米長期金利は1.5%割れも米ドル買い / ユーロドルとポンドドルの焦点
サマリー:『今は米金利が低下しても米ドル安の圧力が高まりにくい状況にある。今日はECB理事会後のユーロ相場に注目。ユーロドルとポンドドルの焦点は?』。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米長期金利は1.5%割れも米ドル買い
昨日の米債市場では、長期金利(以下米金利)が1.5%を割り込み、一時1.472%まで低下する局面が見られた。同時に期待インフレ率(10年)も2.3%台へと低下した。これにより米実質金利(10年)はマイナス0.84%付近で横ばいとなった。
一方、米国株式市場では利益確定売り優勢の展開となり、主要3指数が下落。実質金利の横ばい推移と米株の下落を受け、外為市場では米ドルを買う動きが見られた。
9日のレポートでも指摘したが、現在の米ドル相場は金利が低下しても下がりにくい状況にあることが、昨日の動向でも確認できた。
また、今晩発表される5月米コアCPI(消費者物価指数)は前年同月比で3.4%と、4月の水準(3.0%)から加速する見通しとなっている。
しかし、米金利や期待インフレ率が低下しているということは、現在のインフレ進行は一時な現象であることを市場が認識していることを示唆している。
よって、5月CPIが市場予想を大幅に上回る内容とならない限り、米ドル相場と金利への影響は限られると予想する。
米金利と期待インフレ率の動向
ユーロドルの焦点
今日はECB理事会がある。ECBイベントがユーロ買いの圧力を高める場合、ユーロドル(EURUSD)の焦点は1.2260レベルのトライおよび突破となろう。
1.2260レベルを突破した後、この水準がレジスタンスからサポートへ転換すれば、今年1月の高値1.2350レベルを視野に上昇幅が拡大する可能性が出てくる。
逆に1.2260レベルの突破に失敗するか、それに成功してもすぐに1.2260以下へ反落する場合は、50日EMA(1.2109レベル)トライの可能性がくすぶり続けよう。
5月米CPIが市場予想から大きく上振れる場合は、『米金利の上昇→米実質金利の上昇→米ドル買い』の展開が予想される。ECB理事会がユーロ買いイベントとなっても、米CPIの動向次第では上値が抑制される状況も想定しておきたい。
一方、ECBイベントがユーロ売りの圧力を高め、かつ米CPIが相当強い内容となる場合は、50日線(1.21)のブレイクを警戒したい。
この展開となれば、今日以降、フィボナッチ・リトレースメント38.20%戻しの水準1.2050レベルを視野に下落幅が拡大する展開を想定しておきたい。この水準は、5月13日に相場をサポートした経緯がある。この水準をもあっさりと下方ブレイクする場合は、節目の1.20トライを想定したい。
ユーロドルのチャート
ポンドドルの焦点
ECB理事会後のユーロ相場の動向は、ポンドドル(GBPUSD)の動向にも影響を与えよう。ECBイベントでユーロ買いの圧力が高まる場合、ユーロポンド(EURGBP)は上昇するだろう。ユーロポンドの上昇は、ポンドドルの売り圧力を高める要因である。1.42レベルで上値が抑制され続け、かつ21日EMA(1.4123レベル)を下方ブレイクしているタイミングでユーロポンドが上昇する場合、ポンドドルは1.41を下抜ける可能性が高い。
このケースでは、50日EMA(1.4033レベル)のトライを意識したい。50日線をも下方ブレイクする場合は、節目の1.40がサポートポイントとして再び意識されるかどうか?この点が焦点となろう。
一方、ECBイベント後にユーロ売りの展開となる場合は、1.42トライが焦点となろう。1.42の突破に成功しても、その水準の維持に失敗する場合は、レンジ相場が継続するシグナルと想定したい。
ポンドドルのチャート
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