大統領選イヤーのS&P500は波乱か 2度の暴落 年初と秋に不安
アメリカの大統領選が共和党アイオワ州党員集会で本格化する。トランプ氏が復権に近づけば経済の波乱要因になる可能性も。
アメリカの大統領選挙に向けた争いが、共和党が15日に開くアイオワ州の党員集会で本格化する。焦点になるのは、候補者指名争いのトップを走るドナルド・トランプ前大統領にストップをかけるライバルが現れるかどうか。有力対抗馬とされるニッキー・ヘイリー元国連大使の勢いへの関心が高い。一方、金融市場では大統領選がある年はS&P500種株価指数が暴落に見舞われるジンクスもあるほか、年初めと投票直前の秋に株価が落ちやすい傾向も感じられる。トランプ氏が復権に近づけば経済の波乱要因が増すおそれもあり、大統領選に向けた政治動向と株価の動きに注目が集まりそうだ。
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共和党アイオワ州党員集会は15日夜開幕
共和党のアイオワ州党員集会は15日夜(日本時間16日午前10時)に州内各地で開幕。数時間で結果が判明する見通し。米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスによる各世論調査の集計によると、アイオワ州でのトランプ氏への支持率は52.5%に達しており、2位のヘイリー氏(18.7%)を引き離している。党員集会の結果が世論調査に即した内容になれば、大統領への復活を目指すトランプ氏の強さが再認識されそうだ。
ただし共和党の候補者指名争いではヘイリー氏の反撃も見込まれている。23日に予備選挙が開かれるニューハンプシャー州では、トランプ氏への支持率43.5%に対して、ヘイリー氏の支持率は29.3%となっており、差が縮まってきたからだ。しかも11.3%の支持を集めてきたクリス・クリスティー前ニュージャージー州知事は10日に指名争いからの撤退を表明。クリスティ氏の支持者がヘイリー氏に流れれば、ヘイリー氏がトランプ氏を逆転する芽も出てくる。
アメリカ大統領選年のS&P500の平均騰落率はマイナス
こうした大統領選挙の先行きの見えなさは株価に影響を与える可能性もある。2000年以降の大統領選があった年のS&P500(SPX)の騰落率は平均マイナス0.1%で、なかった年の平均プラス8.9%よりも低い。なかでもジョージ・W・ブッシュ氏が初当選を果たした2000年はITバブルの崩壊が始まり、S&P500は10.1%安。バラク・オバマ氏が初当選した2008年はリーマン・ショックと重なり、38.5%安だった。
また、大統領選イヤーは候補者選びが本格的に始まる1月と2月の騰落率が、それぞれマイナス1.7%、マイナス1.5%と低い。さらに大統領選の直前にあたる9月と10月も、それぞれマイナス2.5%、マイナス3.8%という大きな下落率になっている。
トランプ氏が復権に近づけば経済の波乱要因にも
トランプ氏は2016年の大統領選挙で勝利した際、企業活動を後押しする経済政策をとると期待されて株価上昇のきっかけをつくった。しかし一方では中国との通商関係で激しく対決的な姿勢をとるなど、経済の先行き不透明感を強めた側面もあった。現在は、ロシアによるウクライナ侵攻や、イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘長期化、米英軍によるフーシへの攻撃など、8年前にも増して国際情勢が不安定になっており、米国の経済界ではヘイリー氏への支援の動きも目立つ。今後、共和党候補者指名争いの流れが、S&P500の値動きに影響を及ぼすかどうかが注目されそうだ。
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