今週の焦点 オミクロンに対する既存ワクチンの効果とOPECプラス会合
サマリー:「今週は材料の多い一週間。注目は新変異型ウイルス・オミクロンに対する既存ワクチンの効果に関する情報。そしてOPECプラスの会合の行方。ドル円とユーロドルのチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
今週の焦点 オミクロンに対する既存ワクチンの効果とOPECプラス会合
・新変異型ウイルス「オミクロン」に対する既存ワクチンの効果と感染状況
先週26日のグローバル市場は、新変異型のウイルス「オミクロン」の感染拡大に対する懸念から、リスク回避相場となった。
今週の焦点のひとつは、既存のワクチンがこの新変異型ウイルス(以下オミクロン株)に対して効力があるかどうか?この点に関する情報や報道が各市場のトレンドを左右しよう。
すでに主要な欧州各国や豪州では、オミクロン株の感染者が確認されている。今後、世界各国にオミクロン株の感染が拡大する可能性が高まっていることを考えるならば、既存ワクチンの効果に関する報道は投資家のセンチメントを左右しよう。
オミクロン株に対して既存のワクチンでも効果あり、との報道がある場合、リスク回避相場は一過性の現象で終息することが予想される。一方、既存のワクチンが効かないとなれば、各市場は短期的なリスク回避相場に陥ろう。
外為市場では、日本円とスイスフランに対する買いの圧力が高まろう。一方、資源国通貨や新興国通貨は売り優勢の展開を想定しておきたい。
米ドルは、リスク回避による「米債買い=金利低下」により前者の通貨(日本円/スイスフラン)に対して下落する一方、後者の通貨(資源国通貨/新興国通貨)に対しては上昇する展開を想定しておきたい。
先週26日の米ドル相場のパフォーマンを確認すると、リスク回避の局面では日本円が最強通貨になりやすいことを示している。
米ドル相場のパフォーマンスチャート
・OPECプラス会合と原油価格の反応
米ドル相場のトレンドは、引き続き米金利の動向に左右されよう。
その米金利は、オミクロン株の感染拡大と世界経済の回復の遅れが意識されることで、短期的に低下する可能性がある。だが、既存ワクチンの効果が確認される場合、株式をはじめとしたリスク資産の反発を背景に、「オミクロンショック」による米金利の低下は一時的な現象で終息するだろう。
今週、オミクロン株関連の情報や報道以外で米金利の動向を左右するイベントが、OPECプラス会合(11月30日~12月2日開催予定)である。
今回の会合の焦点は増産協議にある。日米をはじめとした石油備蓄の放出に産油国は反発している。このタイミングで「オミクロンショック」が発生した。需給の緩みに対する警戒感からOPECプラスが増産に対して慎重スタンスを示せば、原油価格の上昇要因となり得る。
実際に価格が上昇するかどうかは、上で述べた既存ワクチンの効果に関する情報に左右されるだろうが、この点で効果ありとの報道が多く流れる場合は、「需給のひっ迫観測→原油価格の上昇→インフレ懸念→米金利の上昇」を想定しておきたい。米金利の上昇は、米ドル相場のサポート要因となろう。
NY原油先物価格(左)と米長期金利(右)のチャート
ドル円とユーロドルの焦点
・ドル円(USDJPY)
今週のドル円(USDJPY)は、オミクロン株に対する報道にトレンドが左右されよう。
上で述べたように既存ワクチンの効果あり、との報道が伝わる場合、ドル円は再び115円を目指す展開を想定したい。このケースでは、21日線(SMA、今日現在114.08レベル)の突破が目先の焦点となろう。
21日線の突破に成功する場合は、このラインがサポートラインとして意識されているかどうか?この点を確認したい。
115円台へ上昇する場合は、このレポートで何度も指摘してきたフィボナッチ・プロジェクション161.8%の水準115.60レベルのトライを意識したい。
一方、オミクロン株に対して既存ワクチンの効果なし、との報道が伝わる場合、リスク回避相場を背景としたドル円の下落を意識しておきたい。米ドル買いによってサポートされる展開も予想されるが、円買い圧力の方が勝るだろう。通貨オプション市場のリスクリバーサルを確認すると1週間、1ヶ月でともにドルプットの状況となっている。
ドル円が下値トライとなる場合、目先の焦点は113円台の維持となろう。
先週26日に急落した際は安値113.03で反発し、かろうじて113円台の維持に成功した。だが、「オミクロンショック」により米金利の低下が続く場合は、113円台のブレイクを常に意識しておきたい。このケースでは、今月9日と10日に相場をサポートした112.70レベルのトライおよび維持が焦点として浮上しよう。
ドル円のチャート
・ユーロドル(EURUSD)
先週26日のユーロドル(EURUSD)は、大陽線が示現し10日線(EMA、1.1304レベル)およびフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準1.1304レベルの突破に成功した。だが、欧州各国でオミクロン株の感染者が確認されている状況を考えるならば、ユーロドルは引き続き下落トレンドを意識する状況にある。
今週の焦点は、新たなレジスタンスポイントの水準と1.11台でのサポートポイントを見極めることにある。
ユーロドルが調整の反発地合いを維持する場合は、1.1380レベルの攻防が焦点として浮上しよう。この水準は、今月16日と18~19日に相場の戻りを止めた経緯がある。また、テクニカルの面ではフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたり、かつ21日EMA(今日現在1.1380レベル)が低下している。
このレポートで何度も指摘しているが、ユーロドルは下落リスクを警戒すべき局面にある。先週26日の反発が一過性で終わる場合は、1.11台でのサポートポイント探しが焦点となろう。
現状、先週24日の安値1.1184レベルがその候補として浮上している。「オミクロンショック」が一時的な現象で終われば、米金利に再び上昇の圧力が高まることで、1.1184レベルを下方ブレイクする可能性があろう。
1.11台で明確なサポートポイントが見つからない場合は、一気に1.1100をトライする展開を想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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