ユーロドルの見通しとテクニカル分析
欧州中央銀行(ECB)による利上げ継続の期待を受けユーロ高は円だけでなく米ドルでも進行している。目先の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ユーロ円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
ユーロ円と同様に新たなレジスタンスを探る展開
対円だけでなく、対米ドルでもユーロ高が進行している。昨年の9月28日に底打ちして以降、ユーロドル(EURUSD)は上昇トレンドを象徴する短期サポートラインを形成しながら1.10台へ到達した。そして直近は10日MA(1.0994レベル)と21日MA(1.0939レベル)がサポートラインとなり、地合いの強さを市場参加者に印象付けている。
目先の焦点は今月14日に付けた高値1.1076レベルの突破である。これに成功する場合は、さらに上昇の期待が高まるだろう。
ユーロドルの日足チャート
ECBの利上げ継続スタンスと米独利回り格差の縮小
対米ドルでのユーロ高の主因は、米欧の政策スタンスに対する市場の思惑にある。
5月の連邦公開市場委員会(FOMC)で米国の利上げサイクルが終了するという観測が根強い一方、欧州の債券市場では欧州中央銀行(ECB)による利上げ政策が長期化するとの観測を受け、ドイツの長期金利は再び上昇基調へ転じている。
米欧金融政策に対して市場が抱く思惑を受け、今年の2月下旬以降、米国の長期金利とドイツのそれとの格差が縮小の傾向にある。この動きに連動し、ユーロドル(EURUSD)は「ユーロ高/米ドル安」のトレンドを形成していることがわかる。
3月の域内インフレ率(消費者物価指数)は前年比で6.9%と鈍化の傾向を示した。だが、価格変動の大きい食品やエネルギーなどを除くインフレ率は5.7%と最高を更新した。インフレの基調が今年の夏まで加速するとの見方も出ている。今後のトレンドは連邦準備制度理事会(FRB)の動向次第だが、5月会合で利上げサイクルの停止に踏み切れば、インフレ抑制を重視するECBの利上げを意識したユーロ高が対米ドルで続く可能性が高まろう。
ユーロドルと米独利回り格差の動向
上下のチャートポイント
ユーロドル(EURUSD)が上昇トレンドを維持する場合は、上で述べた1.1076レベル(4月14日高値)の突破が焦点となろう。これに成功する場合は、1.11台へ向けて上昇幅の拡大を想定しておきたい。また、1.1076ブレイク後にこの水準がサポートへ転換するかどうか?この点も確認したい。
一方、ユーロドルの反落局面では、上の日足チャートで示した10日(1.0994レベル)と21日(1.0939レベル)の攻防に注目したい。現在は、短期サポートラインがこれら移動平均線の間で推移している(下の15分足チャートを参照)。また、21日MAのすぐ上の水準1.0943レベルは、直近高安の23.6%戻しにあたる。テクニカルの動向を考えるならば、ユーロドルの反落局面では、10日MAの攻防以上に21日MAレベルでの攻防に注目したい。この移動平均線を維持する状況が続けば、ユーロドルは新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと思われる。
ユーロドルのチャート
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