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【ユーロドル (EURUSD)】焦点はECB理事会と米経済指標 / 今週の見通しとチャートポイント

今週の米ドル相場は、引き続き米金利にらみの状況が続くだろう。その米金利は、経済指標で上下に振れる展開が予想される。欧州中央銀行(EBC)のイベントは、ユーロ相場の変動要因となろう。反発基調にあるユーロドルの見通しは?注目しておきたいチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※今週のドル円の展望については、こちらのレポートをご覧ください


サマリー

・上昇基調の米長期ゾーン利回り、今週も経済指標にらみの展開が予想される
・米国の3Q個人消費、9月PCEデフレーターの内容と米金利の反応に注目
・ユーロドルはECBイベントで上下に振れる展開が予想される
・ユーロドル、今週の見通しとチャートポイントについて


今週の注目材料

注目材料1:米金利の動向
米債市場では長期ゾーンの利回りの上昇基調が続いている。10年債利回りは現在、5%付近で推移している。一方、30年債利回りは先週、5.1%台へ上昇する局面が見られた。

これら長期ゾーン利回りの動向と金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの推移を比較すると、9月下旬から上昇幅に差が生じていることが分かる。

この状況は、米債市場の参加者が連邦準備制度理事会(FRB)の利上げサイクル終了を意識する一方、景気の底堅さや根強いインフレの圧力など複数の要因が重なり、この状況が長期ゾーン利回りの上昇要因となっていることを示唆している。複数の要因のなかには、米長期国債の需給に対する不透明感もあると考えられる。

米金利の動向:日足 年初来

米金利の動向:日足 年初来 ブルームバーグのデータをもとに作成


長期ゾーン利回りの上昇基調は、米ドル高トレンドの下支え要因である。また、米国株の下落要因でもあり、リスク回避の米ドル買いにもつながっている。

今週も米金利の変動要因になり得るいくつかの重要な経済指標が発表される。それらの内容が米金利の高止まり、またはさらなる押し上げ要因となれば、米ドル相場は調整の反落を挟みながら、上昇トレンドを維持する公算が大きい。



注目材料2:米国の経済指標
今週もいくつかの重要な米経済指標が発表される。米金利と米ドル相場の変動要因としてより注目したいのが、第3四半期(3Q)のGDP統計(速報値)の項目のひとつである個人消費の動向である。また、新規失業保険申請件数と9月の個人消費支出(PCE)価格指数も相場の変動要因となろう。

3Q の個人消費は前期比年率で4.0%増と、第2四半期(2Q)の0.8%増から大幅に上昇する見通しである(3QのGDPは同比2.1%増から4.3%増となる見通し)。9月の小売売上高と同じく個人消費の堅調さが示される場合は、米金利の押し上げ要因となろう。新規失業保険申請件数で雇用市場の堅調さが確認され、下で述べる個人消費支出(PCE)価格のコア指数でインフレ圧力の根強さも確認される場合は、米金利の上昇幅が拡大する可能性がある。

一方、個人消費が市場予想を下回る場合は、米金利の低下要因になり得る。しかし、現在の上昇基調の根強さを考えるならば、実際に米金利が低下するかどうか?については、GDP統計全体の内容や同日に発表される新規失業保険申請件数の内容にも影響されるだろう。

9月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年同月比でインフレの鈍化傾向が続く予想となっている。一方、前月比のコアが0.3%と、8月の0.1%から上昇する見通しとなっている。

焦点は、FRBが注視するコア指数の動向である。前月比と前年同月比でともにコア指数がインフレ圧力の根強さを示唆する場合は、米金利の押し上げ要因となろう。

一方、個人消費支出(PCE)価格指数がインフレの鈍化傾向を示す場合は、調整の米債買い(米金利低下)の要因となろう。

米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:月次 22年9月以降

米国 個人消費支出(PCE)価格指数の動向:月次 22年9月以降 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 赤バーチャート・ドット:9月の市場予想


注目材料3:欧州中央銀行(ECB)イベント
欧州中央銀行(ECB)は26日に理事会を開く。

ラガルド総裁は今月13日、これまでの政策効果を見極めているとしながらも、必要ならば政策金利を再度引き上げる考えを示した。しかし短期金融市場では、10月理事会での利上げ見送りが完全に織り込まれている。

