NY金、調整売りも強気相場を維持 トランプ相互関税と景気不安警戒 金価格の見通し
2日にトランプ米大統領が「相互関税」の詳細を発表する。スタグフレーションの懸念を高める内容となれば、ゴールドを下支えしよう。

記事の概要
1日のNY金相場は短期の利益確定売りを受け反落した。しかし、先物価格(6月物)は前日比4.3ドル(0.1%)安と限定的だった。スポットの金価格も3,150ドル手前で反落したが、3,100ドルを維持して終えた。1-3月期(四半期)は1986年以来の大幅上昇となった。昨日の調整売りは、あらためて地合いの強さを示唆した。
トランプ米大統領が現地時間2日午後4時(日本時間午前5時)に「相互関税」の詳細を発表する予定である。直近の米経済指標でスタグフレーションの可能性が示唆された。相互関税の内容が景気不安をあおる場合は、ゴールドの下支え要因となろう。金価格、今日の見通しとテクニカルラインについて。
ゴールド、四半期で1986年以来の大幅上昇、調整売りも強気相場を維持
2025年に入りNY金相場の騰勢が強まっている。1-3月期の上昇率は19%に達した。1986年第3四半期以来の大幅上昇となった。
短期間で最高値の更新が続いたことで、1日のNY金相場は調整売りに押され反落した。先物価格(6月物)は前日比4.3ドル(0.1%)安の3,146.0ドルで終えた。しかし、一時は3,177.0ドルまで上昇し中心限月としての最高値を更新した。
スポットの金価格も3,149.22ドル(IGレート)と最高値を更新する局面が見られた。調整売りの局面では3,100ドルの維持に成功した。昨日の反落は、むしろNY金の強気相場を印象付けた。
スポット金価格 四半期の変動率:1985年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ISM製造業が縮小圏へ、スタグフレーションの可能性を示唆
3月のISM製造業景気指数は49.0と、ブルームバーグの市場予想49.5を下回った。3ヶ月ぶりに景気判断の分かれ目である「50」を下回った。
注目すべきは内訳の指数である。インフレ指標となる支払い価格は69.4と、2022年6月以来の水準へ上昇した。一方、景気の先行指標となる新規受注は45.2と、2月の48.6からさらに落ち込んだ。雇用も47.6から44.7へ低下した。
3月のミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率(確報値)では、消費者マインドの低下とインフレ期待の上昇が示された。3月のISM非製造業景気指数では製造業の活動が低迷する一方で、インフレを警戒する内容となった。これら経済指標でスタグフレーションの可能性が高まっている状況が示されたことは、ゴールドの下支え要因となろう。
米国 ISM製造業景気指数:過去1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成
トランプ相互関税のリスク、米金利4.1%割れが視野、米ドル安進行
ISM製造業景気指数は縮小圏へ低下した。同日に発表された2月のJOLTS求人件数も756.8万件と1月の776.2万件(修正値)から減少し、ブルームバーグの市場予想765.8万件も下回った。
景気不安をあおる経済指標が続いていることで、米債市場では景気の動向を織り込んで動く10年債利回り(以下では長期金利)の低下幅が拡大、4.1%割れが視野に入る。
米国10年債利回り:30分足 3月27日以降

出所:TradingView
スタグフレーションの懸念が強まるなか、トランプ米大統領は現地時間2日午後4時(日本時間3日午前5時)に貿易相手国と同じ水準まで関税を引き上げる「相互関税」の詳細を発表する予定である。消費者と企業はインフレ再燃とそれが景気に及ぼす悪影響を警戒している。相互関税がその懸念をさらに強める内容となれば、米長期金利は4.1%を下抜ける可能性が高まろう。米金利の低下は米ドル安を促す要因である。年初からこれら市場の動き(米金利の低下と米ドル安)が、ゴールドを下支えしている。
スポット金価格、米国10年債利回り、ドル指数の動向:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 2024年末を100とし指数化 / 4月1日までの動向
金価格の見通しと注目のテクニカルライン
3,200ドルが視野に
先月31日のIGコモディティレポートでは、スポット金価格の週間予想レンジを3,200ドルとした。昨日の市場で3,149ドルまで上昇幅が拡大した状況やMACDとDMIのトレンドも考えるならば、上限の水準を維持する。
3,200ドルをトライするきっかけは、上で述べたトランプ米政権の相互関税によるスタグフレーションの懸念となろう。今日以降の経済指標にも注目したい。景気不安を強める内容が続けば、昨日の最高値3,149ドルを突破し、31日のレポートで取り上げた3,160ドル(3月28日の終値から75ドル上の水準)のトライを想定したい。
金価格が難なく3,160ドルの突破に成功すれば、3,200ドルのトライを想定したい。テクニカルの面ではフィボナッチ・エクステンション100%の水準3,204ドルの攻防が焦点となろう。
レジスタンスライン
・3,204:予想レンジの上限、エクステンション100%(日足)
・3,160:レジスタンスライン
・3,149:レジスタンスライン(日足、30分足)
3つのサポートライン
31日のレポートでは、週間の予想レンジを3,050ドルとした。今日以降の米経済指標で一時的にせよ景気不安が後退すれば、3,050ドルを視野に調整の反落を想定したい。
金価格がレンジの下限をトライするサインとして、3つのサポートラインに注目したい。最初は、昨日の下落を止めた3,100ドルである。今日現在、このラインには5日線が上昇している。
次のサポートラインは、3月上旬以降サポートラインとして相場を下支えしている日足の一目転換線である。レポート掲載時点で3,074ドルまで上昇している。
最後のラインが、3月20日の高値3,057ドルである。この水準がサポートラインへ転換すれば、強気地合いを市場参加者に印象付けよう。
サポートライン
・3,100:5日線(日足)
・3,074:一目転換線(日足、30分足)
・3,057:3月20日の高値(日足)
・3,050:予想レンジの下限(30分足)
金価格のチャート
日足:24年12月以降

出所:TradingView
30分足:3月27日以降

出所:TradingView
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