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ユーロドルとユーロ円 目先の焦点とチャートポイントは?

欧州中央銀行(ECB)は75ベーシスポイントの大幅利上げを決定。ラガルド総裁は追加の利上げを示唆。しかしユーロドルは上値の重い展開が続く。一方、ユーロ円はドル円の上昇にサポートされ上値トライの展開が続く。対照的な動きが見られる両通貨ペアの展望は?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※次回の配信は9月26日(月)となります。

ECBはタカ派に傾斜するもユーロ相場は売り買い交錯


【サマリー】
・ECBは75ベーシスポイントの大幅利上げを決定
・ECBのタカ派スタンス傾斜を受けてもユーロ相場は売り買いが交錯
・ユーロドルは21日EMAすら突破できず 引き続き下値トライを意識する局面が続こう
・ドル円にサポートされるユーロ円 目先の注目ポイントは144.00の “サポート転換”


・ECBの利上げスタンスを受けてもユーロ買いは限定的

欧州中央銀行(ECB)は8日に開催した理事会で75ベーシスポイント(bps)の利上げを全会一致で決定した。1999年にユーロが誕生して以降、初めて75ベーシスポイントという大幅利上げに踏み切ったECBだが、ラガルド総裁は記者会見でインフレのリスクと、それに対処するため追加利上げの可能性を示唆した。新たな政策金利は14日から適用される。

今回の理事会でラガルドECBがタカ派へ傾斜していることが確認できた。しかし、この日のユーロ相場は主要国の通貨に対して売り買いが交錯する展開となった。

ユーロドル(EURUSD)は、21日EMAで上昇が止められ、前日比でほぼ横ばい推移となった。昨日の動きは、ユーロドルの上値の重さを市場参加者に印象付けよう。

ユーロ相場のパフォーマンス

ユーロ相場のパフォーマンス 基準日:2022年9月7日


・ユーロドルは下値トライを意識する局面が続く

ECBがタカ派スタンスへ傾斜していることが確認されてもユーロドル(EURUSD)の上昇が抑制された理由は、米欧の利上げスタンスの差にあると思われる。

短期金融市場で予想される政策金利の推移を確認すると、ECBのそれは来年6月に2.3%台まで上昇した後、低下する見通しとなっている。

一方、アメリカの政策金利(FF金利)の予想推移をみると、来年3月に4%近くまで上昇した後に低下する見通しとなっている。

政策金利の予想推移

政策金利の予想推移 ブルームバーグのデータより作成 / 2022年9月9日時点


これらの予想推移は、今後の中銀イベントの動向により変化するだろう。

だが、FEDウォッチでは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で連邦準備制度理事会(FRB)が75ベーシスポイントの利上げを決定する確率を86%まで織り込んでいる。

8日の経済政策会議でパウエルFRB議長があらためてインフレ抑制重視のスタンスを表明したことも考えるならば、FF金利は年内に4%へ到達する可能性がある。つまり、来年前半まで政策金利の水準は常に「アメリカ>欧州」という状況が続くことが予想される。

ロシアーウクライナ紛争の長期化による欧州経済へのダメージも考えるならば、米欧の景況感格差もユーロ相場の重石となり続けよう。

21日EMAで上昇が止められた状況、米欧間の相対的な政策金利の水準と景況感の格差を総合的に考えるならば、ユーロドル(EURUSD)は引き続き下値トライを意識する局面が続くと予想する。

実際にユーロドルが下落する局面では、IGレポートで指摘してきたフィボナッチ・プロジェクションの各水準の攻防に注目したい(下の日足チャートを参照)。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート TradingView 日足(今年6月以降)

ユーロ円の焦点とチャートポイント

・ドル円の上昇にサポートされるユーロ円

一方、ユーロ円(EURJPY)は、ドル円(USDJPY)にサポートされる展開が続いている。

そのドル円は、8月から上昇基調へ転じている米金利に追随し、24年ぶりに144円台まで急騰する展開となっている。よって、今のユーロ円はユーロドル(EURUSD)の下落の影響を受けても、米金利とドル円が大きく崩れない限り下落幅は限定的となりやすい状況にある。

一方、ドル円の上昇幅が拡大する局面では、ユーロ円の上昇圧力が強まることが予想される。

ユーロ円、ドル円、ユーロドルのチャート

ユーロ円、ドル円、ユーロドルのチャート TradingView 1時間足(今年8月以降)


・目先の焦点は144.00レベルの”サポート転換”

144.00レベルがレジスタンスポイントからサポートポイントへ転換するかどうか?これが今のユーロ円(EURJPY)の焦点である。

今年5月に再び上昇基調へ転じたユーロ円だが、144.00前後で3度上昇が止められた。その後、8月2日に安値133.39レベルまで下落する展開が見られた。

そして現在、4度目の144.00レベルの攻防となっている。ドル円(USDJPY)の上昇がユーロ円をサポートする展開が続くと想定する場合、144.00レベルがレジスタンスポイントからサポートポイントへ転換する可能性が高まろう。

実際に”サポート転換”が確認できる場合、ユーロ円はフィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準145.01レベルを視野にもう一段上昇する展開を予想する。

一方、米金利が低下する局面では、ユーロ円の下落を想定しておきたい。このケースでは、9月5日と6日に相場をサポートした経緯のある10日EMA(今日現在141.36レベル)で反発するかどうか?この点に注目したい。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート TradingView 日足(今年5月以降)

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