FOMCを前に米ドル安ムード / ポンドドルの展望とテクニカルポイント
米新規失業保険申請件数(6月3日終了週、季節調整済み)の増加を受け、米債市場では利回りが低下した。米金利の低下は米ドル売りの圧力を高め、ドルインデックスは103ポイントを目指すムードが高まっている。一方、ポンドドルはレジスタンスの1.2550レベルを突破してきた。目先の注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
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サマリー
・米新規失業保険申請件数の増加を受け8日の外為市場は米ドル安の展開に
・ドルインデックスは重要サポートポイント103ポイントを視野に下落ムードが高まる
・ポンドドルは1.2550の突破に成功、次の焦点は1.2680レベルのトライ
・ポンドドルの反落局面では1.25台の維持と2つの移動平均線の攻防が焦点に
雇用関連指標を受け米ドル売り
米労働省が8日に発表した新規失業保険申請件数(6月3日終了週、季節調整済み)は、前週から2万8,000件急増し26.1万件と、2021年10月以来の高水準に増加した。前週からの増加幅としては2021年7月以来の大きさとなった。
新規失業保険申請件数の増加を受け、米債市場では労働市場の軟化と来週の連邦公開市場委員会(FOMC、13-14日)での利上げ観測が後退し、利回りが低下した。
米新規失業保険申請件数の推移
ドルインデックスは103ポイントが視野に
米金利の低下は、外為市場で米ドル売りの圧力を高めた。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は21日MA(今日現在103.58レベル)を大陰線で一気に下方ブレイクし、重要サポートポイントの103.00レベルを視野に入れるムードが高まっている。
また、MACDではデッドクロスが示現している。来週の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に米ドル安の進行を警戒したい。
ドルインデックスのチャート
ポンドドルの展望とテクニカルポイント
レジスタンスポイントを探る展開に
8日の米ドル相場は日本円、ユーロ、英ポンドの主要3通貨に対してすべて下落した。なかでも対英ポンドでの下落幅が拡大した(前日比-0.97%)。
通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、6月に入りポンド・プットの圧力が急速に後退している。
英国では高インフレの状況が続ており、短期金融市場では英中銀(BOE)が今年いっぱい利上げを継続せざるを得ない状況を織り込んでいる(予想ターミナルレートは5.4%台まで上昇)。
BOEの利上げ長期化は中長期的に景気リスクを高める要因となり、ポンドドル(GBPUSD)の重石となることが予想される。
しかし、来週の連邦公開市場委員会(FOMC、13-14日)で連邦準備制度理事会(FRB)が一度利上げを見送る観測が高まっている状況や米金利がレンジで上下に振れる一方、米株高トレンドが続いている状況も考えるならば、ポンドドルは短期的にレジスタンスポイントを探る展開が続くと思われる。
ポンドドルとリスクリバーサルのチャート
2つの焦点
テクニカルの面でもポンドドル(GBPUSD)の地合いの強さが見て取れる。
今年3月以降のトレンドを日足チャートで確認すると、短期サポートラインを形成し、かつこのラインを維持したまま10日MA(今日現在1.2457レベル)と21日MA(今日現在1.2440レベル)でゴールデンクロスが示現している。MACDでも同じくゴールデンクロスが示現しゼロラインを上回る状況にある。
何より注目すべきは、5月以降、レジスタンスポイントとして意識されてきた1.2550レベルを大陽線で一気にブレイクアウトしてきたことである。
このブレイクアウトを受け、ポンドドルの目先の焦点は2つに絞られた。
ひとつ目の焦点は、ポンドドルの反落局面で1.2550レベルがサポートへ転換するかどうか?である。もう一つの焦点は、5月10日の高値1.2680レベルのトライおよび上方ブレイクである。
リスクリバーサルの動向や6月FOMCでの根強い利上げ見送り観測とそれに伴う米英の金融政策スタンスの差が意識されやすい状況にあることを考えるならば、ポンドドルは後者の展開(1.2680レベルを目指す展開)を想定しておきたい。
5月11日の市場では日足ローソク足で大陰線が示現した。この時の高値1.2641レベルの上方ブレイクは、1.2680レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
反落局面での注目ポイント
一方、ポンドドルの反落局面で1.2550レベルをあっさりと下方ブレイクする場合は、1.25の維持が焦点となろう。この水準は、今月7日にレジスタンスポイントとして意識された経緯がある。
ポンドドルの反落局面で1.25レベルがサポートポイントとして意識される場合は、1.2680レベルをトライする展開が続くだろう。
一方、ポンドドルが1.25台の維持に失敗する場合は、直近の相場をサポートした10日MAおよびサポート転換の兆しが見られる21日MAの攻防を想定しておきたい。
ポンドドルのチャート
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