国際通貨基金(IMF)は今月10日に公表した最新の経済見通しで、23年のユーロ圏の成長率見通しを0.7%、24年のそれを1.2%と、7月予想の0.9%、1.5%からそれぞれ下方修正した。

今週24日、ユーロ圏の景気動向を考えるうえで市場参加者の注目度が高い購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。

製造業とサービス業はいずれも景気判断の分かれ目である「50」を下回る状況にある。今年の4月を境にして回復の基調にあったサービス業が低下へ転じたことで、総合指数も50を下回る状況に陥っている。

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の動向:月次 22年以降

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の動向:月次 22年以降 ブルームバーグのデータをもとに作成


ユーロ圏経済のけん引役であるドイツ経済の低迷(23年はマイナス成長の予想)も考えるならば、ECBは今後、追加の利上げではなく高い水準で政策金利を維持することで、インフレを抑制するスタンスにシフトすることが予想される。

米金利が上昇基調にあるなかで、ECBの利上げサイクル終了が外為市場で強く意識される場合、ユーロドル(EUR/USD)は調整の反発を挟みながら、下値基調を維持することが予想される。

また、ECBがインフレリスクの対応から景気リスクの対応の方に軸足をシフトさせる場合は、米欧の景況感格差も外為市場で意識されることが予想される。この点も今後、ユーロドルの下落要因になり得るだろう。


ユーロドル、今週の見通しとチャートポイント

下落トレンドを意識する状況が続く
ユーロドル(EUR/USD)は現在、調整の反発局面にある。

現状、21日線(今日現在1.0554レベル)を上方ブレイクしていることから、次の焦点は、サポートからレジスタンスへの転換を意識する1.0635レベルのトライとなろう。

ユーロドルの反発要因として注目したいのが、上で述べた米国の経済指標とユーロ圏の購買担当者景気指数(PMI)である。前者が米ドル売りの要因、後者がユーロの買戻し要因となれば、ユーロドルは1.0635レベルをブレイクし、50日線(今日現在1.0682レベル)をトライする展開が予想される。

50日線をも上方ブレイクする場合は、1.0635レベルと同じくレジスタンスへの転換が意識されやすい1.0750レベルを視野にユーロドルの上昇幅が拡大する展開を想定しておきたい。

だが、日足のストキャスティクスは、短期的な相場の過熱感を意識する状況に差し掛かっている。ECBの利上げサイクル終了と米欧の景況感格差が意識されやすい状況にあることも考えるならば、ユーロドルの反発局面では、上で述べたチャートポイントでの反落を警戒しておきたい。

ユーロドルのチャート:日足 23年5月以降

ユーロドルのチャート:日足 23年5月以降 TradingView提供のチャートで作成


通貨オプション市場の参加者もユーロドル(EUR/USD)の下落基調を意識している。この点をリスクリバーサルの動向で確認すると、1ヶ月と3ヶ月のそれらは緩やかながらもユーロ・プットへ傾く状況にある(下チャートの丸枠を参照)。ユーロドルの下落局面では、1.05レベルの攻防が目先の焦点となろう。

ユーロドルとリスクリバーサルのチャート:日足 23年4月以降

ユーロドルとリスクリバーサルのチャート:日足 23年4月以降 ブルームバーグのデータをもとに作成


1.05を下方ブレイクする場合の焦点
上で述べたとおり、ユーロドル(EUR/USD)の下落局面では、1.05レベルの攻防が焦点となろう。この水準をトライするシグナルとして、21日線の攻防に注目したい(一番上の日足チャートを参照)。ユーロドルがこの移動平均線を難なく下方ブレイクする場合は、1.05トライを意識したい。

ユーロドルが1.05レベルを再び下方ブレイクする場合は、今月3日の安値水準1.04ミドルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい(一番上の日足チャートを参照)。

そのシグナルのひとつとして注目したいのが、1.04台へ下落した後の反発局面にある。この局面で1.05レベルが相場の戻りを止める場合は、ユーロドルの地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。

この状況が確認される場合は、1.04ミドルの下方ブレイクとさらなる下値トライを想定しておきたい。


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