米国の半導体株急落 S&P500下落 大統領選イヤーの波乱は秋?
エヌビディアは24日までの3日間で13%近く値下がり。アメリカ大統領選が本格化する中、S&P500には嫌なジンクスもつきまとう。
アメリカの半導体株がつまづいている。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は24日までに3日続落し、この間で13%近い値下がり。その他の主要な半導体株も急落しており、S&P500種株価指数の3日続落を招いた。一方、S&P500は2023年末比では14%台の上昇率を維持しており、経済政策の見通しが悪くなりやすい大統領選挙がある年としては異例の力強さだ。ただし大統領選イヤーには秋に波乱が起こりやすいというジンクスもあり、11月5日の投票日に向け、堅調な成長を続ける米国経済に影がよぎるシナリオも否定しきれない。
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エヌビディアなど主要半導体株が3日間で12%前後の下落
エヌビディアの株価(NVDA)の24日の終値は前週末比6.68%安の118.11。20、21日の3%超安に続く値下がりで、この間の下落率は12.89%に達した。また、同業のブロードコム(AVGO)も同じ3日間で11.67%安。クアルコム(QCOM)も同様に11.56%安となっている。また、S&P500構成銘柄ではないものの、英国半導体大手のアーム・ホールディングス(ARM)の株価も3日間で13.24%値下がりしている。
こうした半導体株の急落はS&P500(SPX)の足を引っ張っる要因だ。S&P500の24日の終値は前週末比0.31%安の5447.87で、やはり3日続落。この間の下落率は0.71%となった。長期金利(10年物米国債利回り)は4.2%台での横ばいが続き、株式相場をめぐる環境が悪化したわけではないが、半導体株の値下がりが重荷になったようだ。
S&P500の上昇率は大統領選イヤーとしては異例の高さ
一方、S&P500の成績は2023年末比でみると14.22%高で、見通しが暗くなっているわけではない。2023年に入ってからは31回の最高値更新を繰り返しており、上値を追っている状況だ。
こうした値動きは大統領選イヤーとしては異例の展開でもある。2000年から2020年までの6回の大統領選イヤーの値動きをみると、1月と2月にS&P500が大きく下落する傾向があるが、2024年はこの2か月を1.59%高と5.17%高で通過。その後、4月に4.16%安に見舞われたが、5月、6月は勢いを取り戻した。現職のジョー・バイデン大統領とドナルド・トランプ前大統領の対決となっている2024年の大統領選は、どちらが当選しても過去の施策をみれば経済政策の見通しをつけられることが投資家の不安を取り除いている可能性がありそうだ。
大統領選イヤーは10月に株価下落のジンクスも
ただし大統領選イヤーは9月と10月に値下がりしやすい傾向もある。なかでも投票日直前の10月はリーマン・ショック翌月にあたる2008年10月の16.94%安を含め、6回中5回で株価が下落している。
足元の米国経済は堅調な成長が続き、物価上昇率も低下してきている。しかし連邦準備制度理事会(FRB)が1年にわたって政策金利を2001年以来の高水準で据え置くという状況は波乱要因といえ、経済活動が想定以上に冷え込んでいくリスクがつきまとう。27日に予定されるバイデン氏とトランプ氏の討論会で事実上の大統領選が始まる中、7月以降の企業決算発表や半導体市場の見通し、物価や雇用に関する経済指標が、異例の快走を続けるS&P500の行方を左右することも想定される。
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