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米国株見通しに緊張感 大手ハイテク決算間近 S&P500下落は停止

アメリカのS&P500は22日に反発したが、力強さは乏しい。23日以降に本格化するハイテク株決算や大統領選の見通しが不確定要素となっている。

米国株見通しに緊張感 大手ハイテク決算間近 S&P500下落は停止 出所:Adobe Images

アメリカの株式市場の見通しに緊張感が漂っている。S&P500種株価指数の22日の終値は前週末比1%超の上昇。4営業ぶりの値上がりとはいえ、直近3日間の下落率の半分に満たない反発で、力強さには欠けた。23日以降に本格化する大手ハイテク企業の決算発表を見極めようとする姿勢が強いようだ。また、米国の大統領選挙をめぐっては、現職のジョー・バイデン大統領が21日に撤退を表明したことで、株式相場の不確実性は増している。民主党が悪いムードをどこまで払拭できるかは不透明なうえ、共和党のドナルド・トランプ前大統領の勝利が確定しているとも言い難く、異例の選挙戦が割高感がぬぐえないS&P500に波乱を起こすリスクも続いていきそうだ。

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アメリカのS&P500は3営業日ぶり反発 力強さは欠ける

S&P500(SPX)の22日の終値は前週末比1.08%高の5564.41。上昇率は半導体株が急騰した6月5日(1.18%高)以来の大きさで、17日から19日にかけての3日続落にブレーキがかかった。ただし3日続落中の下落率は2.86%にも達しており、22日の反発は力強さにかける数字とみることもできる。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

大手ハイテク決算は23日のアルファベットとテスラから

こうした中、投資家の関心はS&P500を牽引してきた大手ハイテク企業の決算に集まる。23日の取引時間終了後には、アルファベットGOOGL)とテスラTSLA)が2024年4-6月期決算を発表。30日にはマイクロソフト(MSFT)、31日にはメタ・プラットフォームズ(META)、8月1日にはアマゾン・コム(AMZN)とアップル(AAPL)の発表が控える。時価総額の大きい大手ハイテク株の値動きはS&P500への影響が大きく、決算発表が相場を動かす可能性がありそうだ。半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の5-7月期決算発表は8月下旬が見込まれる。

大手ハイテク株の株価上昇は7月11日の6月の消費者物価指数(CPI)の発表を機にムードが一変した。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しの強まりが、中小型株への資金シフトを促したためだ。中小型株企業は資金を変動金利で借り入れるケースが多く、金利水準が下がれば恩恵を受けやすいとされる。さらに17日には大統領選で有利に立つトランプ氏の台湾をめぐる発言で、株式市場全体が急落する事態に至った。

この結果、アマゾン、メタ、マイクロソフト、アルファベットの株価は22日の終値が6月末比で下落。株価上昇が出遅れていたテスラは27.10%高、アップルは6.33%高と巻き返しているが、やはり7月中旬以降は勢いがそがれている。

テスラ、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・コム、メタ・プラットフォームズ、アップル、エヌビディアの株価の推移のグラフ

バイデン氏の大統領選挙出馬撤回で見通し不良に

また、大統領選の見通しも株式相場にとっては不確定要素だ。高齢問題への懸念が深刻化していたバイデン氏の撤退で、民主党は候補者選びからやり直す状況。出馬を決めたカマラ・ハリス副大統領への一本化が目指されているが、ハリス氏の打ち出す政策の内容や有権者からの支持の強さ、上下両院の選挙への影響などの見通しはつかない。ただ、ハリス氏は59歳の黒人・アジア系女性というバイデン氏ともトランプ氏とも大きく異なる属性に、副大統領を務めてきた実績も備えており、投資家も共和党の勝利を確信するには至っていないとみられる。

さらに史上最高値の更新を繰り返してきたS&P500には割高感という不安もある。LSEGによると、S&P500の水準と構成銘柄の今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は6月20日以降、21倍を超える状況が続く。それだけに投資家は株価下落の兆しに神経質になっているとみられ、大統領選の今後の見通しがS&P500に波乱を起こすことも想定される。

S&P500と予想PERの推移のグラフ

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