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大統領選年でも株高 1-3月のS&P500好調 トランプ氏に恩恵

2024年1-3月期のS&P500は大きく上昇し、大統領選イヤーのジンクスが覆った。株高はトランプ氏の資産を増やす恩恵ももたらす。

大統領選年でも株高 1-3月のS&P500好調 トランプ氏に恩恵 出所:ブルームバーグ

アメリカ大統領選があるにも関わらず、2024年初めの株式市場が好調を維持している。大統領選イヤーは1-3月期の株価が不振になる傾向があるが、今年はS&P500種株価指数が9%もの伸び率を記録する勢い。候補者選びに波乱が起きず、政治の不透明感が続かなかったことが影響したようだ。また共和党での候補者指名が確実になっているドナルド・トランプ前大統領にとっては、上場した保有企業の価値が高まるという恩恵も転がり込んでいる。11月の大統領選の結果は見通せないものの、おなじみの顔ぶれによる対決は投資家にとっての安心材料になる側面もありそうだ。

【関連記事】米国の半導体株急落 S&P500下落 大統領選イヤーの波乱は秋?(2024年6月25日)

1-3月のS&P500はアメリカ大統領選年のジンクス覆す

S&P500(SPX)の26日の終値は3営業日続落の5203.58。株式市場をめぐる環境の良さに反した勢い不足といえるが、2023年末比では9.09%高という高い上昇率だ。2000年以降のデータをみると、大統領選がある年の1-3月期のS&P500は平均2.31%安で、大統領選がない年の平均1.18%高を下回っているだけに、2024年は大統領選イヤーのジンクスが覆った形だ。

S&P500と長期金利の推移のグラフ(2024年3月27日作成)

大統領選イヤーの1-3月期は共和党や民主党での候補者選びが混沌として、政治の先行き不透明感が強くなりがち。しかし今年は共和党の候補者選びで、トランプ氏が対抗馬のニッキー・ヘイリー元国連大使を圧倒。早々に候補者指名を確実にしており、現職のジョー・バイデン大統領(民主党)との再戦が濃厚になっている。S&P500は1月に1.59%高、2月に5.17%高と好調を維持した。2020年までの大統領選イヤーでの、1月平均1.73%安、2月平均1.51%安という不振ぶりとは対照的だ。

アメリカ大統領選の有無で分けた月別のS&P500の平均騰落率(2024年3月27日作成)

トランプ氏は上場保有企業が45億ドルの資産に

また株式市場の勢いはトランプ氏に恵みの雨をもたらした。トランプ氏が保有するSNS運営企業のトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)はすでに上場している特別買収目的会社(SPAC)と合併することで、26日にナスダック市場に株式を上場。TMTGの株価(DJT)は前日比16.10%高で26日の取引を終えた。トランプ氏はTMTGの株式を売却すれば、45億ドルの資金を得ることができると報じられている。

トランプ氏は一族企業の保有資産の価値を偽っていたとされる事件にからみ、裁判所から巨額の保証金の支払いを命じられているだけにTMTG株上場の意味は大きいとみられている。米メディアによると、ニューヨーク州の裁判所は2月、トランプ氏に4.54億ドルを支払うよう命じており、トランプ氏が応じなければ資産を差し押さえる可能性があるという。裁判所は3月25日に1.75億ドルを支払えば、残りの支払いを猶予するとした。

トランプ氏とバイデン氏の再戦はS&P500の下支えに?

トランプ氏の株式売却には取締役会の承認などの手続きが必要で、トランプ氏がどのタイミングでどれだけの保有株を売却できるかは不透明。しかしトランプ氏の熱烈な支持者が買い支えるともみられているTMTGの株価上昇が続けば、より少ない株式を売却するだけで保証金支払いを賄うことができる利点もありそうだ。

今後の大統領選に向けた大きな不確定要素であるトランプ氏の資金問題が株高で解消されるなら、トランプ氏とバイデン氏の再戦はより確実になる。どちらが勝っても大統領として政権を運営した経験がある候補者同士の対決は、政治や経済の不透明感を取り除く材料として働き、S&P500を下支えする側面もありそうだ。


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