エヌビディア、AIパソコンに商機 新半導体発表 株価は連日高値更新
エヌビディアが発表した新型GPUを株式市場は好感。AIパソコンの市場が拡大すれば新たな商機となる。
アメリカの9日の株式市場で、半導体大手、NVIDIA(エヌビディア)の株価が2日連続で上場来高値を更新した。8日に発表した画像処理半導体(GPU)の新製品が株式市場で高く評価されたためだ。新製品は個人が使うパソコン向けで、ゲーム画像のよりスムーズな表示に加え、人工知能(AI)を活用したアプリケーションを高速で動かすことが可能。価格も従来モデルから引き下げられ、同じタイプの他社製品とともに「AIパソコン」の普及につながる可能性がある。エヌビディアは、企業によるAI開発向け半導体にとどまらない、新たな成長市場に商機を見出しているようだ。
エヌビディア株は2024年最初の6日で7.3%上昇
エヌビディア株(NVDA)の9日の終値は前日比1.70%高の531.40ドル。前日に記録した上場来高値を再び更新した。エヌビディアの株価は2023年の1年間で3.6倍に急騰。2024年に入ってからの6営業日だけでも7.31%値上がりしている。エヌビディアを含む「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる7社の間での比較でも引き続き好調を維持している。
年明けのエヌビディア株上昇の要因は8日に発表されたGPUの新製品。なかでも31日に販売開始となる「GeForce RTX 4080スーパー」は、エヌビディアのパソコン向けGPUの最上位モデル「4090」に次ぐ処理能力があり、精細な画像を使ったゲームを高速で作動させることが可能だ。こうした性能は、コンピューターが言葉で指示された画像を自動で生成するAIアプリなどの活用にも適している。エヌビディアは、画像生成AIの「Stable Diffusion」(ステーブル・ディフュージョン)を使った場合、従来モデルと比べて画像では1.7倍、動画では1.5倍の処理速度を実現したと説明。新製品について「パソコンでAIを体験する究極の方法だ」としている。
株価の反応が大きくなった背景には、4080スーパーが999ドルという低価格に設定されたこともある。従来モデルの「4080」(1199ドル)よりも200ドル安く、最上位モデルの4090(1599ドル)よりも600ドル安い。英字メディアでは、この価格差について「見逃すことができない違いだ」と評価されている。
AIパソコン向けの半導体はインテルやAMDも発表済み
AIアプリを高速で動かすことができる高性能な個人向けコンピューターは「AIパソコン」や「AI PC」と称され、市場拡大への期待が高まっている。エヌビディアのライバルにあたるインテル(INTC)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もAIパソコン向けの半導体を発表済み。インテルが2023年12月に発表したCPUの「Core Ultra」(コア・ウルトラ)を搭載したAIパソコンはすでに各社から発売されている。
エヌビディアの2023年の株価急騰は、企業がクラウドを通じて提供するAIサービスが注目を集め、こうしたサービスを開発するための半導体の販売拡大が評価された結果だった。今後、個人によるAIの利用が普及していけば、サービスを利用するパソコンの側にも高性能の半導体を用いることが欠かせなくなり、エヌビディアの製品に対する需要が増す可能性がある。新たな市場ではインテルなどとの競争が激化することは必至だが、エヌビディアにとっての商機として株価を押し上げる要因になることも考えられそうだ。
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