再び輝きはじめるNY金、米ドル高の影響を跳ね除ける強さ、目先の見通し
スポットのNY金価格(XAU)は20日、米ドル高が進行するなかで2つの移動平均線を一気に上方ブレイクした。地合いの強さが戻りつつあることを示唆する動きである。今日以降も上昇相場を維持し、金価格は再び輝きを取り戻せるかのどうか?まずは、IGコモディティレポートで取り上げている2つのレジスタンス水準の突破が焦点となろう。
サマリー
・NY金価格は20日、上昇を止めていた2つの移動平均線を突破した
・ドル高でも金価格が上昇したことは、強気相場へ転じつつあることを示唆している
・2つのレジスタンス水準を突破すれば、新たな上昇局面へのシフトを予感させる
強気相場へ転じつつあるNY金価格
スポットのNY金価格(XAU、以下金価格)は20日、前日比で1.37%上昇した。
日足チャートでその時の動向を確認すると、相場の上昇を止めた経緯のある2つの移動平均線-21日線と50日線を大陽線で一気に上方ブレイクしていることが分かる。
そして日足のMACDはゴールデンクロスへ転じ、ゼロラインを上回るムードにある。
また、6月以降のトレンドを確認すると、重要サポート水準の「2,275」レベルの維持に成功し、今月7日を境にして、じりじりと下値の水準が切り上がる状況にある。
一連のテクニカルラインの突破とサポート水準の維持は、金価格が強気相場へ転じつつあることを示唆している。
スポットNY金価格のチャート:日足 24年3月以降
出所:TradingView
米ドル高の影響を跳ね除ける金価格
米ドル相場の大まかな方向性を示すドル指数(DXY)は現在、重要レジスタンスポイントの「105.75」レベルを視野に上昇している(米ドル高が進行している)。
本来であれば米ドル高は、金価格の下落要因である。米ドル高の土台は米金利の上昇にあるからだ。事実、昨日の米債市場では長期金利(10年債利回り)が上昇した。
しかし、直近の金価格(XAU)は、その米ドル高(米金利の上昇)の影響を跳ね除け、じわりと上昇している(上の日足チャートを参照)。この動きも、金価格が強気の地合いを取り戻しつつあることを示唆している。
ドル指数のチャート:日足 23年12月以降
出所:TradingView
米国株のボラティリティ指数
20日の米国市場では、連日で最高値を更新してきたS&P500種株価指数(SPX)とナスダック100(NDX)がともに下落した。
それぞれ5,500ポイント、20,000ポイントという重要な節目が意識されての反落は調整売りを警戒させる。
特にその可能性を示唆しているのが、ナスダック100のボラティリティ指数(VXN)である。
直近の動向を確認すると、20ポイントの水準に向かって上昇している。警戒水準に到達しているわけではない。しかし、ボラティリティ指数の上昇幅が拡大している状況は、何らかのネガティブなイベントがある場合は、ナスダック100の売り圧力が高まる可能性を示唆している。
VXN指数のチャート:日足 年初来
出所:ブルームバーグ
その要因として目先注目したいのが、経済指標である。
5月の小売売上高は、個人消費の勢いが後退していることを示唆する内容となった。
今日のIG為替レポートで取り上げた6月の購買担当者景気指数(PMI)速報値で企業の景況感が予想以上に後退していることが確認される場合は、「景気の先行き懸念」が株高の調整材料(売り要因)として利用される可能性がある。
連日で最高値を更新してきたナスダック100(NDX)、そしてS&P500種株価指数(SPX)の下落幅が拡大する場合は、安全資産としての金の投資妙味が増すだろう。
米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:過去1年間
出所:ブルームバーグ
金価格、目先の展望とチャート分析
2つのレジスタンス水準
今日も金価格(XAU)が上昇する場合、目先の焦点は2,380ドルの攻防となろう。
直近高安の半値戻しの水準2,368レベルの突破は、2,380ドルをトライするサインとなろう。昨日は、このテクニカルポイントで上昇が止められた。
金価格が2,380ドルを完全に突破すれば、次は2,400ドルのトライが焦点として浮上しよう。
フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準2,387レベルの突破は、2,400トライのサインと想定しておきたい。
スポットNY金価格のチャート:日足 24年4月以降
出所:TradingView
移動平均線のサポート転換
一方、金価格(XAU)が反落する場合は、上で述べた2つの移動平均線-50日線と21日線の「サポート転換」に注目したい。
50日線は今日現在、2,343レベルで推移している。一方、21日線は今日現在、2,335レベルで推移している。
これら移動平均線が相場を下支えする場合は、強気相場が戻っている印象を市場参加者に与えるだろう。
逆に金価格が21日線を下方ブレイクする場合は、新たに形成されつつある短期サポートラインの攻防が焦点となろう。
このラインの維持も、金価格の強気相場が戻っていることを市場参加者に印象付けよう。
【再掲】スポットNY金価格のチャート:日足 24年3月以降
出所:TradingView
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