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【新興国通貨】財政問題を抱えるメキシコ、株安局面ではペソ売りを警戒 メキシコペソの短期見通し(対米ドル・円)

景気懸念を受け、米債市場では長期金利が3.6%台まで急低下する局面が見られた。米金利の低下は米ドル安の要因だが、現在の状況はそれほど単純ではない。この点を示唆しているのがメキシコペソの動きである。米ドル/メキシコペソとメキシコペソ円の見通しは?注目のチャートポイントは?

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記事のポイント

・米金利の低下が必ずしもドル安の要因となるわけではない
・株安の局面では、新興国通貨の売りが米ドル相場の下支え要因に
・メキシコは財政悪化の懸念と経常赤字の問題に直面している
・メキシコペソ、対米ドルと円の短期見通しについて


強弱まちまちの米ドル相場

8月に入り、景気懸念が突如米国の債券市場を襲った。長期金利(10年債利回り)は一気に節目の4%を割り込むと、今月5日に3.6%台まで急低下する局面が見られた。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも3.6%台まで低下する局面が見られた。

「米金利の低下はドル安の要因」-と単純に考えることはできない。事実、月初来の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、対主要通貨で強弱まちまちの状況にある(下の棒グラフを参照)。

注目すべきは、下チャートの左枠で囲った通貨で米ドル高が進行していることである。すべてがリスク性の高い新興国通貨であり、財政悪化の懸念と経常赤字の問題を抱える国の通貨である。

8月以降の米ドル相場の動向は、米金利が低下しても株安(リスク回避)の局面では、よりリスク性の高い新興国通貨の売り圧力が高まることで、これら通貨では「リスク回避の米ドル高」になりやすいことを示唆している。

米ドル相場の動向:月初来

米ドル相場の動向:月初来 ブルームバーグのデータで筆者が作成

財政悪化がメキシコペソの圧迫要因に

特に注目したいのがメキシコペソである。6月2日の大統領選挙で、ロペスオブラドール現大統領の政策を継承することを公約に掲げたシェインバウム前メキシコシティ市長が圧勝したことで、場当たり的なインフラ建設や年金改革などによる財政悪化の懸念がメキシコペソを圧迫している。

メキシコの財政収支の状況を確認すると、23年以降、悪化の一途にある(対GDP比では直近でマイナス4.32%)。また、メキシコは2021年以降、恒常的な経常赤字にも陥っている。

メキシコ 財政収支の状況:月次 2019年以降

メキシコの財政収支状況:月次 2019年以降 ブルームバーグのデータで筆者が作成

米ドル/メキシコペソの見通し

目先は調整の反落を意識する状況に

メキシコが抱えるファンダメンタルズの問題は、メキシコペソを圧迫している。この点を対米ドルのチャートで確認すると、総選挙・大統領選挙が行われた翌日の6月3日以降、米ドル/メキシコペソ(USDMXN)の上昇幅が拡大した(米ドル高・メキシコペソ安となった)。そして調整の反落を挟みながら、直近は節目の20.00レベルを突破する局面が見られた。この時の日足ローソク足では長い上ヒゲが現れた。

日足のRSIは買われ過ぎの水準にある。モメンタムの勢いも後退している。株安がひとまず一服するムードにあることも考えるならば、目先はメキシコペソの買戻し(米ドル/メキシコペソの下落)が予想される。

しかし、上で述べたファンダメンタルズの問題は今後もメキシコペソの下落要因となろう。よって、米ドル/メキシコペソの下値トライは下落トレンドへの転換ではなく、「調整の反落」と想定しておきたい。

注目のサポート水準

短期的な調整(メキシコペソの短期買い戻し)で米ドル/メキシコペソ(USDMXN)が下値をトライする場合、まずは10日線(18.94レベル)の攻防を注視したい。この移動平均線が相場をサポートする場合は、節目の20.00を再びトライする展開を意識したい。

一方、米ドル/メキシコペソが10日線を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%以下の水準の攻防を注視したい。今日現在、21日線が半値戻しの水準18.37レベルと交錯している。

米ドル/メキシコペソがフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準17.94レベルを下方ブレイクする場合は、重要サポート水準の17.50が視野に入ろう。

しかし、上で述べたメキシコのファンダメンタルズ問題に加えて、株式市場の先行き不透明感が漂っている状況も考えるならば、10日線や21日線がサポートラインとして意識される展開を今は想定しておきたい。

米ドル/メキシコペソのチャート:日足 24年5月以降

出所:TradingView


メキシコペソ円の見通しとチャート分析

下落相場を意識、3つのサポート水準

ドル円(USD/JPY)は52週線と21年後半からの米ドル高・円安を象徴するトレンドラインを完全に下方ブレイクする状況にある。これらの動きは、ドル円のトレンドが転換したシグナルの一つと考えられる。

昨日、ドル円は146円台まで反発した。しかし、すぐに144円台へ反落した状況を考えるならば、しばらくは上下に振れる不安定な展開を想定しておく必要がある。連邦準備制度理事会(FRB)が利下げ政策へ舵を切ることを考えるならば、今後は米ドル安がドル円の下落要因となろう。

上で述べたメキシコが抱えるファンダメンタルズの問題も考えるならば、メキシコペソ円(MXNJPY)は、引き続き下値トライを意識したい。

メキシコペソ円の下落局面で注目したいのが、7月以降の下落相場を止めたフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準7.09レベルである(下のチャート、赤矢印を参照)。長い下ヒゲでの反発は、この水準の底堅さを示唆している。ゆえに7.09の下方ブレイクは、節目の7.00レベルをトライするシグナルとなろう。

メキシコペソ円が7.00レベルをも下方ブレイクする場合は、23年3月の下落相場(ペソ安・円高)を止めた6.80レベルまでの下落を想定しておきたい(下のチャート、赤ラインを参照)。

反発の局面ではブルトラップを意識したい

RSIは売られ過ぎの水準にある(下のチャート、緑矢印を参照)。ゴールデンクロスへ転じる場合は、メキシコペソ円(MXNJPY)の反発を想定しておきたい。しかし、反発の局面では常にブルトラップ(強気の罠)を警戒したい。

下の日足チャートを見ると、5日線(7.54レベル)がレジスタンスラインとして意識されていることが分かる(下のチャート、緑ラインを参照)。短期の移動平均線すら突破できない状況に加え、MACDは弱気相場の強さを示唆する状況にある(下のチャート、赤矢印を参照)。

メキシコペソ円が5日線の突破に成功しても、次は10日線が控えている。この移動平均線は今日現在、7.87レベルで推移している(下のチャート、青ラインを参照)。直近1カ月間の高安、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準7.85レベルの存在も考えるならば、メキシコペソ円が反発しても10日線前後までが限界と想定しておきたい。

メキシコペソ円のチャート:日足 24年5月以降

メキシコペソ円のチャート:日足 24年5月以降

出所:TradingView


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