日経平均、史上最高値の先は? 収益力伸びるか S&P500連騰停止
日経平均は34年ぶりの史上最高値が目前だが、過剰な期待に支えられている側面もある。S&P500の連騰停止も不安要素だ。
日経平均株価に34年ぶりの記録更新が迫っている。16日の終値は3万8487.24円で、1989年12月末の史上最高値(3万8915.87円)まであと428円。この1週間で1600円近い値上がりをみせた。日本銀行の大規模金融緩和継続への期待が国内外の投資家心理を明るくしており、勢いが止まらない状況だ。ただし日本企業の予想収益の伸びは株価上昇にみあったものとはいえず、日本経済の先行きにも不安が広がっている。アメリカではS&P500の週次での連騰がストップしており、一本調子の上昇とばかりはいかなくなる可能性もありそうだ。
日経平均は史上最高値まで428円の水準まで急上昇
日経平均(N225)は3連休明けの13日に1000円超上昇し、15日には3万8000円台に乗せた。16日までの1週間の上昇幅は1589.82円。16日の取引時間中には一時、3万8865.06円をつけ、史上最高値まで約50円に迫る場面もあった。2023年末比での上昇率は15.01%に達している。
株価上昇を勢いづかせているのは外国為替市場での円安進行だ。ドル円相場(USD/JPY)は13日に約3か月ぶりに1ドル=150円台に突入し、円安が日本企業の収益を改善するとの期待が広がっている。日銀の内田真一副総裁がマイナス金利政策を解除したとしても金利水準はさほど上がらないとの見方を示した8日以降、日経平均は約2400円上昇した。日銀の大規模金融緩和継続姿勢は、海外投資家が日本株を評価する背景になっており、海外投資家は2024年に入ってから6週連続で日本株を買い越している。
日本企業の収益性には力不足の面も
ただし日経平均が今後、史上最高値を更新したとしても、日本企業に株価急騰に見合うだけの収益力があるとは言い難い。LSEGのデータによると、日経平均構成企業が今後発表する通期決算における1株当たり利益(EPS)の予想額の合計は16日段階で約6万円。発表済み通期決算の数字との比較では約8.1%の上昇が見込まれている形だ。日本企業の収益向上への期待が高まっていることの現れとはいえ、2023年に日経平均がみせた28%もの上昇を裏付けるには不十分といえる。
また、日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と構成企業の予想収益から算出される株価収益率(PER)は16日終値時点で22.82倍。2023年末の20.04倍から上昇している。この間の予想1株当たり利益の増加は1%で、日経平均の15%もの上昇とは見合わない。さらに日本企業の収益性には逆風も吹き始めた。日本の2023年10-12月期の実質成長率は2四半期連続のマイナス成長に陥っており、企業決算に悪影響がでる可能性もある。
アメリカのS&P500は週次での連騰がストップ
こうした中、アメリカでは、S&P500(SPX)の週次での連騰がストップした。16日の終値は5005.57で1週間前比0.42%安。週次での下落は1月初め以来6週ぶりだ。S&P500は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待で上昇を続けてきたが、ブレーキがかかったといえる。
S&P500の上昇をストップさせたのはアメリカの物価上昇の根強さだ。13日に発表された1月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同月比3.1%となるなど、市場予想を超える強さ。FRBの利下げ開始時期に関する市場の見通しは、12月に見込まれていた3月から、足元では6月まで後ずれしている。13日のS&P500は1.37%下落した。一方、15日に発表された1月小売売上高は予想を下回る弱さで、物価上昇と消費の弱さが同時に表れる不安な状況だ。
これまでの日経平均の上昇は円安やアメリカの株価上昇によって実力以上に勢いづいた側面がある。こうした追い風が止まったり、日本企業の業績向上が投資家の期待に応えられなかったりした場合は、日経平均に下押し圧力がかかる可能性もありそうだ。
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