【ユーロドル (EURUSD)】今日の見通しとチャートポイント
11月の下旬以降、外為市場ではユーロの売り圧力が高まる状況にある。現在の主因は、インフレの鈍化とそれにともなう来年の利下げ観測の高まりにある。今日のユーロドル(EURUSD)は、11月の米雇用統計で上下に振れる展開が予想される。注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今日のドル円の展望については、こちらのレポートをご覧ください
サマリー
・11月の下旬以降、外為市場ではユーロの売り圧力が高まる状況にある
・ユーロ売りの主因は、インフレの鈍化で利下げ期待が急速に高まっていることにある
・ユーロドルの下落局面では、1.0750レベルの攻防が目先の焦点に
・ユーロドルの反発局面では、2つの移動平均線の攻防に注目したい
高まるユーロ売りの圧力
11月29日以降、ユーロドル(EUR/USD)は下落トレンドへ転じている。
しかし、ユーロ売りが進行しているのは対米ドルだけではない。最弱通貨の一角だった対日本円では、米ドル以上にユーロ安が進行している。また、他の主要国の通貨でも総じてユーロ安優勢の状況にある。
ユーロ相場の動向:11月29日以降
利下げ期待の高まりがユーロ売りの主因に
ユーロドル(EUR/USD)やユーロ円(EUR/JPY)の日足チャートをみると、11月の消費者物価指数(HICP)速報値でユーロ圏のインフレが鈍化の傾向にあることが示された11月30日以降、下落幅が拡大していることが分かる。
ユーロドルとユーロ円のチャート:日足 23年10月以降
インフレの鈍化は、市場参加者が抱く欧州中央銀行(ECB)による利上げサイクル終了とその先にある利下げ政策の期待を高める要因である。
事実、短期金融市場では来年3月の理事会でラガルドECBが利下げ政策へ転換する可能性を60%台の確率で織り込み始めている。
さらに、現時点での政策金利(中銀預金金利)の予想推移を確認すると、2.6%台まで低下している。
つまり現時点での短期金融市場は、来年に5~6回の連続利下げを織り込む状況にある。
インフレの鈍化、ECBが早期に利下げ政策へ転換することへの期待、そして利下げの予想幅までが拡大している状況-これらが重なり合って、現在の外為市場ではユーロ売りの圧力が高まっていると考えられる。
ECB 政策金利の予想推移
目先のサポート水準は1.0750レベル
ユーロドル(EUR/USD)は昨日、米ドル安にサポートされ反発した。
注目すべきは、1.0750レベルを維持したことである。今年の9月上旬から11月上旬にかけてこの水準は、レジスタンスの水準として意識された経緯がある。ゆえに昨日の反発は、1.0750レベルがサポートの水準へ転換する可能性を示唆したことになる。
今日のユーロドルは、11月の米雇用統計で上下に振れる展開が予想される。
今回の雇用統計が米ドル安の要因となれば、サポート水準としての1.0750レベルの存在感がさらに増すだろう。日足のストキャスティクスは売られ過ぎの水準にあり、短期的な売りの過熱感を示唆する状況にある(下のチャート、赤矢印を参照)。
一方、今回の雇用統計が米ドル買いの要因となれば、1.0750レベルは “サポート転換“ に失敗することが予想される。このケースでは、50日線を視野にユーロドルは下落することが予想される。
この移動平均線(50日線)は今日現在、1.0704レベルで推移している。ゆえに50日線の攻防は、1.07台の維持を見極めるための攻防となろう。
反発の局面では2つの移動平均線の攻防が焦点に
一方、ユーロドル(EUR/USD)の反発局面では、200日線(今日現在1.0822レベル)の突破が目先の焦点となろう。昨日は、この移動平均線の手前で相場の戻りが止められた。
ユーロドルが200日線を上方ブレイクする場合は、21日線のトライが次の焦点となろう。この移動平均線は今日現在、1.0862レベルで推移している。
ユーロドルのチャート:日足 23年7月以降
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