ユーロドルの見通しと注目しておきたいチャートポイントについて
米金利が低下基調へ転じていることは、ユーロドルの上昇要因となっている。米欧中銀の利上げ政策に対する市場の思惑も考えるならば、ユーロドルは新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと予想する。目先、注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ドル円の分析レポートについてはこちらをご覧ください
サマリー
・ECBの利上げについて短期金融市場は、7月だけでなく9月も意識する状況にある
・ドル円と同じく、ユーロドルのトレンドも利回り格差に左右されている
・ユーロドルは新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くだろう
・目先、注目しておきたいレジスタンスポイントは1.1270レベル(61.8%戻し)
ECBの連続利上げが意識される状況に
外為市場の参加者は、来週27日に開催される理事会で欧州中央銀行(ECB)が0.25%の利上げを決定することを織り込んでいる。ゆえに、7月理事会の焦点は9月以降も利上げを継続するかどうか?にある。
この点について短期金融市場の織り込み状況を確認すると、70%前後の確率でECBが0.25%の利上げを予想する状況にある(中銀預金金利の予想ターミナルレートは3.9%前後)。
ECB中銀預金金利の予想推移
米独利回り格差の動向に影響を受けるユーロドル
6月の物価指標(消費者物価指数と生産者物価指数)で、アメリカのインフレが鈍化の傾向にあることが確認された。
米債市場では、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクルが近く終了することが意識され始めており、2年債利回りが4.6%台まで低下する局面が見られた。一方、10年債利回り(長期金利)も3.8%を挟んで低下基調にある。
米金利の低下は、米独利回り格差(スプレッド)の縮小を招いている。そしてこの動きが、ユーロドル(EUR/USD)の上昇を支える一因となっている。この点を下のラインチャートで確認すると、ユーロドルが上昇する局面では、米独利回りの格差が縮小の傾向にあることが分かる(チャートの緑ゾーンを参照)。
ユーロドルと米独利回り格差のチャート
新たなレジスタンスを探るが状況続くユーロドル
下落局面では押し目買いを考えたい
今日は6月の米小売売上高が発表される。こちらのレポートで指摘したとおり、強い小売売上高の内容に米金利が上昇で反応する場合は、米ドルの買い戻しによりユーロドル(EUR/USD)は反落することが予想される。
しかし、上で述べたとおり短期金融市場や米債市場では、欧州中央銀行(ECB)の持続的な利上げ政策とFRBの利上げサイクルが終了局面に差し掛かっていることが意識されている。
米独利回り格差が縮小の傾向にあること、そして米国株が上昇トレンドを維持している(リスク回避の米ドル買いが発生しにくい状況にある)ことも考えるならば、強い米経済指標でユーロドルが反落する場合は、ユーロドルの押し目買いのタイミングを意識したい。
目先、その水準(押し目買いの水準)の候補として注目したいのが、1.12レベルである。今日のNY時間に短期サポートラインが1.12レベルと交錯する。また、1.12レベルは23.6%戻しの水準でもある。
ユーロドルが1.12台を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.1164レベル、および先週12日のNY時間から13日の東京時間にかけてサポートポイントとして意識された1.1130レベルで反転するかどうか?を確認したい。
ユーロドルのチャート:1時間足
上昇局面でのチャートポイント
今日の東京時間にユーロドル(EUR/USD)は、レジスタンスとして意識された1.1250レベルの突破に成功している。
6月の米小売売上高で個人消費の縮小が確認される場合は米ドル安の圧力が高まることで、ユーロドルはさらに上値をトライする展開が予想される。
ユーロドルが上昇トレンドを維持する場合に注目したいのが、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準1.1275レベルのトライおよびブレイクアウトである。
ユーロドルがこの水準(61.8%戻し)をもあっさりと上方ブレイクする場合は、1.15レベルまで明確なレジスタンスポイントが見当たらない。その1.15レベルを視野に上昇幅が拡大するかどうかの分岐点として、1.1275レベル(61.8%)の攻防に注目したい。
ユーロドルのチャート:月足
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