)。各移動平均線が上向きトレンドにあること、MACD とモメンタムの動向も考えるならば(日足チャート、黒矢印を参照)、強気相場に勢いが出ている。今週は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
・最初の焦点は、昨日の高値2,746ドルと2,750ドルの攻防となろう。今日の東京時間に2,746ドルを突破する局面が見られるが、昨年11月上旬の高値2,750ドルとレジスタンスゾーンを形成する可能性がある
・金価格が2,750ドルを完全に突破する場合は、昨年10月23日と11月1日に相場の上昇を止めた2,760ドルのトライを想定したい
・金価格が2,760ドルをも上方ブレイクすれば、2024年の最高値2,790ドルのトライが視野に入ろう。この水準を今週末までの予想レンジの上限と想定したい
レジスタンスライン
・2,790:2024年の最高値(日足)
・2,760:レジスタンスライン(日足)
・2,750:昨年11月上旬の高値水準(日足)
・2,746:1月21日の高値(日足)
トランプ米大統領は21日、2月1日までにカナダとメキシコに対して25%の関税をかけると述べた。中国からの輸入品に対しも同様に来月1日までに10%の追加関税をかけることを検討していると表明した。関税の強化はインフレ再燃につながる。米10年債利回り(長期金利)は低下基調にあるが、トランプ関税のリスクが蒸し返されることによる突然の反発を警戒しておきたい。米金利の反発はゴールド売りの要因となろう。今週24日までは、以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
・金価格は米長期金利にらみの状況にある。本レポートの掲載点でその米金利は若干ながらも反発のムードにある。今日以降、トランプ関税のリスクが蒸し返され米金利が反発する場合は、予想レンジの下限2,715ドルまでの下落を想定したい。10日線が今日現在、2,700ドル台へ上昇している。2,751ドルとともに相場をサポートする展開を想定しておきたい
・金価格が2,715ドルをトライするサインとして、サポートラインへ転換する可能性がある2,735ドル、および2,726ドルの攻防に注目したい。特に後者のラインは、抵抗線として相場の上昇を2度止めた経緯がある。その水準がサポート転換となれば、金価格の地合いの強さを市場参加者に印象付けよう
・本レポートでは30分足を採用しているが、分足のストキャスティクスとRSIで相場の過熱感を常にチェックしたい。上で取り上げた上下のテクニカルラインをトライする局面で、これらオシレーター指標が買われ過ぎ(売られ過ぎ)の水準でデッドクロス(ゴールデンクロス)へ転じる場合は、相場の反落(反発)を意識したい
サポートライン
・2,735:サポート転換を意識する水準(30分足)
・2,726:サポート転換を意識する水準(30分足)
・2,715:サポート転換を意識する水準、予想レンジの下限(30分足)
・2,701:10日線(日足)
金価格のチャート
日足:2024年10月中旬以降
出所:TradingView
30分足:1月17日以降
出所:TradingView
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