ユーロドルは再び下値を模索する展開となるか?ドル円 次の下値ポイントは?
ECBイベントを受け外為市場はユーロ売りで反応。一方、ドル円は146.00を何度もブレイクする局面が見られた。ユーロドルは再び下値を模索する展開となるか?ドル円の次の下値ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
ECBイベントでユーロ相場が下落
【サマリー】
・ECBイベント後に欧州金利と政策金利の予想推移が低下
・ECBのタカ派スタンスが後退したと受け止められユーロ相場が下落
・ユーロドル 目先の焦点とチャートポイントについて
・ドル円は145.00レベルの攻防が焦点に
・ECBイベント後ユーロ売りの展開に
欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で、事前の予想どおり政策金利を0.75ポイント引き上げた。
ラガルド総裁は会見でインフレリスクに言及し、持続的な利上げスタンスを示唆した。その一方で、経済成長の見通しに対する短期的な下振れリスクにも言及した。
将来の景気リスクについて言及したことを考えるならば、利上げ政策を維持してもそのペースはラガルド総裁が指摘したとおりデータ次第となろう。
ECBイベントを受け、昨日の主要な欧州金利は低下で反応した。また、ECBイベント前と比較し、ECBイベント後の政策金利の予想水準も低下している。
欧州の債券市場や金利市場ではラガルドECBのタカ派スタンスが若干後退している、または後退する可能性があることを意識している節がうかがえる。
政策金利の予想推移
ECB理事会前の予想推移:10月26日 / ECB理事会後の予想推移:10月28日8時時点
一方、27日の外為市場では、欧州金利や政策金利の予想推移の動きに連動しユーロ相場が下落した。ユーロドル(EURUSD)は、あっさりとパリティ水準(1.0)を下抜ける展開となった
一方、ユーロ円(EURJPY)は、ECB理事会前の水準147.40レベルから安値145.55レベルまで約2円下落する局面が見られた。
他の主要国の通貨に対しても総じてユーロ売りの展開となった。
ユーロ相場のパフォーマンス:27日
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・目先の焦点は?
ユーロドル(EURUSD)の週足チャートを確認すると、昨日は21週MAで見事に上昇が止められた。
長い上ヒゲが示現し、かつパリティ水準(1.0)のサポート転換にも失敗した。6月27日の高値(1.0615レベル)と9月の下落局面で付けた安値(0.9535レベル)の半値戻しがレジスタンスとして意識された、と捉えることもできる。
いずれにしても、重要なテクニカルポイントの突破に失敗した状況を考えるならば、今日以降のユーロドルの焦点は、「再び下値を模索する展開となるかどうか?」この点にあると考えている。
・注目のチャートポイントは?
ユーロドル(EURUSD)のトレンドを左右する要因として本日注目すべき材料は、米国の経済指標である。
7-9月期の米GDP速報値は2.6%増と、予想の2.4%増を上回った。同期の個人消費は1.4%増と、前期の2.0%から減少したが、サービス支出や設備投資は堅調だった。
今日は、9月の個人消費支出(PCE)が発表される。連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注目しているPCE価格指数も含め総じて予想以上となれば、米欧の景況感の格差が意識されることで、ユーロドルは反落ムードを強める展開が予想される。このケースでの最初の焦点は、0.98レベルの維持である。
ユーロドルが0.98レベルをあっさりとブレイクする場合は、短期サポートラインの維持が次の焦点として浮上しよう。このラインは今日現在、0.97ミドルの水準で推移している。
一方、さえない米経済指標の内容は債券利回りの低下要因である。ゆえにこのケースでは米ドル売りにサポートされ、ユーロドルは反発する展開が予想される。注目のチャートポイントは、上で指摘した半値戻しの水準1.0075レベルと21週MA(1.0091レベル)である。
後者の移動平均線の攻防は、1.01を突破できるかどうかの攻防でもある。8月下旬以降、1.01レベルで相場の戻りが止められる状況が続いている。
ユーロドルのチャート
ドル円は145.00レベルの攻防が焦点に
・次の焦点は145.00レベルの攻防
米債市場では利回りが低下基調を維持している。10年債利回り(長期金利)は4%の水準を割り込み、5年債利回りも4%を視野に低下幅が拡大している。これらの動きに連動し、ドル円(USDJPY)も下値を模索するムードが高まっている。
昨日のドル円は、相場をサポートする局面が見られた21日線(MA)がレジスタンスラインとして意識され、146.00レベルを下方ブレイクする局面が何度も見られた。ゆえにこの水準(146.00レベル)は、もはやサポートポイントではなくなった。
「米金利の低下→ドル円の下落」が続く場合、次の焦点は145.00レベルの維持となろう。
昨日は145.10レベルで相場が反転した。この動きにより、145.00レベルがレジスタンスからサポートのポイントへ転換する可能性がある(下の日足チャートを参照)。
145円の攻防を左右する要因として本日注目しておきたいのが、上で述べた米国の経済指標である。特に注目されるのがPCE価格指数である。インフレの高止まりが確認される場合は、米金利の反発要因となり得る。米金利の反発は、ドル円のサポート要因となろう。
逆にPCE価格指数でインフレの低下が確認される場合は、「米金利のさらなる低下→米ドル売り→ドル円の145.00トライおよびブレイク」を想定しておきたい。
・黒田総裁の発言と円高
なお、今日は日銀金融政策決定会合が開催される。現行の金融政策政策を維持する見通しとなっている。
焦点は黒田総裁の言動にある。ドル円(USDJPY)が下落トレンドへ転じているタイミングで黒田総裁が現在の円安相場を強くけん制する場合、調整の円買いの圧力を強める可能性がある。
実際にドル円がこの展開となる場合は、上で述べた145円台の維持に注目したい。
ドル円のチャート
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