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NY金は強気相場を維持、スポット価格は最高値が視野に 原油先物と米経済指標に注目、目先の見通し

スポットの金価格が最高値を視野に強気相場を維持している。原油先物価格が下落トレンドへ転じている。この動きは米長期金利の低下要因となろう。米金利の低下は金価格をサポートしよう。一方、強い米経済指標は金価格の売り要因となろう。金価格、注目のチャート水準について。

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記事のポイント

・強気相場を維持するNY金のスポット価格、最高値のトライが視野に
・原油先物価格の下落は、金価格のサポート要因となろう
・一方、強い米経済指標は金価格の売り要因となろう
・金価格、目先注目しておきたいチャート水準について


スポット金価格、注目のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,767:フィボナッチ・エクステンション50.0%
・2,729:フィボナッチ・エクステンション38.2%
・2,700:レジスタンスポイント
・2,685:9月26日高値(最高値)

サポートポイント

・2,657:フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準
・2,645:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・2,643:10日線
・2,620:短期サポートライン


NY金、最高値を視野に強気相場を維持

NY金先物価格(12月物)は15日、株安・米金利の低下という典型的なリスク回避相場を受け反発した。スポット価格(以下では金価格)も10日線でサポートされ、最高値圏での攻防を維持している(下の日足チャート、緑ラインを参照)。

米金利の上昇とそれに伴う米ドル高の局面で2,600ドルの水準がサポートラインへ転換し、短期サポートラインの維持に成功した状況も考えるならば、金価格は最高値のトライを視野に強気相場を維持している。

今日以降、金価格の上昇局面では、9月26日の最高値2,685.58レベルを完全に突破するかどうか?この点を確認したい。このレジスタンスポイントは、テクニカルの面でフィボナッチ・エクステンション23.6%の水準にあたる。ゆえに最高値(2,685レベル)の突破は、テクニカルの面でもさらなる上昇のシグナルとなろう。

金価格が最高値を更新する場合は、2,700ドル台への上昇が次の焦点となろう。2,700ドルのラインを突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション38.2%の水準2,729レベル、そして50.0%の水準2,767レベルの攻防を意識したい。

スポット金価格のチャート:日足 2024年8月以降

スポット金価格のチャート:日足 2024年8月以降

出所:TradingView

再び下落トレンドへ転じる原油先物価格

15日の米債市場では利回りが低下した。オランダの半導体製造装置メーカー、ASMLの低調な決算を受け、「主力の米半導体株に売り→米株価指数が下落」した影響(リスク回避相場の影響)もあるが、筆者がより注視しているのが、原油先物価格の動向である。なぜなら、原油先物価格と米長期金利は高い相関関係にあるからだ(下のチャートを参照)。

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 年初来

原油先物価格と米長期金利の動向:日足 2024年6月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

中東リスクが意識され、NY原油先物価格は一時78ドル台まで上昇した。しかし、現在は再び下落トレンドへ転じている。主因は、各主要機関が石油需要の見通しを下方修正したことにある。

石油輸出国機構(OPEC)は14日に月報を公表した。2024年の石油需要見通しを前年比日量193万バレル増と、前月の203万バレル増から10万バレル下方修正した。また、2025年の需要見通しも174万バレル増から164万バレル増へ引き下げた。OPECは3カ月連続で見通しを引き下げた。

一方、国際エネルギー機関(IEA)も15日に公表した10月のリポートで、今年の石油需要の見通しを日量86万バレル増(前年比)と、従来の同比90万バレル増から4万バレル引き下げた。下方修正の主な理由はいずれも、中国景気の低迷とそれに伴う需要減少にある。

また今後は、サウジアラビアなどOPECプラス(産油国)による段階的な自主減産の縮小が予想される。中国の需要減少が見込まれるなかで供給量が増加すれば、原油先物価格の下落要因となろう。

原油先物価格の下落は米金利の低下と要因となろう。ゆえに、原油先物価格の下落は金価格の押し上げ要因になり得る。

NY原油先物価格のチャート:日足 2024年7月以降

NY原油先物価格のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

下落要因は強い米経済指標

17日に9月の米小売売上高と週間の新規失業保険申請件数が発表される。14日のIG為替レポート「ドル円の週間見通し 同時に進行するドル高と円安、今週の注目指標は米小売売上高、ドル円の焦点は150円のトライ」で述べたとおり、これらの経済指標は、米長期金利の変動要因となろう。個人消費と労働市場の底堅さが確認される場合は、米長期金利の上昇要因となろう。ゆえに強い米経済指標は、金価格の下落要因となろう。

しかし上で述べたとおり、金価格は強気相場を維持している。下落の局面では、引き続き押し目買いを狙いたい。

買いを仕掛ける水準として目先注目したいのが、下の1時間足チャートにプロットしたフィボナッチ・リトレースメントの水準である。38.2%戻し2,657レベルはサポートラインへ転換した水準である(下のチャート、黒矢印を参照)。76.4%戻し2,645レベルは相場をサポートした経緯がある(下のチャート、黒矢印を参照)。また、76.4%水準のすぐ下には10日線が推移している。2,640レベルを押し目買いを仕掛ける重要なサポート水準と想定しておきたい。

分足(本レポートでは15分足を採用)のMACDとRSIでトレンドと短期的な相場の過熱感を確認したい。MACDがゼロラインを下回る場合は、上で述べたサポート水準のトライを想定したい。

一方、MACDとRSIでゴールデンクロスが確認される場合は、押し目買いを考えたい。特に金価格が上のサポート水準をトライする局面で、ゴールデンクロスが確認される場合は、金価格の反発を意識したい。

スポット金価格のチャート:15分足 10月15日以降

スポット金価格のチャート:15分足 10月15日以降

出所:TradingView


再掲 スポット金価格 注目のチャート水準

レジスタンスポイント

・2,767:フィボナッチ・エクステンション50.0%
・2,729:フィボナッチ・エクステンション38.2%
・2,700:レジスタンスポイント
・2,685:9月26日高値(最高値)

サポートポイント

・2,657:フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準
・2,645:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・2,643:10日線
・2,620:短期サポートライン



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